刑務官が「死刑ごっこ」で本当に人を殺して有罪判決

蓮實長治

文字の大きさ
1 / 1

刑務官が「死刑ごっこ」で本当に人を殺して有罪判決

しおりを挟む
「よって、当法廷は、検察側の主張を全面的に認め、被告側の主張を全面的に退しりぞけ、被告人らが共謀して被害者を殺害したと判断し、被告人らを殺人罪にて無期懲役とします。では、被告人、何か最後に言う事は有りますか」
「え……えっと、被告人を代表して一言言わせていただきます。弁護人と相談の上ですが……あまりに不当な判決だと思いますので、上告する所存です」
「上告は貴方達の権利ですが、貴方達が共謀して人1人を殺害したのは事実ですよね?」
「事実ですが、この裁判で被害者と呼ばれていた人物は死刑囚です」
「死刑囚であっても恣意的に殺害すれば殺人となりますよ。貴方達は元刑務官で、法執行機関の一員だった筈です。その程度の事も判らないのですか?」
「しかし、被害者と称する死刑囚には、法務大臣が署名した死刑執行命令書が出ていました」
「ですが、貴方達と、その弁護人は、貴方達が法で定められた死刑執行手順を無視した極めて残虐な方法で被害者を殺害した事は事実であると認めていましたよね?」
「ですから、私達は死刑を執行しただけです」
「単なる死刑執行だと主張しているのに、法で定められた死刑執行手順を無視したやり方で殺害した事は認めている。一体全体、貴方達は何が言いたいのですか?」
「わかりました。では、私達は実行犯に過ぎず、殺人を命じた者が処罰されないのは不当だと主張します」
「意味が判りません。死刑執行命令書が出た事を笠に着て、悪ふざけで『死刑ごっこ』を行ない、死刑囚を殺害した。それが貴方達がやった事でしょう? 死刑囚の殺害とは言え、法で定められた死刑執行手順に反した殺害方法であった以上、貴方達のやった事は『死刑ごっこ』の結果として起きた殺害に過ぎず、死刑では有りません」
「ですが、私達が有罪なら……我が国における法で定められた死刑執行手順がのみであり、体になった者の死刑を執行するには、だと理解しているべき立場にも関わらず、死刑判決を出した裁判官と、死刑執行命令書にサインした法務大臣は、どう考えても我々に違法な殺人を命じたも同じでは無いのですか?」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

処理中です...