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プロローグ

Resident Evil

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「放射線……通常レベル。既知の有毒気体……未検出」
 地上用ドローンを操作するオペレーターの声が響く。
「何で……いつも、こうなの?」
 非常にありきたりの始まりだ。
 題名だけは知ってるけど粗筋は良く知らない昭和の日本の推理小説を読んでみたら「異様にややこしい遺言状を残した大金持ちか、因習が有る田舎の名家の出身者が謎の死を遂げました」って事件から始まってた場合の感想に近い。
 困った事に、こっちは本当に人が死んでるけど……。
「どうして、久留米ここの警察署は年に1回のペースで壊滅するんだろうね?」
 MARVELコミックでヘリキャリアが墜落するぐらいの頻度で「福岡県警久留米署内に居た人間の少なくとも半数が死亡」という事件が起きる。
 まぁ、最大の問題は、あたしが、こう云う事件が警察署壊滅・職員皆殺しから始まるのが「ありきたり」ってとんでもない時代に生まれてしまった事だ。
 その時、画面に青い蝶のアイコンが表示される。
『それっぽい魔力・霊力は感じない。少なくとも、こんだけの人を殺せるレベルのは。魔法・呪術・心霊系の災害でもないと思う』
「ねえ……今んとこ見付かった 死体が全部返り血を浴びてんの……偶然かな?」
 あたしは、オペレーターの「三角龍サンジャオロン」に訊いてみる。
「さあ……でも、このドローンも廃棄するか……徹底的に消毒した方が良さそうね」
「医療チーム、レスキュー隊。現場は有害微生物に汚染されている可能性大。現場に入る場合は対NBC装備でお願いします」
了解Affirm
了解Affirm
 あたしは端末が置かれた机の前の椅子に座ると、日本各地どころか……世界各国の同業者に問い合わせをする。
 能力者が出現した前例が有ったか? と……有ったなら、どう対処したか? について……。
 俗に……「正義の味方」と呼ばれる者達からなるネットワーク「世界の守護者ローカ・パーラ」の中でも、最強と言われ、福岡県久留米市・小郡おごおり市・佐賀県鳥栖とす市を管轄するのが、あたし達のチームだ。
 でも……その中でもエース級のメンバーは海外出張中だ。
 国名を「バラティヤ」に変えたインドが始めた周辺国への侵略戦争の背後で世界的テロ組織「神の怒りフューリー」が暗躍しているらしく、その調査と対処の為だ。
 あたし達「正義の味方」も、その最大の敵である「神の怒りフューリー」も……頭を潰したくとも、頭そのものが無い「組織とは呼べない組織」だ。
 昔のハリウッド映画に出て来る駄目な侵略宇宙人ように「司令塔を潰せば全個体が機能停止」なんて都合のいい話は現実には無い。そんな「悪の組織」が有ったとしても、あたし達「正義の味方」や「神の怒りフューリー」その他の「正義の味方」のシステムを真似た別の「悪の組織」によって、とっくの昔に一掃されている。
 多分、あたし達と「神の怒りフューリー」の戦いは、これから何年も何十年も続く。
 ともかく、直近の問題は、今、この久留米に残ってるのは……戦闘要員なら……いわば「2軍」か「1軍だけどスタメン以外」……。あとは、最近、あたし達「正義の味方」から独立した組織となった「異能レスキュー隊」だけって事だ。
 そして……警察は……残念ながら、御覧の有様だ。
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