悪夢!! 自殺ほのめかし わからせ恫喝おじさん!!

蓮實長治

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悪夢!! 自殺ほのめかし わからせ恫喝おじさん!!

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『俺が馘になった事について、オマエから謝罪の一言が欲しい』
 私にサビ残を強要した事が上の方にバレて馘になった元課長からそんなLINEが来た。
 そもそも、サビ残強要がバレたのは、私が既に退勤している筈の時間帯に、私が会社に居た痕跡が到る所に有ったせいで、あのクソ課長のパワハラに晒されて、鬱状態になりかけてた私には、会社の然るべき部署に訴えると云う発想も気力も無かった。
 パワハラ最低男にして私の鬱の理由が会社から消えて一週間、ようやくパワハラによる洗脳が解けた……と思ったら、問題のクソ課長からクソLINE。
 普通ならブロックする所だが……気になる一言が有った。
『1週間以内に謝罪しないと、死んでやる』

 翌日、会社の総務に相談した。
 総務の人も頭を抱えて……。
「警察に何とかしてもらった方がいいんじゃないですか?」
 そして、元課長から「あと6日」と云うLINEが来た。

 更に次の日、総務の人と会社の最寄りの警察に相談しに行った。
「困りましたねぇ……。『死んでやる』は……脅迫なのかなぁ?」
 担当の警官は困惑した様子で、そう言った。
「あ、そうだ。この元上司と貴方の間に恋愛関係なんかは有りましたか?」
 私に、とんでもない質問をした警官の顔には、「いい事思い付いた」とでも言いたげな表情が何故か浮かんでいた。
「はぁっ?」
「いや……恋愛関係が有ればストーカー規制法が適用出来ますので……」
「違います。恋愛関係なんて無いです」
「じゃあ、困りましたねぇ……。所で、その元上司の住所は……?」
「千葉の松戸です」
 総務の人がそう説明した。
「で、貴方の住所は?」
「横浜の鶴見ですが……」
 そこまで言って気付いた。ここは都内だ。
「ええっと……これ……どこの所轄になるんだろ?」
「あの……」
「ちょっと上司と相談して、また連絡します。あ、LINEは絶対にブロックしないで下さい」
「何でですか? マジで気持ち悪いんですけど」
「だって、その自殺を仄めかしてる元上司の動向が判んなくなるでしょ」
 その日も「あと5日」と云うLINEが来た。

 更に翌日、警察からは連絡ない。
 またしても「あと4日」と云うLINEが来た。

 次の日。状況は変らず。
 ロクデモない事が起きる……かも知れないのに、私は何も出来ない。
 段々、精神が磨り減っていく。
 「死んでやる」は「殺してやる」より脅迫として有効かも知れない。
 殺害予告が来たなら、殺されるのを防ぐ手はいくらでも有るが、自殺予告を受けても、その馬鹿が自殺するのを防ぐ手段は少ない。
 仕事が終ってから気分転換に見たドラマで中年男の自殺シーンが有り……吐きそうになってトイレに駆け込んだ。
 当然ながら「あと3日」と云うLINEが来た。

 更に次の日。
 会社が休みだったので心療内科に行った。
 そして……診察室に通された途端……。
「うわあああああっ‼」
 あくまで偶然だが、担当医師が元課長に良く似た齢・背格好で……一瞬、元課長と見間違えてしまったのだ……。
「あ……あの……」
「す……すいません……」
「あの……私達には守秘義務が有るので治療の為に正直に言っていただきたいのですが……」
「はい?」
「違法薬物はやられてませんよね? 覚醒剤とか?」
 この日も「あと2日」と云うLINEが来た。

 翌日。
 何も進展が無いまま、時間だけが過ぎる。
 「明日死んでやる」と云うLINEが来た。

 そして、自殺予告当日。
 元課長は……本当にビルの屋上から自殺を試み……しかし……誰かが警察に通報した。
 元課長は、いざ死ぬとなった時に、恐くなって泣き出し……それがマズかったようだ。
 最後の最後で助かりたくなったのに、冷静さを失なっていたせいで……転落して死んだ。
 そして……私は知った。
 真の恐怖とは、確実に来る恐怖を待つ時間の事だ。
 恐怖が通り過ぎた後は……全て問題は解決する、と。
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