悪夢!! 自殺ほのめかし わからせ恫喝おじさん!!

蓮實長治

文字の大きさ
1 / 1

悪夢!! 自殺ほのめかし わからせ恫喝おじさん!!

しおりを挟む
『俺が馘になった事について、オマエから謝罪の一言が欲しい』
 私にサビ残を強要した事が上の方にバレて馘になった元課長からそんなLINEが来た。
 そもそも、サビ残強要がバレたのは、私が既に退勤している筈の時間帯に、私が会社に居た痕跡が到る所に有ったせいで、あのクソ課長のパワハラに晒されて、鬱状態になりかけてた私には、会社の然るべき部署に訴えると云う発想も気力も無かった。
 パワハラ最低男にして私の鬱の理由が会社から消えて一週間、ようやくパワハラによる洗脳が解けた……と思ったら、問題のクソ課長からクソLINE。
 普通ならブロックする所だが……気になる一言が有った。
『1週間以内に謝罪しないと、死んでやる』

 翌日、会社の総務に相談した。
 総務の人も頭を抱えて……。
「警察に何とかしてもらった方がいいんじゃないですか?」
 そして、元課長から「あと6日」と云うLINEが来た。

 更に次の日、総務の人と会社の最寄りの警察に相談しに行った。
「困りましたねぇ……。『死んでやる』は……脅迫なのかなぁ?」
 担当の警官は困惑した様子で、そう言った。
「あ、そうだ。この元上司と貴方の間に恋愛関係なんかは有りましたか?」
 私に、とんでもない質問をした警官の顔には、「いい事思い付いた」とでも言いたげな表情が何故か浮かんでいた。
「はぁっ?」
「いや……恋愛関係が有ればストーカー規制法が適用出来ますので……」
「違います。恋愛関係なんて無いです」
「じゃあ、困りましたねぇ……。所で、その元上司の住所は……?」
「千葉の松戸です」
 総務の人がそう説明した。
「で、貴方の住所は?」
「横浜の鶴見ですが……」
 そこまで言って気付いた。ここは都内だ。
「ええっと……これ……どこの所轄になるんだろ?」
「あの……」
「ちょっと上司と相談して、また連絡します。あ、LINEは絶対にブロックしないで下さい」
「何でですか? マジで気持ち悪いんですけど」
「だって、その自殺を仄めかしてる元上司の動向が判んなくなるでしょ」
 その日も「あと5日」と云うLINEが来た。

 更に翌日、警察からは連絡ない。
 またしても「あと4日」と云うLINEが来た。

 次の日。状況は変らず。
 ロクデモない事が起きる……かも知れないのに、私は何も出来ない。
 段々、精神が磨り減っていく。
 「死んでやる」は「殺してやる」より脅迫として有効かも知れない。
 殺害予告が来たなら、殺されるのを防ぐ手はいくらでも有るが、自殺予告を受けても、その馬鹿が自殺するのを防ぐ手段は少ない。
 仕事が終ってから気分転換に見たドラマで中年男の自殺シーンが有り……吐きそうになってトイレに駆け込んだ。
 当然ながら「あと3日」と云うLINEが来た。

 更に次の日。
 会社が休みだったので心療内科に行った。
 そして……診察室に通された途端……。
「うわあああああっ‼」
 あくまで偶然だが、担当医師が元課長に良く似た齢・背格好で……一瞬、元課長と見間違えてしまったのだ……。
「あ……あの……」
「す……すいません……」
「あの……私達には守秘義務が有るので治療の為に正直に言っていただきたいのですが……」
「はい?」
「違法薬物はやられてませんよね? 覚醒剤とか?」
 この日も「あと2日」と云うLINEが来た。

 翌日。
 何も進展が無いまま、時間だけが過ぎる。
 「明日死んでやる」と云うLINEが来た。

 そして、自殺予告当日。
 元課長は……本当にビルの屋上から自殺を試み……しかし……誰かが警察に通報した。
 元課長は、いざ死ぬとなった時に、恐くなって泣き出し……それがマズかったようだ。
 最後の最後で助かりたくなったのに、冷静さを失なっていたせいで……転落して死んだ。
 そして……私は知った。
 真の恐怖とは、確実に来る恐怖を待つ時間の事だ。
 恐怖が通り過ぎた後は……全て問題は解決する、と。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...