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おい、神様、異世界転生して無双ってありがちだろ

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「おい、死んでる場合じゃないぞ。お前には、まだやるべき事が有る」
 死んだ途端に、自称「神様」から、そんな事を言われた。
「え~、面倒臭えっすよ~。死んだ後ぐらい、ゆっくり眠らせて下さい」
「ならん。異世界に転生して使命を果たすのだ。ちゃんとチート能力も与えてやろう」
「あの……その『使命』を果たせば、今度こそ、本当に死ねるんですよね?」
「まあな……」
 そして、俺は転生した。

 我々の組織は……ただ……「組織」とだけ呼ばれている。
 遥か太古から、この世界に侵略を企てる……らしいが、奴らの精神構造は人間とは異なるので奴ら自身が「侵略」してるつもりなのかは不明だ……異界のモノ達と戦い続けていた。
「アレが出現するまで、あとどれ位だ?」
「はい、玄奘三蔵がインドより持ち帰った『ネクロノミコン』の失伝部分の引用が記載された文献によれば……5分±1分です」
 そう……今日、まもなく……この場所に「あれ」が現われると予言されている。
 ショ・ゴスノテリヤ・キトテ・ィンダ・ロスノリョ・ウケンノカク・ニノド・ンブリと云う長ったらしい名前で呼ばれる邪悪な存在が……この世界に転生し……そして、地球を滅ぼす……と。
「異界への門が開き……そんな……」
 馬鹿な……なんだ……あれは……あんなもの……核兵器を使ったとしても……。

 おい……これは……異世界転生って言えるのか?
 俺は……この異世界で、ある使命を果たさなければ……安らかに死ねない筈だった……。
 だが……俺の体の十分の一ぐらいの大きさしか無い「地球」と云う異世界は……転生した俺の体とぶつかって粉々に砕けてしまった。
 ……使命果たせねぇじゃん……。
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