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ネット上の情報を鵜呑みにする困った爺さん:「馬鹿親父のせいでヤバい施設にブチ込まれまして」篇
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その日、私は、自宅で、課長とWEB会議をやっていた。
「やっぱ、ウチのPCじゃ、コンパイルと単体テストだけで会社のPCの倍はかかりますね……何とかなりませんか?」
『う~ん、ちょっとねぇ、この状態がいつまで続くか判んないし、手続がややこしいんでさぁ……。あれ、ちょっと待って』
「どうしました?」
『ウチの親父が俺の部屋に入って来た。すぐ、おっ払うよ。父さん……仕事中は部屋に入らないでくれって……』
次の瞬間、課長の悲鳴。
『先生、こいつです』
『大丈夫です、すぐに治りますから』
『何だ、お前らは?』
『いい齢して恥かしくないのか?』
『御家族に迷惑をかけて、すまないと思わないのか?』
課長のPCのマイクは、かすかだが……かなり不穏な内容の音声を捉え……そして、何者かが課長のPCをシャットダウンしたらしく、通信は断絶した。
「課長っ!! 大丈夫ですかっ!? 何が有ったんですかッ!?」
私は、慌てて、課長の携帯に連絡を入れる。
『あ……あいつの会社の方ですか?』
何故か聞き覚えが有るのに、誰か判らない、結構な齢の男性の声。
『すいません。あの馬鹿、出社もせずに、会社に御迷惑をかけてるようで……。すぐに治りますので』
「だ……誰ですか、貴方?」
だが……段々と、この声の主が誰かの推測が付いた。課長の声に良く似ている……しかし、課長よりは……20~30ぐらい年上らしき男性の声。
でも……だとすると……何故?
『申し遅れましたが……あいつの父親です』
警察に連絡したが、一体全体、何をどう説明すれば良いのか判らず、取り合ってもらえなかった。たしかに説明のやりようは無い。私にも何が起きたのか全然判らなかったのだから、どう警察に説明すれば良いのか?
続いて、会社に連絡……と言っても、例の伝染病で自宅勤務中の総務と部長にメールで連絡を入れた。
そして、課長と数日間連絡が取れず……ようやく、会社が動き出した。
「すいません、ウチの馬鹿息子が会社に御迷惑をかけたようで……施設の方の話ですと、1~2週間でマトモに戻るそうなので……はい」
私と総務の人間と部長が課長の家を訪ねると、課長の父親が我々を出迎えた。課長に良く似た顔だが、痩せて背も低かった。
「あの……息子さんは、どこに……? あと『施設』とおっしゃいましたが……何の施設でしょうか?」
部長は戸惑いながら、課長の父親に、そう聞いた。
「はい……『中年引きこもり』の更生施設です」
……更に数日後、課長は警察によって「中年引きこもりの更生施設」を名乗る監禁場所から救出されたが……重度の鬱とパニック障害を発症しているらしい。
困った事に、課長の自宅には「重度の鬱とパニック障害」を発症した原因が住んでいる為、課長は緊急入院する羽目になった。
課長が仕事に復帰出来る目処は立っていない。
ついでに、課長の父親が、その「中年引きこもりの更生」を謳う団体に貢いだ金は……私の年収に匹敵する金額だったらしい。
「あの……だから、何で、あんな連中を呼んで、息子さんの身柄を預けたんですか?」
その刑事を名乗るウチの馬鹿息子より更に年下らしい若造は、俺をそう言って非難した。
「いや、だって、ウチの息子がいい齢して引きこもりになっちまったんで……。四十過ぎで引きこもりなんて外聞が悪いだろ」
「あのですね。息子さんの会社は、例の伝染病のせいでリモートワークをする事になってるんですよ」
「いや、あんた、ネットの情報を見てないのか?」
「はぁ?」
「あのさぁ、あの伝染病は大した事は無いし、特に五十より下のヤツが感染しても重症化しない、ってネットに書いてあったぞ。リモートワークしてる会社なんて今時無いに決ってるだろ」
「まぁ、貴方が息子さんを引きこもりになったと勘違いしたのは仕方ないとしましょう。でも、何で、あんなあからさまに怪しい連中を呼んだんですか?」
「ネットで見付けたんだよ」
「おかしいとは思わなかったんですか?」
「ネットでの評判は良かったぞ」
目の前の自称・刑事は溜息を付いた。
「あ、そうだ。もう1回警察手帳見せてもらえる?」
「はいはい。気の済むまで確認して下さい……って……」
