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第一章:凡夫賊子/Ordinary People
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「一郎っ‼ またやったのかっ⁉」
俺の職場である親父の選挙事務所に……市役所での仕事の最中の筈なのにやって来た親父は……まず、そう怒鳴った。
「あ……あの……父さん……何の事……?」
「いい加減にしろ。我が久留米市の方針は『関東難民の積極的受け入れ』だぞ‼ 市長の息子が、あんな真似をやってるとバレたら……次の市長選が危うくなる」
そ……そんな馬鹿な……。
十年と少し前……富士山の歴史的大噴火が起きて……旧首都圏と山梨・長野・静岡の大部分、そして愛知・岐阜の一部は壊滅した。
その結果……旧政府は消えてなくなり、その代りを「株式会社・日本再建機構」と国連機関が担う事になった。
だが……その程度の事は問題じゃない。
旧政府崩壊以上の問題は……大量の通称「関東難民」の発生だった。
諸外国の援助で、「関東難民」を収容する人工島「Neo Tokyo」が作られたは良いが……折角作ってやった「Neo Tokyo」ではなく、「本土」に住もうとするヤツが後を断たなかった。
しかも、現在存在している4つの「Neo Tokyo」の内、九州本土に最も近い「Site01」通称「千代田区」でとんでもない騷ぎが次々と起き……そこから「本土」へ逃げて来る連中も多くなっていた。
当然、「地元民」と呼ばれる古くから「本土」に住んでる俺達と軋轢が起きた。
例えば、九州の多くの県では、6~7年前に「強制的夫婦別姓」「改姓禁止」条例が制定された。表向きの理由は色々と有るが、本当の制定理由は……全国的にはそこそこ居るが、この地域には少ない名字のヤツらが結婚や養子縁組で「地元民」であるかのように偽装するのを防ぐ為だ。
そして、親父も……元々は……「関東難民」排斥派だった……。
だが、市長になり……3期に突入し……段々、おかしくなってきた。
俺の妹と「関東難民」の男の結婚を許し……「関東難民」を優先して入らせる公営団地を作り……。
ふざけるな……。
億が一、関東難民排斥が「悪」だとしても……俺が関東難民排斥派になったのは、親父の影響だ。
それを今になって……。
「あ……あの……。お義父さん……それ位に……。義兄さんも反省してると思うので……」
気まずそうな声をかけたのは、俺の義理の弟……つまり妹の旦那である関根優斗だった。
「優斗くん。君の唯一の欠点は、この馬鹿に甘い事だよ。例え、私の息子でも、こいつが馬鹿である以上、馬鹿に相応しい扱いをしてくれ」
何だよ……何で……本当の息子より……義理の息子の方を大事にするんだよ?
「さて……本題だ。次の選挙では……我が市を県内3番目の政令指定都市にする事を公約に掲げる。そして……その公約を果たした後は……引退して次の世代に市長の座を譲り渡すつもりだ」
え……だとすると……親父の次に市長選に立候補するのは……。
「優斗くん……。私の後任に相応しいのは……『関東難民』と『地元民』の融和の象徴になり得る君だよ。後援会の皆さんも君を推している」
「えええええっ⁉」
「えええええっ⁉」
俺と、俺の義理のクソ弟は、同時の驚愕の叫びを上げた。
「あの……何で……俺じゃなくて……その……」
「気は確かか? 私は慎重派で現実家なんでな……。実の息子とは言え……三〇過ぎて定職にも付かずに、あんなロクデモない『遊び』をやってるヤツに……市長となる可能性を1%でも与えるような危険な真似は恐くて出来ん」
俺の職場である親父の選挙事務所に……市役所での仕事の最中の筈なのにやって来た親父は……まず、そう怒鳴った。
「あ……あの……父さん……何の事……?」
「いい加減にしろ。我が久留米市の方針は『関東難民の積極的受け入れ』だぞ‼ 市長の息子が、あんな真似をやってるとバレたら……次の市長選が危うくなる」
そ……そんな馬鹿な……。
十年と少し前……富士山の歴史的大噴火が起きて……旧首都圏と山梨・長野・静岡の大部分、そして愛知・岐阜の一部は壊滅した。
その結果……旧政府は消えてなくなり、その代りを「株式会社・日本再建機構」と国連機関が担う事になった。
だが……その程度の事は問題じゃない。
旧政府崩壊以上の問題は……大量の通称「関東難民」の発生だった。
諸外国の援助で、「関東難民」を収容する人工島「Neo Tokyo」が作られたは良いが……折角作ってやった「Neo Tokyo」ではなく、「本土」に住もうとするヤツが後を断たなかった。
しかも、現在存在している4つの「Neo Tokyo」の内、九州本土に最も近い「Site01」通称「千代田区」でとんでもない騷ぎが次々と起き……そこから「本土」へ逃げて来る連中も多くなっていた。
当然、「地元民」と呼ばれる古くから「本土」に住んでる俺達と軋轢が起きた。
例えば、九州の多くの県では、6~7年前に「強制的夫婦別姓」「改姓禁止」条例が制定された。表向きの理由は色々と有るが、本当の制定理由は……全国的にはそこそこ居るが、この地域には少ない名字のヤツらが結婚や養子縁組で「地元民」であるかのように偽装するのを防ぐ為だ。
そして、親父も……元々は……「関東難民」排斥派だった……。
だが、市長になり……3期に突入し……段々、おかしくなってきた。
俺の妹と「関東難民」の男の結婚を許し……「関東難民」を優先して入らせる公営団地を作り……。
ふざけるな……。
億が一、関東難民排斥が「悪」だとしても……俺が関東難民排斥派になったのは、親父の影響だ。
それを今になって……。
「あ……あの……。お義父さん……それ位に……。義兄さんも反省してると思うので……」
気まずそうな声をかけたのは、俺の義理の弟……つまり妹の旦那である関根優斗だった。
「優斗くん。君の唯一の欠点は、この馬鹿に甘い事だよ。例え、私の息子でも、こいつが馬鹿である以上、馬鹿に相応しい扱いをしてくれ」
何だよ……何で……本当の息子より……義理の息子の方を大事にするんだよ?
「さて……本題だ。次の選挙では……我が市を県内3番目の政令指定都市にする事を公約に掲げる。そして……その公約を果たした後は……引退して次の世代に市長の座を譲り渡すつもりだ」
え……だとすると……親父の次に市長選に立候補するのは……。
「優斗くん……。私の後任に相応しいのは……『関東難民』と『地元民』の融和の象徴になり得る君だよ。後援会の皆さんも君を推している」
「えええええっ⁉」
「えええええっ⁉」
俺と、俺の義理のクソ弟は、同時の驚愕の叫びを上げた。
「あの……何で……俺じゃなくて……その……」
「気は確かか? 私は慎重派で現実家なんでな……。実の息子とは言え……三〇過ぎて定職にも付かずに、あんなロクデモない『遊び』をやってるヤツに……市長となる可能性を1%でも与えるような危険な真似は恐くて出来ん」
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