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極悪ポリコレヒーローに暴行されてる善良な一般人ですが、とうとう、俺達に味方してくれる数少ない「ヒーロー」が行方不明になりました
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「か……囲まれてるぞ‼」
俺達は、生活保護費を不正に受給してる奴らが多く住んでいる地区に極めて穏当かつ平和的な抗議に行っただけだった。
だが……事前に情報が漏れていたらしい。
住民達はモヌケの空で……代りに居たのは……「御当地ヒーロー」を自称するコスプレをした事実上の暴力団・愚連隊だった。
俺達は……1人、また1人と……暗視ゴーグルや……護身用に持っていった、金属バットや日本刀やナイフや拳銃や軽機関銃……あと攻撃用マジック・アイテムを、あっさり奪われ、縄で縛られ、地面に転がされた。
残っているのは俺1人だが仲間を見捨てる訳にはいかない。拘束されている仲間を逃す為の囮になるべく、俺は逃げ出したフリをしたが……その前に立ちはだかる者が居た。
「お前ら、今、何時だと思ってんだ……?」
「うるせぇっ‼」
俺は家宝である江戸時代から伝わる日本刀で、目の前に居る、小柄で声からすると若い女らしい……「メスガキ」と言いたくなるヤツに斬り掛かり……。
あれっ?
俺の体は宙を舞い、俺が握っていた刀は消えていた。
「素人がこんなモノを振り回すのはオススメ出来んな」
メスガキは、地面に叩き付けられた俺に……先祖伝来の刀の切っ先を突き付けていた。
「待てっ‼」
その時、いつもの助けが入った。
旭日旗を思わせる……白地に赤い太陽のマークが入ったコスチュームの男。
「また……君か……」
おい……メスガキ……、若いとは言っても、お前より齢上らしい男に、何、タメ口を利いてんだ?
と……説教したい所だが……そのメスガキに刃物で脅されてる以上、恐くて言える訳が無い。
「圧倒的な『力』を持つ者が弱い者を一方的に叩きのめすなど……君達の『正義』に反する行為では無いのか? 彼らを解放したまえ‼」
「面白い冗談だ。こいつらこそ……自分より弱い者を一方的に叩きのめそうとしていたんだぞ」
「それでも……彼らにだって人権ぐらい……」
「判った……。どうせ、こいつらの中には、地元の議員のドラ息子が居る。警察に引き渡すつもりだったが……どっちみち、すぐ釈放されるから同じ事か……」
そう言いながら、メスガキは……何故か、左手に俺ん家の「伝家の宝刀」を持ったまま、右手でゴツいナイフを抜いた。
「了解した……。武器を没収したら、この馬鹿どもは解放する」
お……おい……何を……やっている?
「だが、君も、その内、思い知るだろう……。真の悪とは『馬鹿が力を手にしている状態』だと云う事を……」
メスガキは……俺の刀……いや、性格には、ウチの祖父さんの刀を……中華包丁か何かで肉の塊でも叩き切るような感じで……気付いた時には……売ればサラリーマンの年収1年分ぐらいになる名刀は……いくつもの破片と化していた。
「ああ……そうだ……。ウチからのスカウトの件、考えてもらえたか?」
メスガキは……俺を助けてくれたヒーロー「クリムゾン・サンシャイン」にそう言った。
「すまない……。君達のやり方には賛同出来ない点が多すぎる……」
「そうか……それが君の意志なら……尊重するが……。気を付けろ……。君の個人情報が漏れてるフシが有る」
「えっ?」
「理由は判るが……それでも、あんな真似は感心出来ないな。ウチに来てもらえれば……君が、今、かかえてる問題は解決する筈だ」
待て……何の話をしてるんだ?
