4 / 69
第一章:凡夫賊子/Ordinary People
(3)
しおりを挟む
『あの女が、例のミニコミ誌の編集長らしいんで、とりあえず、尾行してみます』
仲間の徳永から送られてきた動画から、そう声がした。
画面に映ってるのは、雑居ビルの玄関と、そこから出て来た三〇後半ぐらいの女。
「お~し、ちゃんと家を突き止めろよ。もし子供が居たら……狙うのは、あの女じゃなくて子供だ」
『え~、でも、あの女ぐらい俺が……』
「お前、熟女フェチだったっけ?」
『ぶちのめして拉致って自白させるなら、あいつが一番って意味ですよ。って、何で子供なんすか?』
「おい、俺は、酒井と違ってロリコンじゃね~ぞ」
『誰も聞いてないっすよ、そんな事』
「古川のおっちゃんみたいに、手荒に扱っても反撃しない女にしか勃たない訳でもね~ぞ」
『だから、誰もんな事は聞いてないっす』
「家族を狙うのは、猿渡のおっちゃんが広域組対に居た頃に使ってた手だそうだ……。以前、一緒に飲んだ時に、ベラベラしゃべりやがった」
猿渡のおっちゃんは、親父の選挙事務所の警備顧問だ。
警備顧問なんてもっともらしい呼び方だが、正体は、よりにもよってヤクザと癒着してた事がバレで馘になった広域組対の元警官。
癒着していたヤクザに、かなりヤバい情報を流してたんだが……その過程で警察の上の方の弱味を握り、表向きは「自己都合退職」で済んだらしい。……退職金も、ちゃんと出たそうだ。
それを、俺の親父が「拾って」便利屋として使っている。
『え~、でも……猿渡さん、それやって酷い目に遭ったんじゃないですか?……何でも、対異能力犯罪広域警察の「レンジャー隊員」を、その手で脅そうとして……逆に対異能力犯罪広域警察の連中から闇討ちされて大怪我したとか……』
「あのなぁ……『御当地ヒーロー』どもやヤクザやヤンキーじゃあるまいし、何で、警察がそんな真似やるんだよ?」
『じゃあ、何で、あのオッサン、四〇ぐらいなのにステッキが手放せないんですか?』
「護身用だろ……? あのオッサンに恨み持ってるヤツは結構……」
『いや、だから、この辺りのヤクザって「御当地ヒーロー」に一掃されたじゃないですか……。誰から身を護るんですか? 誰から?』
「ところで、これ……家に帰ってるのか?」
画面に映ってるのは……西鉄久留米駅前の繁華街。
『帰りに……飲みにでも行く気なんですかねぇ?』
「あ……そもそも、こいつの家どこだ?」
『いや、だから、それを突き止める為に、俺が尾行してんじゃないですか』
「今気付いたけど……そいつが電車通勤だったらさ……」
『あ……あれ?』
徳永が尾行していた女は……何故か交番に入った。
そして、女と警官が交番から出て来て……こっち……つまり撮影している徳永を指差し……。
おい、逃げろ徳永。
撮影は、いいから、携帯捨てろ。それも車に轢かれて粉々になるとかの確実に壊れる捨て方で。
あ、まずいぞ徳永。
おい、やめろ通行人、そいつは善良な一般市民だ。中年女を尾行してた変質者なんかじゃない。
だから、携帯を壊せ徳永。
あ……ヤバい。俺達の事をゲロすんじゃねえぞ、徳永。
「おい、みんな……良く聞け……。俺達には、徳永なんて友達も仲間も同志も居なかった。判ったな」
「は~い」
「よし、一応、携帯電話の通話記録と、徳永とかいう良く知らないヤツから来たメールやメッセージは全部消しとけよ」
そう言いながら、俺はMaeveのグループから徳永を削除した。
仲間の徳永から送られてきた動画から、そう声がした。
画面に映ってるのは、雑居ビルの玄関と、そこから出て来た三〇後半ぐらいの女。
「お~し、ちゃんと家を突き止めろよ。もし子供が居たら……狙うのは、あの女じゃなくて子供だ」
『え~、でも、あの女ぐらい俺が……』
「お前、熟女フェチだったっけ?」
『ぶちのめして拉致って自白させるなら、あいつが一番って意味ですよ。って、何で子供なんすか?』
「おい、俺は、酒井と違ってロリコンじゃね~ぞ」
『誰も聞いてないっすよ、そんな事』
「古川のおっちゃんみたいに、手荒に扱っても反撃しない女にしか勃たない訳でもね~ぞ」
『だから、誰もんな事は聞いてないっす』
「家族を狙うのは、猿渡のおっちゃんが広域組対に居た頃に使ってた手だそうだ……。以前、一緒に飲んだ時に、ベラベラしゃべりやがった」
猿渡のおっちゃんは、親父の選挙事務所の警備顧問だ。
警備顧問なんてもっともらしい呼び方だが、正体は、よりにもよってヤクザと癒着してた事がバレで馘になった広域組対の元警官。
癒着していたヤクザに、かなりヤバい情報を流してたんだが……その過程で警察の上の方の弱味を握り、表向きは「自己都合退職」で済んだらしい。……退職金も、ちゃんと出たそうだ。
それを、俺の親父が「拾って」便利屋として使っている。
『え~、でも……猿渡さん、それやって酷い目に遭ったんじゃないですか?……何でも、対異能力犯罪広域警察の「レンジャー隊員」を、その手で脅そうとして……逆に対異能力犯罪広域警察の連中から闇討ちされて大怪我したとか……』
「あのなぁ……『御当地ヒーロー』どもやヤクザやヤンキーじゃあるまいし、何で、警察がそんな真似やるんだよ?」
『じゃあ、何で、あのオッサン、四〇ぐらいなのにステッキが手放せないんですか?』
「護身用だろ……? あのオッサンに恨み持ってるヤツは結構……」
『いや、だから、この辺りのヤクザって「御当地ヒーロー」に一掃されたじゃないですか……。誰から身を護るんですか? 誰から?』
「ところで、これ……家に帰ってるのか?」
画面に映ってるのは……西鉄久留米駅前の繁華街。
『帰りに……飲みにでも行く気なんですかねぇ?』
「あ……そもそも、こいつの家どこだ?」
『いや、だから、それを突き止める為に、俺が尾行してんじゃないですか』
「今気付いたけど……そいつが電車通勤だったらさ……」
『あ……あれ?』
徳永が尾行していた女は……何故か交番に入った。
そして、女と警官が交番から出て来て……こっち……つまり撮影している徳永を指差し……。
おい、逃げろ徳永。
撮影は、いいから、携帯捨てろ。それも車に轢かれて粉々になるとかの確実に壊れる捨て方で。
あ、まずいぞ徳永。
おい、やめろ通行人、そいつは善良な一般市民だ。中年女を尾行してた変質者なんかじゃない。
だから、携帯を壊せ徳永。
あ……ヤバい。俺達の事をゲロすんじゃねえぞ、徳永。
「おい、みんな……良く聞け……。俺達には、徳永なんて友達も仲間も同志も居なかった。判ったな」
「は~い」
「よし、一応、携帯電話の通話記録と、徳永とかいう良く知らないヤツから来たメールやメッセージは全部消しとけよ」
そう言いながら、俺はMaeveのグループから徳永を削除した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる