神クラスのエロ同人作家になれる魔法の液タブですが……欠陥商品だと判明しました

蓮實長治

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神クラスのエロ同人作家になれる魔法の液タブですが……欠陥商品だと判明しました

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「な……何だ、お前は?」
「ああ、どうも。悪魔です」
 私は、そう言って、その男のPCのモニタの中から顔を出した。
 我々も時代に合わせて出現方法を工夫している。
「あ……悪魔?」
「ええ、貴方はエロ同人作家になって、好きなだけエロ絵を描きながら大儲けがお望みのようですが……」
「そ……そうだけど……」
「で、描きたいジャンルは鬼畜系と」
「う……うん」
「だけど、画力も無い上に描くのも遅い。しかも……キャラや構図や話のプロットのアイデアは……誰かの真似しか出来ない」
「あ……ああ、そうなんだよ……困った事に」
「じゃあ、この魔法の液タブを使えば……神エロ絵師になれますよ。画力は向上。アイデアも次々と湧く筈です」
「悪魔のアイテムで……『神』エロ絵師?」
「ああ、『神』と呼ばれてるヤツも我々の同胞でして……。貴方の想像するような『神』は居ません。居るのは司る悪徳が違う様々な悪魔だけ。貴方達人間が、勝手に『人間にとって相対的に都合が良い』悪魔を『神』と呼んでる訳で。私も千三百年ほど前のこの国では『神』と呼ばれてまして。この近所にも、私を祀ってる神社が……」
「ええっと……それはいいけど……でも……これ使うと何か代償が有る訳でしょ?」
「貴方には有りません。お代も不要です。ただし……」
「ただし……何?」
「貴方が大切に思う誰か……例えば将来出来る恋人や子供が、貴方の描いた鬼畜系エロ絵と同じ目に遭う事になります」
「なんだ……そんな事か……。なら……もらおう」
 新商品は、あっさり売れた。いや……あっさり売れ過ぎた。
 私の心に、若干の不安が生じた。
「あと……アフターサポートは、ここに連絡して下さい」

「おい、悪魔……お前からもらった魔法の液タブを使っても……肝心のアイデアが浮かばねぇぞ‼」
 半月ほどで、私は再び呼び出された。
「あ……では……ちょっと調べさせてもらいます」
「おい、待て……何だ……それは?」
「大丈夫です。痛くないですから……」
 私は魔法の「脳味噌取り出し装置」で客の脳味噌を取り出し……。

 やっぱりそうだった。
 私が売った「魔法の液タブ」は「今既に居るか将来出来る『愛する者』を『売る』代りに才能を授ける」モノだ。
 しかし……この客の脳を隅から隅まで調べても……ここ半月ほど懸念していた通り……「人を愛する心」はどこにも無かった。
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