俺が、まだ子供の頃……この世界には……普通の人間に無い能力を持つ者達が山程居る事が判った。
魔法使い、超能力者、変身能力者……その他モロモロ。
例えば、ヤクザは、そんな連中を雇い入れ……それどころか「ヤクザの名門」の家系の中には、その手のいわゆる「特異能力」を先天的に持ってるヤツも居るらしく……。
いつしか、警察の中でも殴り込み部隊や、捜査でヤバい連中と関わらないといけない部署の刑事は、「精神操作能力」への対抗訓練を受ける事や魔法・超能力に対抗する「護符」を装備するのが当り前になり……。だが、そんな対策をどれだけ打ち出しても、急激な社会変化のせいで、政府は事実上「有って無いも同じ」状態になり、警察はどんどん無力化していき……。
その隙間を埋めていったのが「御当地ヒーロー」「正義の味方」達だった。特異能力持ちの犯罪者をブチのめす風変わりな犯罪者ども。
もちろん、ヤツらは……自分達が「正義の暴走」ってヤツをやらかす危険性は判っていて……それを防ぐ方策は取っている……つもりだった。
問題は……ヤツらが取った「自分達が『正義の暴走』をやらかさない為の手段」が……「ポリコレ遵守」だった事だ……。
ヤツらは……ヤツらが、弱い者と見做した者達の味方になったのだ。
例えば……俺達、善良な一般市民が、街の景観を悪くするホームレスに、穏当な手段で「街から出て行って」もらうように頼んだら……つかさず現われて、俺達をブチのめし、たまたま、俺達が、その時に手にしていた……俺達の私有財産である金属バットを没収していくのだ。
だが……存在してはいるらしいが、一般市民にはほとんど情報が知られていない「ヒーロー組合」みたいなモノに加盟していない「ヒーロー」も若干は存在し……凶悪な自称「ヒーロー」から俺達を護ってくれていた。
この辺りで活動している「クリムゾン・サンシャイン」も、その1人だ。
だが……マスゴミどもも、「ポリコレ遵守」系の自称「ヒーロー」の味方だった。
今日も今日とて……「クリムゾン・サンシャイン」を批判する記事が地元のミニコミ誌に載ったらしいんだが……。
「って、誰が、こんな目が腐るようなモノ、わざわざ持って来たんだよ⁈」
仲間の溜まり場になってる俺の住んでるマンションの一室に、その腐れミニコミ誌が置いてあったのだ。
「いや……俺達の『クリムゾン・サンシャイン』をdisってるページに載ってる写真、どう見ても変ですよ」
「えっ?」
そう言われて、そのページを見ると……クリムゾン・サンシャインの写真の背景に写っているのは……。
どこかで見覚えが……どこだ?
「えっ?」
「そうっすよ。俺達が、この前、自称『ヒーロー』にブチのめされて……クリムゾン・サンシャインに助けてもらった……あの辺りですよ」
写真を撮ったのは……俺達じゃない。俺達の仲間で怪しいのは居たが……ちょっと穏当な方法で問い詰めたり携帯電話やPCの中のデータを調べさせてもらっても、それらしい証拠は上がらなかった。
もちろん、クリムゾン・サンシャインの筈が無い。自分を批判してるマスゴミに自撮り写真を提供する訳が無い。
では……考えられるのは……。
やったぞ……あの、変態コスプレ野郎どもが……どこの誰かを突き止める手掛かりが得られた。
ヤツらだって、四六時中、周囲を警戒し続けられてる訳では有るまい。身元を突き止めれば……ブチのめ……じゃなかった穏当な方法で筑後川に沈んでもらったり、家や家族ごと、この暗い世の中を照らす炎になってもらう方法はいくらでも有る。
数日後。
ウチの別荘の物置に、ミニコミ誌の編集者を御招待し、極めて穏当な方法で、あの写真を撮ったのが誰かを聞き出した。
だが……ひょっとしたら……ハズレだったかも知れない。
あの生活保護不正受給者どもが住んでる区域の学生だったのだ……。
「こんなオチとはねぇ……」
「いや……待て、変だぞ」
「えっ?」
