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スマホ・アプリ「あなたの感想ですよね」サービス終了のお報せ
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『いや、第二の犯人が近くの芝生の丘に居た事は自明じゃないですか。何、ムキになって陰謀論をわめきちらしてんですかwwww』
少し前に起きた選挙期間中の文部科学大臣刺殺事件に対する陰謀論をSNSで広めてた奴が居たので、早速、論破してやった。
『あの……刺殺現場の近くに「芝生の丘」なんて有りませんよ』
『それって、あなたの感想ですよねwwww』
スマホ・アプリ「あなたの感想ですよね」は、この投稿を「叩いてもOK」と判断してくれている。
つまり、こいつが投稿した陰謀論は間違ってるって事だ。
なお、ここで言う「間違ってる」とは、炎上した場合に、アカウントを消す羽目になるのは、俺じゃなくて、こいつだ、って意味だ。
『いや、無いですよ』
『何、感情的になってんですかwwwww。地図まで貼り付けてwwwww』
ん?
地図?
おい、確かに……刺殺現場の近くには……。
無い。
無い。
見当らない。
どこにも無い。
『大体、直接の死因は刺し傷なのに、何で、「近くの芝生の丘」に居た狙撃手が真犯人って事になるんですか? 「近くの芝生の丘」の狙撃手は水中銃で銛でも撃ったんですか?』
『そうだ、そうです。銛で狙撃したんだ‼』
『そもそも、「近くの芝生の丘」って、何の事か知ってるんですか?』
『だから、近くに芝生の丘が有ったんだろ』
『無いでしょ。地図を良く見て下さい』
あ……言われてみれば……。
……えっと……。
『「近くの芝生の丘」って、一九六三年のケネディ暗殺の「近くの芝生の丘から第二の銃声が聞こえた」って云う都市伝説を元ネタにした冗談ですよ』
……ま……待て……どう云う事?
じゃあ、何で「あなたの感想ですよね」は……この投稿を「叩いてもOK」って判断したんだ?
その時、メールの着信が……おいっ⁉
『スマホ・アプリ「あなたの感想ですよね」は、諸般の事情によりサービスを停止いたします。今までの御利用ありがとうございました』
「マズいねこれ……」
「世間の潮目がすっかり変っちゃったね……」
俺は、大学の同じ研究室のヤツと、スマホ・アプリ「あなたの感想ですよね」を開発した。
とは言え、我ながら趣味がいいアプリとは思えない。
要は、SNS上の書き込みに対して、「叩いてもOKか?」を判定するAIだ。
しかし……。
あの次期総理と見做されていた大臣の刺殺事件が切っ掛けで、与党のスキャンダルが次々と明みに出てしまった。
カルト宗教・ヤクザ・半グレなどとの洒落じゃ済まない癒着が判明し……。
ここ一〇年、絶大な支持を得ていた与党は、一年後に存続しているかさえ誰にも判らなくなっていた。
俺達が作った「あなたの感想ですよね」の学習データは、ここ一〇年ほどのSNS上の書き込みだ。
けれど……世論が、たった一月で、これまでとは逆転した。
逆転したとは言っても……。
「で、どうだった? 今までと評価基準を逆にしたら?」
「駄目だ。そんな単純な手では巧くいかない」
今まで「AIが高い点数を付けた書き込みを『叩いてOK』と見做す」だったのを、「AIが低い点数を付けた書き込みを『叩いてOK』と見做す」に変えてみたが……どうしても、チグハグな結果が出てしまう。
とは言え、AIに再学習をやらせるにも、学習データは足りないし、そもそも、学習データであるSNSへの書き込みが、これからどう変っていき、いつ安定状態になるか、予想が付かない。
「まぁ、いい小遣い稼ぎにはなったけど……潮時かな?」
「そうだな……もうやめて、別のアプリを作るか……」
一口にAIと言っても色々な方式が有るが……俺達が専門にしてるのは、過去のデータを元にしたAI……言わば、人間の「理性」「合理性」を再現するAIではなく、「勘」「経験則」を再現するAIだ。
残念ながら、俺達が専門にしてる方式では、「秀才」……な○う系小説で喩えるなら「既に有るテンプレに沿った巧い作品を書けるAI」は生み出せても、「天才」……「全く新しいテンプレを作り出せるAI」を作る事は困難なのだ。
そして「秀才」は世の中の基準が反転した時には、時として単なる「役立たず」になってしまう事も……ああ、俺達も気を付けた方がいいのか?