「あ……もしもし、警察ですか? 刑事を名乗る不審人物から脅迫を受けてるんですが……ええ、偽の警察手帳は持ってましたが、ネットの画像検索で表示された警察手帳と全然違ってて……」
「やっぱ、ウチのPCじゃ、コンパイルと単体テストだけで会社のPCの倍はかかりますね……何とかなりませんか?」
『う~ん、ちょっとねぇ、この状態がいつまで続くか判んないし、手続がややこしいんでさぁ……。あれ、ちょっと待って』
「どうしました?」
『ウチの親父が俺の部屋に入って来た。すぐ、おっ払うよ。父さん……仕事中は部屋に入らないでくれって……』
次の瞬間、課長の悲鳴。
『先生、こいつです』
『大丈夫です、すぐに治りますから』
『何だ、お前らは?』
『いい齢して恥かしくないのか?』
『御家族に迷惑をかけて、すまないと思わないのか?』
課長のPCのマイクは、かすかだが……かなり不穏な内容の音声を捉え……そして、何者かが課長のPCをシャットダウンしたらしく、通信は断絶した。
「課長っ!! 大丈夫ですかっ!? 何が有ったんですかッ!?」
私は、慌てて、課長の携帯に連絡を入れる。
『あ……あいつの会社の方ですか?』
何故か聞き覚えが有るのに、誰か判らない、結構な齢の男性の声。
『すいません。あの馬鹿、出社もせずに、会社に御迷惑をかけてるようで……。すぐに治りますので』
「だ……誰ですか、貴方?」
だが……段々と、この声の主が誰かの推測が付いた。課長の声に良く似ている……しかし、課長よりは……20~30ぐらい年上らしき男性の声。
でも……だとすると……何故?
『申し遅れましたが……あいつの父親です』
警察に連絡したが、一体全体、何をどう説明すれば良いのか判らず、取り合ってもらえなかった。たしかに説明のやりようは無い。私にも何が起きたのか全然判らなかったのだから、どう警察に説明すれば良いのか?
続いて、会社に連絡……と言っても、例の伝染病で自宅勤務中の総務と部長にメールで連絡を入れた。
そして、課長と数日間連絡が取れず……ようやく、会社が動き出した。
「すいません、ウチの馬鹿息子が会社に御迷惑をかけたようで……施設の方の話ですと、1~2週間でマトモに戻るそうなので……はい」
私と総務の人間と部長が課長の家を訪ねると、課長の父親が我々を出迎えた。課長に良く似た顔だが、痩せて背も低かった。
「あの……息子さんは、どこに……? あと『施設』とおっしゃいましたが……何の施設でしょうか?」
部長は戸惑いながら、課長の父親に、そう聞いた。
「はい……『中年引きこもり』の更生施設です」
……更に数日後、課長は警察によって「中年引きこもりの更生施設」を名乗る監禁場所から救出されたが……重度の鬱とパニック障害を発症しているらしい。
困った事に、課長の自宅には「重度の鬱とパニック障害」を発症した原因が住んでいる為、課長は緊急入院する羽目になった。
課長が仕事に復帰出来る目処は立っていない。
ついでに、課長の父親が、その「中年引きこもりの更生」を謳う団体に貢いだ金は……私の年収に匹敵する金額だったらしい。
「あの……だから、何で、あんな連中を呼んで、息子さんの身柄を預けたんですか?」
その刑事を名乗るウチの馬鹿息子より更に年下らしい若造は、俺をそう言って非難した。
「いや、だって、ウチの息子がいい齢して引きこもりになっちまったんで……。四十過ぎで引きこもりなんて外聞が悪いだろ」
「あのですね。息子さんの会社は、例の伝染病のせいでリモートワークをする事になってるんですよ」
「いや、あんた、ネットの情報を見てないのか?」
「はぁ?」
「あのさぁ、あの伝染病は大した事は無いし、特に五十より下のヤツが感染しても重症化しない、ってネットに書いてあったぞ。リモートワークしてる会社なんて今時無いに決ってるだろ」
「まぁ、貴方が息子さんを引きこもりになったと勘違いしたのは仕方ないとしましょう。でも、何で、あんなあからさまに怪しい連中を呼んだんですか?」
「ネットで見付けたんだよ」
「おかしいとは思わなかったんですか?」
「ネットでの評判は良かったぞ」
目の前の自称・刑事は溜息を付いた。
「あ、そうだ。もう1回警察手帳見せてもらえる?」
「はいはい。気の済むまで確認して下さい……って……」
「あ……もしもし、警察ですか? 刑事を名乗る不審人物から脅迫を受けてるんですが……ええ、偽の警察手帳は持ってましたが、ネットの画像検索で表示された警察手帳と全然違ってて……」
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