「俺の親父や祖父さんが警察にコネが有るんで調べてもらったんだが……そいつ、病気の親と2人暮しの筈なのに、生活保護ももらってなくて、博多の結構いい大学に通ってやがる」
「まさか……」
俺達は……そいつが大学に行ってる間に……そいつの自宅にお邪魔して、病気の親御さんと穏当に面談をしたが……親御さんは何も知らないようだった。
仕方なく、親御さんの同意の上で家宅捜査をやらせてもらったが……。
「な……なんで? なんで……ここに、こんなモノが?」
「まぁ……その……本人が帰って来てから、ゆっくり聞いてみましょう……」
ヤツの部屋の押入の奥から、何故か、クリムゾン・サンシャインのコスチュームが出て来た。
「えっ? 何で……君達が、ここに……?」
どこで聞いたかは思い出せないが……聞き覚えの有る声。
俺達は、そいつの顔を知らないのに、そいつは俺達を知っている。
ビンゴだ……。
「正体は判っているぞ。『正義の味方』気取りの変態コスプレ野郎め。『正義の暴走』をやった報いを受けろ。そして……仲間の身元を洗い浚い吐け」
俺達は……帰宅したヤツに……病気の親御さんの身の安全を交換条件として提示すると云う極めて公正な交渉を行なった。
流石に「御当地ヒーロー」をやっていただけあって、異常にタフなヤツだったが……残念ながら、夜が明ける前には……ヤツと親御さんは筑後川の魚の餌になっていた。
異常に口が固く、仲間の身元をゲロしなかったのは、敵ながら天晴れだったが……。
数日後……俺達は、十年ほど前の富士山の噴火で大量発生した「関東難民」を積極的に雇用している企業に、むしろ積極的に行なうべきは、難民達を「廃墟と化した関東に戻っていただく自由と権利」を行使したくなる状況に追い込む事では無いのか? と云う事を、穏当な手段で教えて差し上げる為に出掛けた。
そこに、また、「御当地ヒーロー」を自称する変態コスプレ野郎どもが現われ……俺達を不当にブチのめし……。
だが、何故か、今回は……俺達を助けてくれていた数少ないヒーローであるクリムゾン・サンシャインは助けに来てくれなかった。
その時は……彼にも色々と都合が有るんだろう位に思っていたのだが……。
次も……その次も……そのまた次も……。
その後、いつまで経っても……何ヶ月経っても、何年経っても……クリムゾン・サンシャインが姿を現わす事は、二度と無く……やがて、俺達のクリムゾン・サンシャインは……「かつて活動していたが忘れ去られた知る人ぞ知るヒーロー」になっていた。
一体……彼は……どこへ消えてしまったのだろう?
俺達は、生活保護費を不正に受給してる奴らが多く住んでいる地区に極めて穏当かつ平和的な抗議に行っただけだった。
だが……事前に情報が漏れていたらしい。
住民達はモヌケの空で……代りに居たのは……「御当地ヒーロー」を自称するコスプレをした事実上の暴力団・愚連隊だった。
俺達は……1人、また1人と……暗視ゴーグルや……護身用に持っていった、金属バットや日本刀やナイフや拳銃や軽機関銃……あと攻撃用マジック・アイテムを、あっさり奪われ、縄で縛られ、地面に転がされた。
残っているのは俺1人だが仲間を見捨てる訳にはいかない。拘束されている仲間を逃す為の囮になるべく、俺は逃げ出したフリをしたが……その前に立ちはだかる者が居た。
「お前ら、今、何時だと思ってんだ……?」
「うるせぇっ‼」
俺は家宝である江戸時代から伝わる日本刀で、目の前に居る、小柄で声からすると若い女らしい……「メスガキ」と言いたくなるヤツに斬り掛かり……。
あれっ?
俺の体は宙を舞い、俺が握っていた刀は消えていた。
「素人がこんなモノを振り回すのはオススメ出来んな」
メスガキは、地面に叩き付けられた俺に……先祖伝来の刀の切っ先を突き付けていた。
「待てっ‼」
その時、いつもの助けが入った。
旭日旗を思わせる……白地に赤い太陽のマークが入ったコスチュームの男。
「また……君か……」
おい……メスガキ……、若いとは言っても、お前より齢上らしい男に、何、タメ口を利いてんだ?
と……説教したい所だが……そのメスガキに刃物で脅されてる以上、恐くて言える訳が無い。
「圧倒的な『力』を持つ者が弱い者を一方的に叩きのめすなど……君達の『正義』に反する行為では無いのか? 彼らを解放したまえ‼」
「面白い冗談だ。こいつらこそ……自分より弱い者を一方的に叩きのめそうとしていたんだぞ」
「それでも……彼らにだって人権ぐらい……」
「判った……。どうせ、こいつらの中には、地元の議員のドラ息子が居る。警察に引き渡すつもりだったが……どっちみち、すぐ釈放されるから同じ事か……」
そう言いながら、メスガキは……何故か、左手に俺ん家の「伝家の宝刀」を持ったまま、右手でゴツいナイフを抜いた。
「了解した……。武器を没収したら、この馬鹿どもは解放する」
お……おい……何を……やっている?
「だが、君も、その内、思い知るだろう……。真の悪とは『馬鹿が力を手にしている状態』だと云う事を……」
メスガキは……俺の刀……いや、性格には、ウチの祖父さんの刀を……中華包丁か何かで肉の塊でも叩き切るような感じで……気付いた時には……売ればサラリーマンの年収1年分ぐらいになる名刀は……いくつもの破片と化していた。
「ああ……そうだ……。ウチからのスカウトの件、考えてもらえたか?」
メスガキは……俺を助けてくれたヒーロー「クリムゾン・サンシャイン」にそう言った。
「すまない……。君達のやり方には賛同出来ない点が多すぎる……」
「そうか……それが君の意志なら……尊重するが……。気を付けろ……。君の個人情報が漏れてるフシが有る」
「えっ?」
「理由は判るが……それでも、あんな真似は感心出来ないな。ウチに来てもらえれば……君が、今、かかえてる問題は解決する筈だ」
待て……何の話をしてるんだ?
俺が、まだ子供の頃……この世界には……普通の人間に無い能力を持つ者達が山程居る事が判った。
魔法使い、超能力者、変身能力者……その他モロモロ。
例えば、ヤクザは、そんな連中を雇い入れ……それどころか「ヤクザの名門」の家系の中には、その手のいわゆる「特異能力」を先天的に持ってるヤツも居るらしく……。
いつしか、警察の中でも殴り込み部隊や、捜査でヤバい連中と関わらないといけない部署の刑事は、「精神操作能力」への対抗訓練を受ける事や魔法・超能力に対抗する「護符」を装備するのが当り前になり……。だが、そんな対策をどれだけ打ち出しても、急激な社会変化のせいで、政府は事実上「有って無いも同じ」状態になり、警察はどんどん無力化していき……。
その隙間を埋めていったのが「御当地ヒーロー」「正義の味方」達だった。特異能力持ちの犯罪者をブチのめす風変わりな犯罪者ども。
もちろん、ヤツらは……自分達が「正義の暴走」ってヤツをやらかす危険性は判っていて……それを防ぐ方策は取っている……つもりだった。
問題は……ヤツらが取った「自分達が『正義の暴走』をやらかさない為の手段」が……「ポリコレ遵守」だった事だ……。
ヤツらは……ヤツらが、弱い者と見做した者達の味方になったのだ。
例えば……俺達、善良な一般市民が、街の景観を悪くするホームレスに、穏当な手段で「街から出て行って」もらうように頼んだら……つかさず現われて、俺達をブチのめし、たまたま、俺達が、その時に手にしていた……俺達の私有財産である金属バットを没収していくのだ。
だが……存在してはいるらしいが、一般市民にはほとんど情報が知られていない「ヒーロー組合」みたいなモノに加盟していない「ヒーロー」も若干は存在し……凶悪な自称「ヒーロー」から俺達を護ってくれていた。
この辺りで活動している「クリムゾン・サンシャイン」も、その1人だ。
だが……マスゴミどもも、「ポリコレ遵守」系の自称「ヒーロー」の味方だった。
今日も今日とて……「クリムゾン・サンシャイン」を批判する記事が地元のミニコミ誌に載ったらしいんだが……。
「って、誰が、こんな目が腐るようなモノ、わざわざ持って来たんだよ⁈」
仲間の溜まり場になってる俺の住んでるマンションの一室に、その腐れミニコミ誌が置いてあったのだ。
「いや……俺達の『クリムゾン・サンシャイン』をdisってるページに載ってる写真、どう見ても変ですよ」
「えっ?」
そう言われて、そのページを見ると……クリムゾン・サンシャインの写真の背景に写っているのは……。
どこかで見覚えが……どこだ?
「えっ?」
「そうっすよ。俺達が、この前、自称『ヒーロー』にブチのめされて……クリムゾン・サンシャインに助けてもらった……あの辺りですよ」
写真を撮ったのは……俺達じゃない。俺達の仲間で怪しいのは居たが……ちょっと穏当な方法で問い詰めたり携帯電話やPCの中のデータを調べさせてもらっても、それらしい証拠は上がらなかった。
もちろん、クリムゾン・サンシャインの筈が無い。自分を批判してるマスゴミに自撮り写真を提供する訳が無い。
では……考えられるのは……。
やったぞ……あの、変態コスプレ野郎どもが……どこの誰かを突き止める手掛かりが得られた。
ヤツらだって、四六時中、周囲を警戒し続けられてる訳では有るまい。身元を突き止めれば……ブチのめ……じゃなかった穏当な方法で筑後川に沈んでもらったり、家や家族ごと、この暗い世の中を照らす炎になってもらう方法はいくらでも有る。
数日後。
ウチの別荘の物置に、ミニコミ誌の編集者を御招待し、極めて穏当な方法で、あの写真を撮ったのが誰かを聞き出した。
だが……ひょっとしたら……ハズレだったかも知れない。
あの生活保護不正受給者どもが住んでる区域の学生だったのだ……。
「こんなオチとはねぇ……」
「いや……待て、変だぞ」
「えっ?」
「俺の親父や祖父さんが警察にコネが有るんで調べてもらったんだが……そいつ、病気の親と2人暮しの筈なのに、生活保護ももらってなくて、博多の結構いい大学に通ってやがる」
「まさか……」
俺達は……そいつが大学に行ってる間に……そいつの自宅にお邪魔して、病気の親御さんと穏当に面談をしたが……親御さんは何も知らないようだった。
仕方なく、親御さんの同意の上で家宅捜査をやらせてもらったが……。
「な……なんで? なんで……ここに、こんなモノが?」
「まぁ……その……本人が帰って来てから、ゆっくり聞いてみましょう……」
ヤツの部屋の押入の奥から、何故か、クリムゾン・サンシャインのコスチュームが出て来た。
「えっ? 何で……君達が、ここに……?」
どこで聞いたかは思い出せないが……聞き覚えの有る声。
俺達は、そいつの顔を知らないのに、そいつは俺達を知っている。
ビンゴだ……。
「正体は判っているぞ。『正義の味方』気取りの変態コスプレ野郎め。『正義の暴走』をやった報いを受けろ。そして……仲間の身元を洗い浚い吐け」
俺達は……帰宅したヤツに……病気の親御さんの身の安全を交換条件として提示すると云う極めて公正な交渉を行なった。
流石に「御当地ヒーロー」をやっていただけあって、異常にタフなヤツだったが……残念ながら、夜が明ける前には……ヤツと親御さんは筑後川の魚の餌になっていた。
異常に口が固く、仲間の身元をゲロしなかったのは、敵ながら天晴れだったが……。
数日後……俺達は、十年ほど前の富士山の噴火で大量発生した「関東難民」を積極的に雇用している企業に、むしろ積極的に行なうべきは、難民達を「廃墟と化した関東に戻っていただく自由と権利」を行使したくなる状況に追い込む事では無いのか? と云う事を、穏当な手段で教えて差し上げる為に出掛けた。
そこに、また、「御当地ヒーロー」を自称する変態コスプレ野郎どもが現われ……俺達を不当にブチのめし……。
だが、何故か、今回は……俺達を助けてくれていた数少ないヒーローであるクリムゾン・サンシャインは助けに来てくれなかった。
その時は……彼にも色々と都合が有るんだろう位に思っていたのだが……。
次も……その次も……そのまた次も……。
その後、いつまで経っても……何ヶ月経っても、何年経っても……クリムゾン・サンシャインが姿を現わす事は、二度と無く……やがて、俺達のクリムゾン・サンシャインは……「かつて活動していたが忘れ去られた知る人ぞ知るヒーロー」になっていた。
一体……彼は……どこへ消えてしまったのだろう?
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