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検査結果における偽鬼性率
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「一体、いつ『鬼類』の誅戮を開始する事が出来るのだ? これでは日本を征服した意味が無い」
大半の日本人は、我々による「維新」後に知った事だが、日本人にはある時代以降、忌むべき「鬼」の血が混ってしまった。
我々「鬼類誅戮護国崇神団」の最終目的は日本征服統治でも、ましてや世界征服でも人類抹殺でも地球滅亡でもない。
あくまでも、我々の手による日本の征服統治は、日本人に混ってしまった「鬼類」の血を許容範囲以下にする事で「純血の日本人」を「再生」し「あるべき日本」を取り戻す手段に過ぎない。
しかし……。
「ですので、現在の鬼類判定検査では、偽陽性が無視出来ません。『鬼類』と判定された者達の内、実は『鬼類』では無い人達の方が多くなってしまいます」
そう説明しているのは、新政府の科学顧問団として名乗り出た科学者の1人である奇筑諂とか云う名前の奴だった。
専門が何だったか良く知らないが、たしか「ニセ科学批判」とやらで有名な男だ。
「鬼と云う単語の語源の1つは『陰』なのに『偽陽性』とはややこしいな」
「は……はぁ……」
「まぁ、いい。おい、誰か、ホワイトボードを持って来い」
「Wyyyy……」
「Wyyyy……」
私の命令に、近くに居た戦闘員達が返事をした。
「えっ?」
「どの程度の『偽陽性』が出るか計算してくれ」
「えっと……ですが……」
「値は……ざっくりしたモノで良い。やってくれ」
「は……はい……」
そう言って、奴は、計算を始め……。
「この通り……偽陽性率は7割近くに……」
「待ちたまえ……」
「何か問題でも?」
「日本人の中の『鬼類』の比率は半分以上だと推定されている筈だ。どうして、日本人の中の『鬼類』の比率をそんなに低く見積って計算したのかね?」
「あの……」
「私を馬鹿だとでも思ったのか? これでも、一応は、君と同じく理系の博士号を持っている」
「ちょ……ちょっと待って下さい……聞いてない……です……そんな事……」
「誰も私に『理系の博士号を持っているか?』と訊かなかったから言う機会が無かっただけだ。あと、鬼類判定検査の誤識別率は、君が計算に用いた値より1~2桁低い筈だ」
「……」
「では、真の鬼類率を50%、鬼類判定検査の誤識別率を今の一〇分の一にして、計算をやりなおしてくれたまえ」
「…………」
「どうした、早くやれ」
「……………………」
「何を泣いてるんだ?」
「…………………………………………」
「小便まで漏らして、どうしたんだね? ああ、ひょっとして君は『老人特有の症状』と云う婉曲表現で呼ばれている状態なのか? そう言えば、たしか、君は、そろそろ勤務先の大学を定年退職すべき年齢だったな……」
「は……はい……その通りです」
「なるほど。だから、計算を間違えたのか」
「おっしゃる通りです。申し訳ありません」
「では、君の口から聞こう。君は、今、正常な判断が可能な状態かね?」
「え……えっと……その……?」
「君は自分の間違いを認める事が出来た。正常な人間でも間違いを犯すが、正常であれば、自分が間違っている事を論理的に指摘されれば、それを認める事が出来る筈だ」
「え……ええっと……何を言われて……あ……あの……?」
「YesかNoかではっきり答えたまえ。君は、今、正常かッ⁉ 正常な判断が可能な状態の筈だッ⁉ 違うのかッ⁉」
「は……はい……はい、はい、はいいいいいッ‼ 私はッ……正常ッ……ですッ‼」
「では、現在の鬼類判定検査は、問題が有るとしても科学的に許容範囲内だな?」
「その通りで有ります有ります有りますすすすぅぅぅぅ……ッ‼」
「ならば、鬼類判定検査で『鬼』と判定された者を殺しても問題無いな?」
「全く全く全く全く問題ございませんんんんッ‼ 科学的に何一つ問題無しですぅぅうぅっっっ‼」
「そうか。では、これまでの貢献を考慮して、たっぷり年金を出そう。残る余生を楽しんでくれたまえ」
「……は……はい……はいはいはははいいいッ‼ ありがたき幸せですゥ……っ‼」
「そう言えば、君はSNSでも有名だそうだな。フォロワー数は6桁だとか」
「えっと……それが……」
「君の先程の発言は録画されている。まず無いとは思うが、もし、我が新政府が自称『正義の味方』どもに倒されて、この録画が白日の元に晒されれば、何が起きるか判っているな?」
「え……えっと……あの……その……っ」
