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終電のがしたんで、一晩泊めてよぉ。何もしないからさぁ。
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「あのさぁ、君、今、住んでんの、会社が寮として借りてるマンションだったよね?」
『そうですけど……課長、どうしたんですか、こんな夜中に?』
「取引先の人と飲んでる内に、終電のがしちゃってさぁ。ちょうど、君ん家の近くだったんで……」
『はぁ?』
「『はぁ』って、何が『はぁ』だよ?」
『まさか、私ん家に泊めろ、なんて言いませんよね?』
「いや、泊めて欲しいんだけど」
『冗談でしょ』
「冗談じゃないよ。泊めてよ」
『やめて下さい。もうシャワー浴びて、これから寝るとこなんです』
「そりゃ丁度良かった」
『今のは聞かなかった事にしますが、それ以上、変な事言ったら、総務にセクハラで訴えますよ』
「ちょ……ちょっと待ってよ。お願い、泊めて。行くとこないの」
『いい齢して何ですか……』
「お願い、泊めて。何もしない、約束する」
『そんな約束、当てに出来る訳ないでしょ』
「いや、本当に何もしないで、朝になったら出て行くからさぁ……」
そして、三十分以上に渡る交渉の後、ウチの課で一番の美人は、俺を泊めてくれる事に同意した。
「何もしない」?
そんな訳有るか。
一人暮らしの女が、男を部屋に入れて2人っきりになった以上、同意したも同じだ。
訳が判らない事件だった。
一流企業の管理職が都内で下半身剥き出しで、男性器を切り取られた……もしくは噛み千切られた死体になって発見された。
直接の死因は出血多量だが……死体の表情は……何と言えばいいか……。
そして、被害者は死亡推定時刻の四十分ほど前、存在しない電話番号に電話をかけており……その「存在しない電話番号」は被害者の携帯電話に若い女性の部下の名前で登録されていた。
今の所、警視庁記者クラブの記者には報道管制を敷いているが……もう既にSNSで噂になっているらしい。
困ったもんだ。
上司に出す報告書を書いてる内に……気付いたら夜中の一二時近く……。
「あのさぁ、お前、今、住んでんの、ウチの署の近くのアパートだったよな?」
『そうですけど……先輩、どうしたんですか、こんな夜中に?』
俺は、女の後輩の中でも一番の美人に電話をかけた。
「例の事件の報告書作ってる内に遅くなってさ。泊めてくれない?」
『何、言ってんですか。切りますよ』
「い……いや、ちょっと待てよ」
交渉は三十分以上続いたが、前々から狙っていた女は俺を泊めてくれる事に同意した。
『じゃ、最後に確認しますけど、本当に何もせずに、朝になったら帰ってくれるんですね?』
「ああ、本当だ。男に二言は無い。約束する」
残念ながら、男に二言は無いが、一物は有る。
我ながら巧いね、これ。これからの一戦の決め台詞にしよう。
一人暮らしの女が、男を部屋に入れて2人っきりになった以上、同意したも同じだ。
今日は徹夜か……でも、明日の朝には俺の一物で、あの女を「わからせ完了」してる筈……。
「何もせずに帰るだと? 誰がお前のような人間のクズを何もせずに無事に帰してやるものか」
えっ?
何だ、今の声は?
気のせいかな?
疲れてんのかな?……まぁ、いいや。
『そうですけど……課長、どうしたんですか、こんな夜中に?』
「取引先の人と飲んでる内に、終電のがしちゃってさぁ。ちょうど、君ん家の近くだったんで……」
『はぁ?』
「『はぁ』って、何が『はぁ』だよ?」
『まさか、私ん家に泊めろ、なんて言いませんよね?』
「いや、泊めて欲しいんだけど」
『冗談でしょ』
「冗談じゃないよ。泊めてよ」
『やめて下さい。もうシャワー浴びて、これから寝るとこなんです』
「そりゃ丁度良かった」
『今のは聞かなかった事にしますが、それ以上、変な事言ったら、総務にセクハラで訴えますよ』
「ちょ……ちょっと待ってよ。お願い、泊めて。行くとこないの」
『いい齢して何ですか……』
「お願い、泊めて。何もしない、約束する」
『そんな約束、当てに出来る訳ないでしょ』
「いや、本当に何もしないで、朝になったら出て行くからさぁ……」
そして、三十分以上に渡る交渉の後、ウチの課で一番の美人は、俺を泊めてくれる事に同意した。
「何もしない」?
そんな訳有るか。
一人暮らしの女が、男を部屋に入れて2人っきりになった以上、同意したも同じだ。
訳が判らない事件だった。
一流企業の管理職が都内で下半身剥き出しで、男性器を切り取られた……もしくは噛み千切られた死体になって発見された。
直接の死因は出血多量だが……死体の表情は……何と言えばいいか……。
そして、被害者は死亡推定時刻の四十分ほど前、存在しない電話番号に電話をかけており……その「存在しない電話番号」は被害者の携帯電話に若い女性の部下の名前で登録されていた。
今の所、警視庁記者クラブの記者には報道管制を敷いているが……もう既にSNSで噂になっているらしい。
困ったもんだ。
上司に出す報告書を書いてる内に……気付いたら夜中の一二時近く……。
「あのさぁ、お前、今、住んでんの、ウチの署の近くのアパートだったよな?」
『そうですけど……先輩、どうしたんですか、こんな夜中に?』
俺は、女の後輩の中でも一番の美人に電話をかけた。
「例の事件の報告書作ってる内に遅くなってさ。泊めてくれない?」
『何、言ってんですか。切りますよ』
「い……いや、ちょっと待てよ」
交渉は三十分以上続いたが、前々から狙っていた女は俺を泊めてくれる事に同意した。
『じゃ、最後に確認しますけど、本当に何もせずに、朝になったら帰ってくれるんですね?』
「ああ、本当だ。男に二言は無い。約束する」
残念ながら、男に二言は無いが、一物は有る。
我ながら巧いね、これ。これからの一戦の決め台詞にしよう。
一人暮らしの女が、男を部屋に入れて2人っきりになった以上、同意したも同じだ。
今日は徹夜か……でも、明日の朝には俺の一物で、あの女を「わからせ完了」してる筈……。
「何もせずに帰るだと? 誰がお前のような人間のクズを何もせずに無事に帰してやるものか」
えっ?
何だ、今の声は?
気のせいかな?
疲れてんのかな?……まぁ、いいや。
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