4 / 11
第一生:獄道変
(3)
しおりを挟む
「田中もこっちか……」
僕は、佐藤達いじめっ子3人組と一緒の部屋で待たされていた。
でも……。
僕は手も足も2本づつ。体は前の世界のよりマッチョだけど、概ね手が2本、足が2本、頭も1つ(そう言えば、この「地獄」に転生してから一度も鏡を見てないんで、どんな顔か判らないけど、佐藤達と同じ「髭も髪の毛も無い角が生えた獣っぽいような人間っぽいような」顔なんだろう)だ。木村くんと渡辺も同じだ。でも、佐藤は、腕の数が増えている。
「ああ、これか? 適性検査の結果、十人に一人ぐらいのエリート要員だって言われて、この姿に改造されたんだ。何で、エリートだと腕を増やされるか判んないけどな」
「へ……へぇ……すごいね……」
「でも、十人に一人ぐらいって、そんなにすごいか?」
こいつは、いつもそうだ。
でも、多分、悪気は無い。
東大に余裕で受かった人が、Fランにやっと受かった奴に「東大に受かるなんて、そんなにすごい事じゃないよ」とか言ったら、ただの嫌味だ。
きっと、佐藤は、そこが判らないんだろう。
「シャワー室が空いたぞ。次の十匹来い」
その時、「人材派遣業」の「社員」の魔族が、僕達にそう言った。
「シャ……シャワー?」
「この世界にも、そんなモノが有るのか?」
「ここは、他の色んな世界の罪人の魂が行き着く果てだぞ。俺達が、他の世界で発明されたものぐらい、知ってて当然だろ。どんなド田舎だと思ってたんだ?」
魔族の「社員」が面白くも無さそうな表情(ちなみに、段々、表情を読めるようになっていた)でそう言った。
「じゃあ、Wi-Fiのパスワード教えてもらえる?」
両手の手のひらで円を描くような変な仕草をしながら木村くんがそう言うと、佐藤と渡辺が、プッと吹き出す。
どうも、何か元ネタが有るギャグみたいだけど……僕は、その「元ネタ」を知らない。
「この世界にも、お前達の世界で言う『スマホ』や『PC』や『タブレット』に相当するモノは有るが、今のお前らには手の届かない超高級品だ。お前らにWi-Fiの接続方法を教えても意味はない。知りたけりゃ、スマホなんかを買えるぐらい稼いでから出直して来い」
魔族の「社員」が白けた顔のまま、そう答えた。
「じゃあ、ラノベみたいに、元の世界の知識を使って無双なんて出来ない訳か……」
「ごめん、ラノベなんか、あんまり読まねぇんで」
「俺も、田中が何言いたいか判んねぇよ」
「俺も……」
「ホント、田中は、どこの世界に行っても田中だな」
「ところでさぁ……『シャワー室』って、元の世界じゃ、変な意味無かったか? 何かのTV番組で、そんな話を観た覚えが……」
「ぎゃああああ~っ‼」
この世界の魔族は、本当に他の世界の知識を色々と知ってるらしい。
シャワー室は完全防音。壁や扉は非常に頑丈。ボクがのたうち回って壁や扉に体をぶつけてもビクともしない。
唯一の問題は……「派遣先」の注文に合わせて、僕達の肌の色を変える「薬品」を浴びると……僕達の全身に激痛が走ると云う事だった。
明らかにヤバそうな感じの何色もの派手な色が入り混った液体が、僕の体に注がれ続ける。それほどの温度は無いのに、僕の体からは、煙だか湯気だかが立ち上っていく。
「た……たすけて……死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。むしろ、死なせて。うぎゃァァァァァァっ‼」
『大丈夫だ。苦しいかも知れないけど、お前らの体は、そうそう簡単に死なないようになってる』
どうやら、僕達の世界の「スピーカー」に当たるモノまで存在するらしい。
ついでに「シャワー室」でも声が聞こえるって事は、防水仕様なんだろう。
その液体は文字通り僕の肌を溶かし……そして、赤っぽい色だった元の肌より暗めの色の新しい肌が再生する。
どうも、肌が溶ける時と再生する時のどっちでも痛みが走るらしい。
まぁ、とは言え、死なないってのは本当みたいだ。
この謎の液体を浴びても、皮膚が溶けるだけで、皮膚の下の筋肉は……無事だ。
皮膚が溶けてから再生が終るまでの間、一時的に剥き出しになった筋肉に、この謎液体がかかっても、筋肉には何の変化も影響も無いっぽい。
そして、目に入っても……痛くも何ともない……。あくまでも目は……。目を覆っていた瞼は……当然のように溶けて、今、再生してる途中だ。
でも……おねがいです……せめて……気絶させて……ください。
冗談ぬきで……おねがいだから……。
僕は、佐藤達いじめっ子3人組と一緒の部屋で待たされていた。
でも……。
