変身出来なくなったヒーローの憂鬱・長編版

蓮實長治

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第一章:Berandal

ヒメミコ (3)

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 「貪り喰らうモノ」は敵の親玉の生気を吸い取った後、残りの敵も次々と殺していく。
 そうだ……。「貪り喰らうモノ」が「貪り喰らう」のは「人間の生命いのち」だ。
 だが……あの「鬼」1人で……数人分の……それも上質な「生気」が有る。
「食え……そいつも……」
 私は「貪り喰らうモノ」に命じる。
 「鬼」の方も「貪り喰らうモノ」と戦う為か……霊力を高めている。
 面白い……。
 もし、「鬼」の方が勝てば……私は「呪詛返し」を食らう事になり……まぁ、ただでは済むまい。
 だが……あの「鬼」の生気や霊力は魅力的だ。
 かなり強い力を持っているが……見た所、その力の半分も活かしきれてはいないようだ。
 もったいない。
 私が有効に使わせてもらう事にしよう。
 だが、次の瞬間……戦うと思っていた「鬼」が退却。
 どうした? と思っていると……何だ……あの猿は?
 どこからともなく現われた猿が……まるで人間の呪術者のように空中に呪紋を描き……。
 突然、「貪り喰らうモノ」を囲むように、球形の2重の「呪力の壁」が生まれる。
 外側の壁は……単純な「内側の呪力から『外』を護り、外側の呪力から『内』を護る」ものらしい……。
 しかし……何だ、あの……内側の壁は?
 「貪り喰らうモノ」は……とまどったように壁の中をウロウロし始め……やがて、内側の呪力の壁に突き当たり……。
 どうなっている?
 しばらくの間……内側の壁に沿って移動。
 やがて、内側の壁から離れるが……また、ウロウロしている内に内側の壁に突き当たり……またしても、内側の壁に沿って移動。そして、また……。
 まさか……これは……。
 何と言う事だ……。
 この体の主の知識に無かっただけで……私が死んで、この世に戻って来るまでの千数百年の間に、呪術にも「進歩」とやらが起きていたようだ。
 「貪り喰らうモノ」は……自分を囲む2重の呪力の壁の内、内側の壁と……そして、内側の壁の「外」を認識出来なくなっているらしい。
 そうか……あの呪力の壁の正体は……「気配」や「呪力・霊力」を隠す呪術を極限まで発達させた代物だ。
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