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傷害罪容疑者の担当弁護士ですが、被害者を民事で訴える事を検討してます
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「もう、十回目から数えるのをやめたんですよ……」
小説投稿サイト「ラノベ作家をはじめよう」の新人賞の選考委員を殴って、傷害罪で逮捕された容疑者は、担当弁護士にそう言った。
「はぁ……それだけ新人賞に落選し続けた事には同情しますが……。でも、それでは情状酌量の理由には成りませんね」
「いや、でもPV数も延びてたし、評価ポイントも結構有ったのに……」
「ですから、それだけでは情状酌量の理由として裁判官は認めてくれません。それを判った上で、裁判で、その主張をしますか?」
「こんだけ落選したのに、あの選考委員が書いた『これだから、キミの小説は新人賞で落選する』って本で、あきらかに俺にしか思えない奴を『ある意味で天才』って書いてあったんですよ」
「は……はぁ……貴方が天才……。ああ、自分は天才だ、その選考委員もそう認めている筈だ、なのに、何故、新人賞を取れないんだ? と、その選考委員の著書のサイン会で問い詰めている内に殴ってしまった。裁判での主張は、これでいいですか?」
「は……はい……」
「いいお報せと悪いお報せが有ります。悪いお報せは……被害者が同じ程度の傷を負った他の事件に比べて、かなり厳しい判決が下りそうだ、って事です」
「え……そうなんですか……。じゃあ、いいお報せは?」
「被害者を名誉毀損で訴える事が出来ます。かなりの慰謝料を搾り取れるかも知れません」
「へっ?」
「被害者が著書で貴方を『天才』と呼んだのは、明らかな侮辱です。貴方に対する侮辱を不特定多数が知り得る方法で行なったんです」
「ちょっと待って下さい……天才と呼ばれたら侮辱?」
「ええ、問題の本は、ちゃんと読みました。裁判の証拠になる可能性が有りますからね」
「あ、そうだったんですか」
「問題の本には、こう書いてありますね。『十回以上連続で二次選考で落ちている人物の中にある意味で天才と呼べる人が居た。前回の最優秀作をパクった十万字以上でそこそこのレベルの小説を1ヶ月未満で仕上げるなど驚異的な才能だ。しかし、こんな奴がデビューしたとしても小説家として食っていける筈がない』って」
小説投稿サイト「ラノベ作家をはじめよう」の新人賞の選考委員を殴って、傷害罪で逮捕された容疑者は、担当弁護士にそう言った。
「はぁ……それだけ新人賞に落選し続けた事には同情しますが……。でも、それでは情状酌量の理由には成りませんね」
「いや、でもPV数も延びてたし、評価ポイントも結構有ったのに……」
「ですから、それだけでは情状酌量の理由として裁判官は認めてくれません。それを判った上で、裁判で、その主張をしますか?」
「こんだけ落選したのに、あの選考委員が書いた『これだから、キミの小説は新人賞で落選する』って本で、あきらかに俺にしか思えない奴を『ある意味で天才』って書いてあったんですよ」
「は……はぁ……貴方が天才……。ああ、自分は天才だ、その選考委員もそう認めている筈だ、なのに、何故、新人賞を取れないんだ? と、その選考委員の著書のサイン会で問い詰めている内に殴ってしまった。裁判での主張は、これでいいですか?」
「は……はい……」
「いいお報せと悪いお報せが有ります。悪いお報せは……被害者が同じ程度の傷を負った他の事件に比べて、かなり厳しい判決が下りそうだ、って事です」
「え……そうなんですか……。じゃあ、いいお報せは?」
「被害者を名誉毀損で訴える事が出来ます。かなりの慰謝料を搾り取れるかも知れません」
「へっ?」
「被害者が著書で貴方を『天才』と呼んだのは、明らかな侮辱です。貴方に対する侮辱を不特定多数が知り得る方法で行なったんです」
「ちょっと待って下さい……天才と呼ばれたら侮辱?」
「ええ、問題の本は、ちゃんと読みました。裁判の証拠になる可能性が有りますからね」
「あ、そうだったんですか」
「問題の本には、こう書いてありますね。『十回以上連続で二次選考で落ちている人物の中にある意味で天才と呼べる人が居た。前回の最優秀作をパクった十万字以上でそこそこのレベルの小説を1ヶ月未満で仕上げるなど驚異的な才能だ。しかし、こんな奴がデビューしたとしても小説家として食っていける筈がない』って」
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