僕は手も足も2本づつ。体は前の世界のよりマッチョだけど、概ね手が2本、足が2本、頭も1つ(そう言えば、この「地獄」に転生してから一度も鏡を見てないんで、どんな顔か判らないけど、佐藤達と同じ「髭も髪の毛も無い角が生えた獣っぽいような人間っぽいような」顔なんだろう)だ。木村くんと渡辺も同じだ。でも、佐藤は、腕の数が増えている。
「ああ、これか? 適性検査の結果、十人に一人ぐらいのエリート要員だって言われて、この姿に改造されたんだ。何で、エリートだと腕を増やされるか判んないけどな」
「へ……へぇ……すごいね……」
「でも、十人に一人ぐらいって、そんなにすごいか?」
こいつは、いつもそうだ。
でも、多分、悪気は無い。
東大に余裕で受かった人が、Fランにやっと受かった奴に「東大に受かるなんて、そんなにすごい事じゃないよ」とか言ったら、ただの嫌味だ。
きっと、佐藤は、そこが判らないんだろう。
「シャワー室が空いたぞ。次の十匹来い」
その時、「人材派遣業」の「社員」の魔族が、僕達にそう言った。
「シャ……シャワー?」
「この世界にも、そんなモノが有るのか?」
「ここは、他の色んな世界の罪人の魂が行き着く果てだぞ。俺達が、他の世界で発明されたものぐらい、知ってて当然だろ。どんなド田舎だと思ってたんだ?」
魔族の「社員」が面白くも無さそうな表情(ちなみに、段々、表情を読めるようになっていた)でそう言った。
「じゃあ、Wi-Fiのパスワード教えてもらえる?」
両手の手のひらで円を描くような変な仕草をしながら木村くんがそう言うと、佐藤と渡辺が、プッと吹き出す。
どうも、何か元ネタが有るギャグみたいだけど……僕は、その「元ネタ」を知らない。
「この世界にも、お前達の世界で言う『スマホ』や『PC』や『タブレット』に相当するモノは有るが、今のお前らには手の届かない超高級品だ。お前らにWi-Fiの接続方法を教えても意味はない。知りたけりゃ、スマホなんかを買えるぐらい稼いでから出直して来い」
魔族の「社員」が白けた顔のまま、そう答えた。
「じゃあ、ラノベみたいに、元の世界の知識を使って無双なんて出来ない訳か……」
「ごめん、ラノベなんか、あんまり読まねぇんで」
「俺も、田中が何言いたいか判んねぇよ」
「俺も……」
「ホント、田中は、どこの世界に行っても田中だな」
「ところでさぁ……『シャワー室』って、元の世界じゃ、変な意味無かったか? 何かのTV番組で、そんな話を観た覚えが……」
「ぎゃああああ~っ‼」
この世界の魔族は、本当に他の世界の知識を色々と知ってるらしい。
シャワー室は完全防音。壁や扉は非常に頑丈。ボクがのたうち回って壁や扉に体をぶつけてもビクともしない。
唯一の問題は……「派遣先」の注文に合わせて、僕達の肌の色を変える「薬品」を浴びると……僕達の全身に激痛が走ると云う事だった。
明らかにヤバそうな感じの何色もの派手な色が入り混った液体が、僕の体に注がれ続ける。それほどの温度は無いのに、僕の体からは、煙だか湯気だかが立ち上っていく。
「た……たすけて……死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。むしろ、死なせて。うぎゃァァァァァァっ‼」
『大丈夫だ。苦しいかも知れないけど、お前らの体は、そうそう簡単に死なないようになってる』
どうやら、僕達の世界の「スピーカー」に当たるモノまで存在するらしい。
ついでに「シャワー室」でも声が聞こえるって事は、防水仕様なんだろう。
その液体は文字通り僕の肌を溶かし……そして、赤っぽい色だった元の肌より暗めの色の新しい肌が再生する。
どうも、肌が溶ける時と再生する時のどっちでも痛みが走るらしい。
まぁ、とは言え、死なないってのは本当みたいだ。
この謎の液体を浴びても、皮膚が溶けるだけで、皮膚の下の筋肉は……無事だ。
皮膚が溶けてから再生が終るまでの間、一時的に剥き出しになった筋肉に、この謎液体がかかっても、筋肉には何の変化も影響も無いっぽい。
そして、目に入っても……痛くも何ともない……。あくまでも目は……。目を覆っていた瞼は……当然のように溶けて、今、再生してる途中だ。
でも……おねがいです……せめて……気絶させて……ください。
冗談ぬきで……おねがいだから……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが
初
ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる