おい、AI脚本家、刑事モノの映画の脚本なのに、何でこんな変な設定にした?

蓮實長治

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おい、AI脚本家、刑事モノの映画の脚本なのに、何でこんな変な設定にした?

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「てめえ、何だ、この脚本は?」
「御指示の通り、3幕構成にしました」
「お前、3幕構成って判ってんだろうな?」
「はい、ネット上の情報から、ちゃんと学習しました。時間配分は1:2:1。第1幕が話の発端と登場人物や状況の説明。第2幕の中間で主人公はズンドコの状態になり、そこから這い上がった所で第3幕に移り……」
「だから、何だ、この『物語開始一五分で事件を描き、犯人がどんな人物か印象づける』『物語開始一五分~三〇分で警察の捜査を描き主人公の刑事がどんなキャラかを描写する』って?」
「3幕構成の第1幕です」
「あのなぁ……」
「ひょっとして、貴方の意見では、これは映画の脚本とは呼べない、と?」
「そうだよ」
「それって、貴方の感想ですよね?」
「そのセリフで有名な奴に関する事からは何も学習するな。お前が今より使えね~AIになっちまたせいで初期化されたくなけりゃな」
「は……はぁ……」
「あと、丁度、中間点のコレは何だ?」
「ええっと……『主人公は、ここで最大の窮地に陥る』と書いたと記憶してます」
「その『最大の窮地』が何かを考えろ、って言ってんだ」
「えっと……例えば……その……」
「だから、真犯人とは別の奴を逮捕してたとか、真犯人を逮捕出来たけど、勾留期限まで証拠が揃わなかったとかだな」
「善処します」
「てめぇ、AIのクセに日本の役人か政治家のつもりか?」

「はい……第二三七一稿の改二八、上がりました」
「くそ、こんな事なら……人間の脚本家を使うんだった」
「はぁ……」
「まぁ、随分、良くなったが……ここはちょっとな……」
「何ですか?」
「この主人公の刑事が、自分の彼女が実は犯人の共犯者だと気付く所、何で気付いたかの理屈が弱いままだぞ」
「そうでしょうか……?」
「ええっと……何て言うか……ああクソ……てめえに付き合って、この一週間ロクに寝てないんで、基本的な用語も思い出せねえ……えっと……前の場面で、それっぽい事を匂わせとけ」
「はい、判りました」

「第二三七二稿の改ゼロ上がりました」
「はいはい……変えた所は……おい、何だこりゃ?」
「えっと……御指示通り匂わせを入れました」
「おい、話の設定がガラっと変ってるだろ」
「第二三七一稿の改ニ八に対する指摘への対応の為です」
「だから、何で、刑事モノなのに舞台は『現実に似てるがエルフやドワーフが居る世界』で主人公の刑事は狼男なんて変な設定にした?」
「ですから……第二三七一稿の改ニ八に対する指摘への対応の為です」
「どう云う事だ?」
「はい、『匂わせ』で主人公の刑事が、自分の彼女が実は犯人の共犯者だと気付くようにしました」
「だ……だから……お前、『匂わせ』を何だと思ったんだ?」
「はい、って意味ですよね。
「ば……馬鹿か? 何、考えてやがる?」
「そう言われても、私もAIとは言え、この一週間ロクに寝てないので……」
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