「正義の暴走」とは無縁なヒーロー!! その名は2代目クリムゾン・サンシャイン!!

蓮實長治

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第二章:邪悪之曙光/Dawn of Injustice

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 何故……こんな事になってしまったんだ?
 俺達は……「関東難民」を多く雇用しているIT企業に……穏当な交渉に出掛けただけだった。
 まぁ、万が一の為の護身用に、金属バットに、サバイバル・ナイフに……あと、暴力団やテロ組織が、ここ1~2年で軒並潰れたせいで、仕事がなくなってるそっち系の連中から買った拳銃や散弾銃や「呪符」ぐらいは持って行っていたが……。
『関東難民の社員に基本的人権の1つである「居住移転の自由」を行使させて、復興が全然進んでない昔の住居に送り返していただけないか? 俺が親父の跡を継いで市長になったら、関東難民を雇ってる企業に制裁を加えるので、今の内に、関東難民の社員を馘にして、あんたの会社の金で関東に送り返すのが身の為だぞ』
 そんな感じで理性的で現実的な大人の男同士の話をする筈だったが……問題のIT企業の久留米事業所の責任者は、なんと、女だった。
 こんな異常事態は想定していなかったが、それすら最大の問題じゃない。
「また、お前らかッ‼」
 またしても情報が漏れていたのだ。
 やっぱり、動画サイトに「これから、どこそこに抗議に行きます。何時からライブ配信しますから見てね~」って予告をやるのはやめた方が……いや、そうでもしないと視聴者数がちょっとな……難しい話だ……。
 声からすると若い女らしい強化服パワード・スーツ姿の「魔法使い」は俺達を魔法で金縛りにしやがった。
「こいつら、今日こそ県警けいさつに突き出そうよ。流石に、白昼堂々、こんな所に有るビルん中で散弾銃をブッ放したんだよ。もう、洒落じゃ済まない」
 女にしては背が高めの若干の外人訛りが有る奴が、強化服パワード・スーツ姿の「魔法使い」にそう言った。
「ま……待て……弁護士と電話させてくれ」
「『取調べ前に弁護士と話しをさせろ』と県警けいさつにはちゃんと伝えておく。安心しろ」
「そもそも、キミ達のタワ言を人間の言葉に翻訳する人が居ないと、県警けいさつも取調べが出来ないだろ~しね……」
 しかし……。
県警けいさつ……何やってんの?」
「連絡して、もう三〇分だぞ……」
「いつになったら来るんだよ?」
 ああ……そうだ……いつになったら来てくれるんだ?
 ……今日もだ……。
 何故だ……何故なんだ?
 ここ1ヶ月以上、自称「正義の味方」どもが……俺達、善良な市民をどれだけ踏みにじろうと……俺達のクリムゾン・サンシャインは姿を現わしてくれない……。
 どうして……どうしてなんだ?
 ま……まさか……。
 そ……そんな……。
「お前らっ‼ 殺したのかっ⁉ あの人をっ‼」
「へっ?」
「何を言ってんだ、こいつ?」
「しらばっくるなっ‼ お前らが……殺したんだろう、クリムゾン・サンシャインをっ‼ お前らに都合が悪い、お前らとは違う、真のヒーロー、俺達善良な市民の味方であるクリムゾン・サンシャインをっ‼ お前らが殺したんだろうがぁ~っ‼」
 だが……おい、どうなってる?
 奴らは基本的に顔を隠してるので、どんな表情なのかは判らない。
 でも……奴らは顔を見合せて、首をかしげ……。
 クソ……奴らが顔を隠してるのは、その為だったのか?
 奴らは……クリムゾン・サンシャインが居なくなった理由を知らないフリをしている。
 俺達と……そして、クリムゾン・サンシャインを蔭ながら応援している善良な市民達を騙せると思っている。
 下手な芝居をしやがって……でも……下手な芝居でも、顔を隠していれば、そこそこには胡麻化せる。
 マズい……もう……俺達、善良な市民を護ってくれる「真のヒーロー」は居なくなったんだ……。
 あの人は……こいつらに……この「正義の味方」を僭称する独善的な狂信者どもに血祭りに上げられたのだ……。
 ああ……何て事だ……。
 誰かが……誰かが彼の代りに……いや……待て……。
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