少し前に起きた選挙期間中の文部科学大臣刺殺事件に対する陰謀論をSNSで広めてた奴が居たので、早速、論破してやった。
『あの……刺殺現場の近くに「芝生の丘」なんて有りませんよ』
『それって、あなたの感想ですよねwwww』
スマホ・アプリ「あなたの感想ですよね」は、この投稿を「叩いてもOK」と判断してくれている。
つまり、こいつが投稿した陰謀論は間違ってるって事だ。
なお、ここで言う「間違ってる」とは、炎上した場合に、アカウントを消す羽目になるのは、俺じゃなくて、こいつだ、って意味だ。
『いや、無いですよ』
『何、感情的になってんですかwwwww。地図まで貼り付けてwwwww』
ん?
地図?
おい、確かに……刺殺現場の近くには……。
無い。
無い。
見当らない。
どこにも無い。
『大体、直接の死因は刺し傷なのに、何で、「近くの芝生の丘」に居た狙撃手が真犯人って事になるんですか? 「近くの芝生の丘」の狙撃手は水中銃で銛でも撃ったんですか?』
『そうだ、そうです。銛で狙撃したんだ‼』
『そもそも、「近くの芝生の丘」って、何の事か知ってるんですか?』
『だから、近くに芝生の丘が有ったんだろ』
『無いでしょ。地図を良く見て下さい』
あ……言われてみれば……。
……えっと……。
『「近くの芝生の丘」って、一九六三年のケネディ暗殺の「近くの芝生の丘から第二の銃声が聞こえた」って云う都市伝説を元ネタにした冗談ですよ』
……ま……待て……どう云う事?
じゃあ、何で「あなたの感想ですよね」は……この投稿を「叩いてもOK」って判断したんだ?
その時、メールの着信が……おいっ⁉
『スマホ・アプリ「あなたの感想ですよね」は、諸般の事情によりサービスを停止いたします。今までの御利用ありがとうございました』
「マズいねこれ……」
「世間の潮目がすっかり変っちゃったね……」
俺は、大学の同じ研究室のヤツと、スマホ・アプリ「あなたの感想ですよね」を開発した。
とは言え、我ながら趣味がいいアプリとは思えない。
要は、SNS上の書き込みに対して、「叩いてもOKか?」を判定するAIだ。
しかし……。
あの次期総理と見做されていた大臣の刺殺事件が切っ掛けで、与党のスキャンダルが次々と明みに出てしまった。
カルト宗教・ヤクザ・半グレなどとの洒落じゃ済まない癒着が判明し……。
ここ一〇年、絶大な支持を得ていた与党は、一年後に存続しているかさえ誰にも判らなくなっていた。
俺達が作った「あなたの感想ですよね」の学習データは、ここ一〇年ほどのSNS上の書き込みだ。
けれど……世論が、たった一月で、これまでとは逆転した。
逆転したとは言っても……。
「で、どうだった? 今までと評価基準を逆にしたら?」
「駄目だ。そんな単純な手では巧くいかない」
今まで「AIが高い点数を付けた書き込みを『叩いてOK』と見做す」だったのを、「AIが低い点数を付けた書き込みを『叩いてOK』と見做す」に変えてみたが……どうしても、チグハグな結果が出てしまう。
とは言え、AIに再学習をやらせるにも、学習データは足りないし、そもそも、学習データであるSNSへの書き込みが、これからどう変っていき、いつ安定状態になるか、予想が付かない。
「まぁ、いい小遣い稼ぎにはなったけど……潮時かな?」
「そうだな……もうやめて、別のアプリを作るか……」
一口にAIと言っても色々な方式が有るが……俺達が専門にしてるのは、過去のデータを元にしたAI……言わば、人間の「理性」「合理性」を再現するAIではなく、「勘」「経験則」を再現するAIだ。
残念ながら、俺達が専門にしてる方式では、「秀才」……な○う系小説で喩えるなら「既に有るテンプレに沿った巧い作品を書けるAI」は生み出せても、「天才」……「全く新しいテンプレを作り出せるAI」を作る事は困難なのだ。
そして「秀才」は世の中の基準が反転した時には、時として単なる「役立たず」になってしまう事も……ああ、俺達も気を付けた方がいいのか?
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