傷害罪容疑者の担当弁護士ですが、被害者を民事で訴える事を検討してます

蓮實長治

文字の大きさ
1 / 1

傷害罪容疑者の担当弁護士ですが、被害者を民事で訴える事を検討してます

しおりを挟む
「もう、十回目から数えるのをやめたんですよ……」
 小説投稿サイト「ラノベ作家をはじめよう」の新人賞の選考委員を殴って、傷害罪で逮捕された容疑者は、担当弁護士にそう言った。
「はぁ……それだけ新人賞に落選し続けた事には同情しますが……。でも、それでは情状酌量の理由には成りませんね」
「いや、でもPV数も延びてたし、評価ポイントも結構有ったのに……」
「ですから、それだけでは情状酌量の理由として裁判官は認めてくれません。それを判った上で、裁判で、その主張をしますか?」
「こんだけ落選したのに、あの選考委員が書いた『これだから、キミの小説は新人賞で落選する』って本で、あきらかに俺にしか思えない奴を『ある意味で天才』って書いてあったんですよ」
「は……はぁ……貴方が天才……。ああ、自分は天才だ、その選考委員もそう認めている筈だ、なのに、何故、新人賞を取れないんだ? と、その選考委員の著書のサイン会で問い詰めている内に殴ってしまった。裁判での主張は、これでいいですか?」
「は……はい……」
「いいお報せと悪いお報せが有ります。悪いお報せは……被害者が同じ程度の傷を負った他の事件に比べて、かなり厳しい判決が下りそうだ、って事です」
「え……そうなんですか……。じゃあ、いいお報せは?」
「被害者を名誉毀損で訴える事が出来ます。かなりの慰謝料を搾り取れるかも知れません」
「へっ?」
「被害者が著書で貴方を『天才』と呼んだのは、明らかな侮辱です。貴方に対する侮辱を不特定多数が知り得る方法で行なったんです」
「ちょっと待って下さい……天才と呼ばれたら侮辱?」
「ええ、問題の本は、ちゃんと読みました。裁判の証拠になる可能性が有りますからね」
「あ、そうだったんですか」
「問題の本には、こう書いてありますね。『十回以上連続で二次選考で落ちている人物の中にある意味で天才と呼べる人が居た。。しかし、』って」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...