「正義の暴走」とは無縁なヒーロー!! その名は2代目クリムゾン・サンシャイン!!

蓮實長治

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第一章:凡夫賊子/Ordinary People

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「どうするんですか? もうすぐ4時すよ……」
 時代劇だったら「敵ながら見事」なんて台詞が出て来る所だろう。
 しかし、残念ながら、ここは現実だ。
 俺達が金属バットに蹴りにパンチで優しく説得しても……この「正義の味方」を名乗るテロリストの一員は仲間の情報を吐かなかった。
 マズい……非常にマズい……。
「なあ、お願いだから、仲間の『正義の味方』の身元を洗い浚い吐いてくれよ。頼む、こっちにも都合が有るんだ。お願いします」
 撮影用のデジカメのSDメモリが、そろそろ満杯になる。
 クソ、4K画質で撮影するんじゃなかった。
「し……知らない……ぼ……僕は……き……君達が言ってる『正義の味方』なんかじゃ……」
 畜生。これだから、関東難民は人権を認めるべきじゃないヒトモドキなんだ。
 俺達が、こんなに困ってるのに、自分の都合しか考えやがらない。
「じゃあ、何で、クリムゾン・サンシャインのコスチュームを持ってたんだよ?」
「……え……えっと……」
「ふざけんじゃねェ~ッ‼ お前が偽クリムゾン・サンシャインになって悪事を働いて、本物のクリムゾン・サンシャインの評判を落すつもりだったんだろ~がぁッ‼ さっさと吐けえ~っ‼ 親父の命が惜しくないのかッ‼」
 こいつの部屋の押入に入ってたクリムゾン・サンシャインのコスチュームは、コスプレ用の衣装なんかじゃない……。
 どうやら、バイクのライダースーツを改造した……ちゃんとした防具付のモノだ。
「あ……あの……緒方さん……」
 山下が、恐る恐ると云った感じの声を出す。
「何だ? こっちは急がしいんだぞ」
「ひょっとして、こいつが本物のクリム……」
「はぁッ⁉」
 だが、次の瞬間、堤が慌てて山下の口を塞ぐ。
「おい、お前、寝不足でボ~ッとしてんだろ? そうだろ? なぁ?」
「あ……ああ……多分……」
 何だ、この2人?
「緒方さん、この親子、いくら痛め付けても……吐きそうにないっすよ。夜が明けない内にずらかりましょうよ」
「そうだな……」
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