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第二章:POWER FOOL

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『て……てめえッッッ‼』
 携帯電話ブンコPhoneにかかってきた電話の最初の一言には怒気が含まれていた。
「課長……大丈夫だったんですか?」
『ああ、あの後、ウチの会社の連中が来て、警察やレスキュー隊に見付かる前に回収してくれたよ。よりにもよって、お前が小学生に渡した……』
「あの……一応、俺、公務中なんで……」
『それがどうした?』
「暗号化されてない一般回線で話すとマズいお小言は、後で、面と向かってお願いします」
『お前……変ったな』
「『社内教育』が、レスキュー隊の魔法で『洗脳』と判断されたら、ややこしい事になりますよ」
『……』
「あと、今は昼飯を喰いに外に出てんで問題ないですけど、執務場所は録画・録音されてますんで」
『はぁ?』
「公務中に俺が、会社にとって録音されたらマズい事を口走ってもいいんですか?」
『俺を脅す気か……?』
「さあ?」
『そのクソな公務が終ったら……てめえの席は無いねえからな』
「ええ……そうですね。昇進させてもらえそうなネタを仕入れる事が出来るかも知れないんで」
『へっ?』
 今日の午前中に気付いた「ある事」。
 その詳細な説明を受けるのは明日からの予定だ。
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