1 / 1
今の基準で過去の価値観を評価する事に対する一考察
しおりを挟む
正義や倫理は時代によって違うと言う意見が有る。
我々の時代においては、正義・倫理は唯一無二だが、今の「正義」「倫理」と百年後の「正義」「倫理」が同じとは限らない。
今の「正義」「倫理」は目的を達成すれば、時代遅れのものとなり、次なる時代に対応した新しい「正義」「倫理」が○△◇∴(注1)より授けられるだろう。
一方で百年後の「正義」「倫理」を今の時代に適用すれば、それは、能力・人格などが発展途上にある子供に大人と同じ事をやらせるような無理が生じるだろう。
その過程を経て、我々人類は、○△◇∴の理想に近付いていく。
○△◇∴の▼■×◎(注2)以降の「正義」「倫理」とは、そのようなモノだ。
しかし、過去の「正義」「倫理」は違う。その時代における「唯一絶対の正義・倫理」が確固として存在する我々の時代の「常識」をもって、「過去」を理解しようとしてはならない。
例えば、18世紀アメリカ南部において、奴隷制度は「正義」「倫理」だったか? を考えてみよう。
当然ながら、奴隷主である白人、奴隷を持てるほどの財産の無い白人、奴隷である黒人、解放奴隷である黒人、あの時代にアメリカ南部に存在してはいたであろうが少数派だった中南米系などの様々な人々で「奴隷制度」についての考えは変ってくるであろう。
そして、○△◇∴の▼■×◎以降と以前では、別の点も異なってくる。
我々の時代は「正義」「倫理」と「法律」が一致しており、そして「法律」に違反しているかは極めて明確に白黒を付ける事が出来る。
そして、「法律を守れば社会が維持出来なくなる」可能性など無い。そのような可能性が生じるとすれば、不完全な存在が社会または法律を作っていた場合のみで、現在では絶対に有り得ない。
だが、過去の時代では、その時代・その地域の「正義」「倫理」と一致しない法律が作られる事が有り得た。
18世紀のアメリカ南部において、奴隷制度を前提とした社会が作られ始めた時、アメリカの連邦法では、奴隷の所持は違法では無かったが、奴隷の輸入が禁止された。
つまり、この時代のアメリカ南部は「連邦法に違反した奴隷の密輸」をする者が居なければ社会を維持出来なくなっていたのだ。
つまる所、「今の価値観で過去の『正義』『倫理』『法律』を断罪すべきか?」と云う質問の答は、その質問のニュアンスに依る。
そもそも我々の時代と過去では「そもそも『正義』『倫理』『法律』とは何か?」が全く異なる。
現代の「正義」「倫理」「法律」は一致しており白黒が明確であるが、過去の「正義」「倫理」「法律」が一致しているとは限らずグレーゾーンが極めて大きい。
現代の全世界の全人類は、寸分違わず同じ「正義」「倫理」を共有しているが、過去においては、同じ時代・同じ地域・同じ集団に属する人間同士でも「正義」「倫理」が一致しているとは限らない。
これが、過去の「正義」「倫理」「法律」を現代の観点から論ずる場合において、統計学や「真か偽か? 0か1か?」の通常の論理学ではない多値論理の知識が必要となる理由である。
注1:
21世紀前半の日本語への翻訳は困難。
神、それも一神教における「唯一絶対の神」に近い意味だが「人造物」のニュアンスも有る。
注2:
21世紀前半の日本語への翻訳は困難。
「神のような存在がこの世の顕現・降臨する事」「キリスト教・イスラム教などにおける『最後の審判』後の『神の支配』の実現」に近い意味だが「何らかの優れた存在が誕生する」のニュアンスも有る。
我々の時代においては、正義・倫理は唯一無二だが、今の「正義」「倫理」と百年後の「正義」「倫理」が同じとは限らない。
今の「正義」「倫理」は目的を達成すれば、時代遅れのものとなり、次なる時代に対応した新しい「正義」「倫理」が○△◇∴(注1)より授けられるだろう。
一方で百年後の「正義」「倫理」を今の時代に適用すれば、それは、能力・人格などが発展途上にある子供に大人と同じ事をやらせるような無理が生じるだろう。
その過程を経て、我々人類は、○△◇∴の理想に近付いていく。
○△◇∴の▼■×◎(注2)以降の「正義」「倫理」とは、そのようなモノだ。
しかし、過去の「正義」「倫理」は違う。その時代における「唯一絶対の正義・倫理」が確固として存在する我々の時代の「常識」をもって、「過去」を理解しようとしてはならない。
例えば、18世紀アメリカ南部において、奴隷制度は「正義」「倫理」だったか? を考えてみよう。
当然ながら、奴隷主である白人、奴隷を持てるほどの財産の無い白人、奴隷である黒人、解放奴隷である黒人、あの時代にアメリカ南部に存在してはいたであろうが少数派だった中南米系などの様々な人々で「奴隷制度」についての考えは変ってくるであろう。
そして、○△◇∴の▼■×◎以降と以前では、別の点も異なってくる。
我々の時代は「正義」「倫理」と「法律」が一致しており、そして「法律」に違反しているかは極めて明確に白黒を付ける事が出来る。
そして、「法律を守れば社会が維持出来なくなる」可能性など無い。そのような可能性が生じるとすれば、不完全な存在が社会または法律を作っていた場合のみで、現在では絶対に有り得ない。
だが、過去の時代では、その時代・その地域の「正義」「倫理」と一致しない法律が作られる事が有り得た。
18世紀のアメリカ南部において、奴隷制度を前提とした社会が作られ始めた時、アメリカの連邦法では、奴隷の所持は違法では無かったが、奴隷の輸入が禁止された。
つまり、この時代のアメリカ南部は「連邦法に違反した奴隷の密輸」をする者が居なければ社会を維持出来なくなっていたのだ。
つまる所、「今の価値観で過去の『正義』『倫理』『法律』を断罪すべきか?」と云う質問の答は、その質問のニュアンスに依る。
そもそも我々の時代と過去では「そもそも『正義』『倫理』『法律』とは何か?」が全く異なる。
現代の「正義」「倫理」「法律」は一致しており白黒が明確であるが、過去の「正義」「倫理」「法律」が一致しているとは限らずグレーゾーンが極めて大きい。
現代の全世界の全人類は、寸分違わず同じ「正義」「倫理」を共有しているが、過去においては、同じ時代・同じ地域・同じ集団に属する人間同士でも「正義」「倫理」が一致しているとは限らない。
これが、過去の「正義」「倫理」「法律」を現代の観点から論ずる場合において、統計学や「真か偽か? 0か1か?」の通常の論理学ではない多値論理の知識が必要となる理由である。
注1:
21世紀前半の日本語への翻訳は困難。
神、それも一神教における「唯一絶対の神」に近い意味だが「人造物」のニュアンスも有る。
注2:
21世紀前半の日本語への翻訳は困難。
「神のような存在がこの世の顕現・降臨する事」「キリスト教・イスラム教などにおける『最後の審判』後の『神の支配』の実現」に近い意味だが「何らかの優れた存在が誕生する」のニュアンスも有る。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる