弱者を装う強者(プレデター)

蓮實長治

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弱者を装う強者(プレデター)

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「あれ? 道が違いますよ。曲るのは次の交差点で、しかも逆方向ですよ」
 制服姿のJK……ひょっとしたらJCかも知れない……は助手席で俺にそう言った。
 古典的な「道を教えてくれ」と云う手で、俺の車に連れ込んだメスブタだ。
「ああ、そうなの。どうしよう……こっから、どう行ったらいいの?」
 まぁ、こんな可愛いメスブタが居るかと云う奴も居るだろうが……俺のチ○コで(作者注:以下、どんなエロ好きでも吐き気がするであろう独白につき自粛)。
 まったく人生初ナンパが、ここまで巧くいくとは俺もついている。
 その時、カーラジオから嫌な話が流れた。
 サヨク系らしきアナウンサーが、ある市役所で行なわれている生活保護ナマポの水際作戦を批判していたのだ。
「ねえ、ナマポなんて人間のクズだよね。弱者のフリしてる奴らにロクなのは居ないよね。twitterでも、みんなそう言ってるし」
「そうですね」
 おお、中々、素直なメスブタちゃんだ。
 人生初調教の相手は大当りかも知れない。
「そして、『俺は、弱者のフリしてるロクデナシには引っ掛からない』って思ってる奴が、真っ先に騙されるんだよ」
 えっ?
 いや、待て、この声は……メスブタちゃんじゃない。
 でも、声がしてるのは助手席……。
 まずい。
 俺の本能が助手席を見るなと言っている。
 けど……。
「お前の人生が終ったのは今じゃない」
 えっ?
「俺を車に乗せた時でもない」
 だから……誰が何を言ってんだ?
「とっくに終ってたんだよ。お前がそんな人間になった時点で、お前の人生は詰んでたんだよ」

「あの……都内で変な交通事故が連続して起きてるって噂が有るんですが……」
 いわゆる「警察サツまわり」の新人新聞記者は交通安全課の古株の刑事に、そう尋ねた。
「『変な』って、どう云う意味で『変』なんだ?」
「なんか……暴走事故を起こした車の中に、誰も人が乗ってなかった、って……」
「ある訳ねえだろ、んな事はこたあ
「いや、でも……」
「仮に有ったとしてもだよ、お前、自分の会社の先輩パイセンから、ちゃんと教育受けてね~のか? 俺らが記者会見で正式発表するまでは、何も書くな、って」
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