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死を呼ぶ通過儀礼
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「いいか、法的根拠を問われたら、俺が教えた通りに言えよ」
先輩は、そう言ってるが……俺は、まだ納得していなかった。
「い……いや……ですが……」
「あのな、警察官ってのは、誰でも新人の時に、これをやるの。それとも、折角、警察学校をいい成績で出たのに、もう、警察官やめるのか?」
俺が、今からやらされようとしているのは……「新人向けの現場研修」だ。
この道を通る車に適当に声をかけ、職務質問に「御協力」いただくのだ。
そして、もし、カッターナイフの一本でも見付かって……かつ、中に乗ってたのが有名人なら、たまにニュースになるような結果になる。
その時、車のライトが見えた。
俺はLED式の誘導棒を振り、その車を停車させる。
「あれ? 何ですか?」
停車したのは灰色のワンボックスカーで、乗っていたのは1人だけ。
三〇半ばぐらいの……結構、がっしりした体格の「さわやか系かつマッチョ系のイケメン」と云った感じの男だった。
「すいません、この近辺で事件が発生しまして、職務質問に御協力いただけますか」
「はい、じゃあ、身分証と免許証と車検証です」
そう言って、男は運転免許と車検証、そして、どこかの民間企業の社員証らしきモノを俺に手渡した。
「あの……後部座席の荷物を確認させてもらっていいですか?」
続いて先輩がそう言った。
「ああ、どうぞ、どうぞ。ちょっと重いんで、俺が出しますね」
男はそう言って車を降りて、後部座席のドアを開けた。
「しゃ……社長さん……?」
俺は、男が渡した社員証らしきモノに書かれていた肩書を見てそう言った。
「いや……親から受け継いだ工場を経営してまして」
男は、そう言いながら、後部座席に入っていた、やたらと丈夫そうな布地で出来た、これまたやたらとデカいダッフルバッグを先輩に渡す。
デザインは……昔、通販サイトで見た在日米軍の放出品に似てる気がする。
男は、先輩にバッグの口の金具の外し方を教え……そして、先輩はバッグの中に手を入れ……。
次の瞬間……。
ガチャン、と云う機械音。
続いて絶叫……。
まず、俺の頭に浮かんだのは……何か猛獣でも出たのかと云う非現実的な想像。
だが……。
その絶叫のした方を見ると……先輩の手の指から……正確には指が有った場所から、夜目にも鮮かな赤い色が……。
次の瞬間、男は、先輩の頭を掴むと、隠し持っていたらしいナイフを先輩の喉元に突き刺す。
男は……溜息をついて……。
「あれ? お巡りさん、もしかして新人さん?」
そ……そ……そ……そ……そ……そうだよ。
あ……あ……あまりの事態に……だ……駄目だ……ホルスターから拳銃を……取り出せない‥‥あわわわ‥‥ばばばば……。
「汚ねえなあ……小便、もらしやがって……」
えっ? えええええ、そうな……?
に…‥にげ……逃げ……ににに……駄目だ……ここここ……腰が抜けて……うわあああああ……。
「念の為、確認するけど……ひょっとして、俺が、さっきやったばかりの殺し、もう通報されちゃったの?」
先輩は、そう言ってるが……俺は、まだ納得していなかった。
「い……いや……ですが……」
「あのな、警察官ってのは、誰でも新人の時に、これをやるの。それとも、折角、警察学校をいい成績で出たのに、もう、警察官やめるのか?」
俺が、今からやらされようとしているのは……「新人向けの現場研修」だ。
この道を通る車に適当に声をかけ、職務質問に「御協力」いただくのだ。
そして、もし、カッターナイフの一本でも見付かって……かつ、中に乗ってたのが有名人なら、たまにニュースになるような結果になる。
その時、車のライトが見えた。
俺はLED式の誘導棒を振り、その車を停車させる。
「あれ? 何ですか?」
停車したのは灰色のワンボックスカーで、乗っていたのは1人だけ。
三〇半ばぐらいの……結構、がっしりした体格の「さわやか系かつマッチョ系のイケメン」と云った感じの男だった。
「すいません、この近辺で事件が発生しまして、職務質問に御協力いただけますか」
「はい、じゃあ、身分証と免許証と車検証です」
そう言って、男は運転免許と車検証、そして、どこかの民間企業の社員証らしきモノを俺に手渡した。
「あの……後部座席の荷物を確認させてもらっていいですか?」
続いて先輩がそう言った。
「ああ、どうぞ、どうぞ。ちょっと重いんで、俺が出しますね」
男はそう言って車を降りて、後部座席のドアを開けた。
「しゃ……社長さん……?」
俺は、男が渡した社員証らしきモノに書かれていた肩書を見てそう言った。
「いや……親から受け継いだ工場を経営してまして」
男は、そう言いながら、後部座席に入っていた、やたらと丈夫そうな布地で出来た、これまたやたらとデカいダッフルバッグを先輩に渡す。
デザインは……昔、通販サイトで見た在日米軍の放出品に似てる気がする。
男は、先輩にバッグの口の金具の外し方を教え……そして、先輩はバッグの中に手を入れ……。
次の瞬間……。
ガチャン、と云う機械音。
続いて絶叫……。
まず、俺の頭に浮かんだのは……何か猛獣でも出たのかと云う非現実的な想像。
だが……。
その絶叫のした方を見ると……先輩の手の指から……正確には指が有った場所から、夜目にも鮮かな赤い色が……。
次の瞬間、男は、先輩の頭を掴むと、隠し持っていたらしいナイフを先輩の喉元に突き刺す。
男は……溜息をついて……。
「あれ? お巡りさん、もしかして新人さん?」
そ……そ……そ……そ……そ……そうだよ。
あ……あ……あまりの事態に……だ……駄目だ……ホルスターから拳銃を……取り出せない‥‥あわわわ‥‥ばばばば……。
「汚ねえなあ……小便、もらしやがって……」
えっ? えええええ、そうな……?
に…‥にげ……逃げ……ににに……駄目だ……ここここ……腰が抜けて……うわあああああ……。
「念の為、確認するけど……ひょっとして、俺が、さっきやったばかりの殺し、もう通報されちゃったの?」
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