「では……引退後もSNSでの我が新政府の宣伝をしっかり頼むよ。万が一の事態が起きて、君の死体が晒しモノになる事が望みなら話は別だがね」
大半の日本人は、我々による「維新」後に知った事だが、日本人にはある時代以降、忌むべき「鬼」の血が混ってしまった。
我々「鬼類誅戮護国崇神団」の最終目的は日本征服統治でも、ましてや世界征服でも人類抹殺でも地球滅亡でもない。
あくまでも、我々の手による日本の征服統治は、日本人に混ってしまった「鬼類」の血を許容範囲以下にする事で「純血の日本人」を「再生」し「あるべき日本」を取り戻す手段に過ぎない。
しかし……。
「ですので、現在の鬼類判定検査では、偽陽性が無視出来ません。『鬼類』と判定された者達の内、実は『鬼類』では無い人達の方が多くなってしまいます」
そう説明しているのは、新政府の科学顧問団として名乗り出た科学者の1人である奇筑諂とか云う名前の奴だった。
専門が何だったか良く知らないが、たしか「ニセ科学批判」とやらで有名な男だ。
「鬼と云う単語の語源の1つは『陰』なのに『偽陽性』とはややこしいな」
「は……はぁ……」
「まぁ、いい。おい、誰か、ホワイトボードを持って来い」
「Wyyyy……」
「Wyyyy……」
私の命令に、近くに居た戦闘員達が返事をした。
「えっ?」
「どの程度の『偽陽性』が出るか計算してくれ」
「えっと……ですが……」
「値は……ざっくりしたモノで良い。やってくれ」
「は……はい……」
そう言って、奴は、計算を始め……。
「この通り……偽陽性率は7割近くに……」
「待ちたまえ……」
「何か問題でも?」
「日本人の中の『鬼類』の比率は半分以上だと推定されている筈だ。どうして、日本人の中の『鬼類』の比率をそんなに低く見積って計算したのかね?」
「あの……」
「私を馬鹿だとでも思ったのか? これでも、一応は、君と同じく理系の博士号を持っている」
「ちょ……ちょっと待って下さい……聞いてない……です……そんな事……」
「誰も私に『理系の博士号を持っているか?』と訊かなかったから言う機会が無かっただけだ。あと、鬼類判定検査の誤識別率は、君が計算に用いた値より1~2桁低い筈だ」
「……」
「では、真の鬼類率を50%、鬼類判定検査の誤識別率を今の一〇分の一にして、計算をやりなおしてくれたまえ」
「…………」
「どうした、早くやれ」
「……………………」
「何を泣いてるんだ?」
「…………………………………………」
「小便まで漏らして、どうしたんだね? ああ、ひょっとして君は『老人特有の症状』と云う婉曲表現で呼ばれている状態なのか? そう言えば、たしか、君は、そろそろ勤務先の大学を定年退職すべき年齢だったな……」
「は……はい……その通りです」
「なるほど。だから、計算を間違えたのか」
「おっしゃる通りです。申し訳ありません」
「では、君の口から聞こう。君は、今、正常な判断が可能な状態かね?」
「え……えっと……その……?」
「君は自分の間違いを認める事が出来た。正常な人間でも間違いを犯すが、正常であれば、自分が間違っている事を論理的に指摘されれば、それを認める事が出来る筈だ」
「え……ええっと……何を言われて……あ……あの……?」
「YesかNoかではっきり答えたまえ。君は、今、正常かッ⁉ 正常な判断が可能な状態の筈だッ⁉ 違うのかッ⁉」
「は……はい……はい、はい、はいいいいいッ‼ 私はッ……正常ッ……ですッ‼」
「では、現在の鬼類判定検査は、問題が有るとしても科学的に許容範囲内だな?」
「その通りで有ります有ります有りますすすすぅぅぅぅ……ッ‼」
「ならば、鬼類判定検査で『鬼』と判定された者を殺しても問題無いな?」
「全く全く全く全く問題ございませんんんんッ‼ 科学的に何一つ問題無しですぅぅうぅっっっ‼」
「そうか。では、これまでの貢献を考慮して、たっぷり年金を出そう。残る余生を楽しんでくれたまえ」
「……は……はい……はいはいはははいいいッ‼ ありがたき幸せですゥ……っ‼」
「そう言えば、君はSNSでも有名だそうだな。フォロワー数は6桁だとか」
「えっと……それが……」
「君の先程の発言は録画されている。まず無いとは思うが、もし、我が新政府が自称『正義の味方』どもに倒されて、この録画が白日の元に晒されれば、何が起きるか判っているな?」
「え……えっと……あの……その……っ」
「では……引退後もSNSでの我が新政府の宣伝をしっかり頼むよ。万が一の事態が起きて、君の死体が晒しモノになる事が望みなら話は別だがね」
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