旧文明時代のある国の国教

蓮實長治

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旧文明時代のある国の国教

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「市長、例のモニュメントの建造費ですが……」
「我が市の特産物をモニュメント化して、何の問題が有るのかね?」
「しかし、国からの補助金の目的外使用だと、海外メディアに報じられていますし……その……」
「ああ、確かにそうだ。しかし、海外の方々の反応は好意的なモノだったと聞いている」
「ですが……」
「うるさいな。我が市内のY町の特産品であるイカとイカ焼麦シューマイのモニュメントを作った事が、そんなに問題かね? はい、次の質問は?」

「え~、数百年前に疫病で滅んだ旧文明時代に信仰されていた『クトゥルフ』ついての新しい資料が見付かりました。これです」
「待ちたまえ……これは……」
「ええ、『クトゥルフ』の頭部については『タコ』説と『イカ』説が有りましたが、世界で最も『クトゥルフ』関係の資料が見付かっている地域の1つである『日本』の……当時の呼び名ではS県K市Y町において、この巨大なイカの像が発見されました」
「だが、これを『クトゥルフ』の頭部の像と考えるのは早計では無いかね? 確かに、あの時代に『日本』と呼ばれた地域が、当時、1,2を争う程に『クトゥルフ』信仰が盛んだったのは、ほぼ確実だが……これは、同じく『クトゥルフ神話』に出て来る存在である『クトーニアン』の像である可能性の検討すべきでは……」
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