悲報:悪魔との契約で得た回数制限ありの催眠能力を一瞬で使い切りました

蓮實長治

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悲報:悪魔との契約で得た回数制限ありの催眠能力を一瞬で使い切りました

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「一生の内に、のべ4人までです」
 twitterで表示されていた「悪魔に魂を売って願いを叶えよう」と云うプロモtwをタップしたら現われたそいつは、表情1つ変えないまま冷たい声でヒステリックにそう宣告した。
「はぁ? 俺の魂を売るんだぞ。それなのに『わからせる』事が出来るメスガキが一生の内に4人だけって、どう云う事だどらぁッ‼ てめぇも『わからせ』てやろうか、ウギャウギャウギャギャアアア~っ‼」
 俺は、そのメスガキ悪魔を男らしく理性的に論破した。
「あのですね。あたし達は善人を堕落させたら営業成績が上がるんです。元から善人じゃない貴方の魂の価値からして……これが限界です」
 く……くそ……。
 人間だけでなく、悪魔でさえ、女は馬鹿だ。俺に完璧に論破された事を認めようとせずに、意味不明な事を喚き散らしてやがる。
「何を言っている? 俺は馬鹿な女を導いてやる為に、お前に催眠能力を要求したんだ。こんな善良な目的の為に催眠能力を要求した俺の魂が善良じゃない訳がない」
「判りました。じゃあ、あたしじゃなくて同業者他の悪魔にでも頼んで下さい」
「そうか、いいだろう。じゃあ、他の悪魔を連れて来……」
 その時、朝の7時、天気は晴れなのに……急に暗くなり……。
 雷鳴と獣の咆哮が外から聞こえ……正体不明の悪臭が漂い……更に目に映る全てのモノがぼけやて形が歪み始め……。
「あたしの代りが玄関口まで来てます。後は、御自分で交渉して下さい」
「わ……わかりました。4回で納得します。はい、契約成立~」

 ともかく、俺は一生の内に4回だけ女に好きな催眠をかけられる能力を手に入れた。
 あ、そう言えば昨日から闇野あんの卑怒行ひどゆきの新作映画「シニスター・ウルティマ・シックス」が公開されてた。
 俺は自宅から電車で1時間弱のシネコンのIMAXの空きを確認し……まだ、空きが有るのは1回目の上映だけだ。
 ギリギリ間に合いそうだ。
 俺はアパートを出て、駅に向かい、電車に乗り……。
 まだ、この路線には4人がけのボックスシートの車両が有る。
 俺は、誰も居ないボックス席に座る。
 ふと、周囲を見ると通路の反対側には……二〇半ばぐらいの爽やか系イケメン野郎。
 クソ。
 女は、いつも、あんな奴に騙される。
 ああああ……。
 男にも催眠をかけられるように、あのメスガキ悪魔に要求しとくんだった。
 そうすれば……あのクソ男に「電車を出た途端に自殺しろ」と云う催眠がかけられたのに……。
 ああ……なんて事だ……。
 あの男の毒牙にかかる哀れな女を減らすチャンスが有ったのに……俺は……迂闊にも……。
 ちくしょう……ちくしょう……ちくしょう……ちくしょう……。
 気付いた時には、邪悪なクソ男の向いにJKが2人座っており……。
 いつもこうだ。
 優しい俺ではなく、女どもは邪悪なイケメンに引っ掛かり、その毒牙にかかり、人生をフイにする。
 そんな事を思っていると、次の駅でJK2人が電車に乗って来て……。
 どうやら、計4人のJKは知り合いらしく4人で話し始め……おい、席が空いてるのに、何で、こっちに座ら……おい、来るな、何してやがる、邪悪なイケメン野郎が……。
 その根性がひん曲ったクソ野郎は立ってるJKに席を譲って、こっちに来やがった。
 ところが、更に次の駅で三〇前半ぐらいの男と同じ位の齢のババアとガキが1人、電車に乗り……。
 邪悪な糞イケメンは、そのクソ親子連れに席を譲った。
 あああ……。
 クソ、何て事だ。
 通路の反対側のJK4人は立っている邪悪な糞イケメンを見ながら何かを話しており。
 何故だ?
 何故だ?
 何故だ?
 何故、女は、男を行動ではなく顔で評価する?
 何故、俺のような善良で、女の事を思っている男じゃなくて、あんな邪悪な糞イケメンにばかり惚れる?
 畜生。畜生。畜生。畜生。畜生。畜生。畜生。
 おい、そこの馬鹿なJKども。
 あの男はロクなヤツじゃね~ぞ。
 わからせてやりたい。
 わからせてやる。わからせてやる。わからせてやる。わからせてやる。わからせてやる。
 あああああ……ががががが……ぐげげげげぇ~ッ‼
 ん?
 何だ?
 スマホの着信音? 俺のか?
「はい」
 非通知だったが……一応出てみた。
『あの……何したんですか?』
 どっかで聞き覚えが有るメスガキの声。って……俺に電話をかけるメスガキなんて覚えがねえぞ。
「誰?」
『さっき契約した悪魔です。アフターサービスですが……いくら何でも異常ですよ。もう規定回数の4人分を使い切るって、何をやったんですか?』
 い……いや……待て……何の事?
 ふと……通路の反対側の席のJK達の方を見ると……少なくとも、あのメスガキどもは……邪悪な糞イケメンの方に目を向けていなかった。
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