おつかれさま……

蓮實長治

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おつかれさま……

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「首相は、かなりおつかれのようですので、1週間以上の静養が必要です」
「では、野党が要求している臨時国会の開催はいつになるんですか?」
「ともかく、首相の体調が戻ってからになります。はい、次の御質問は?」
 その国の首相官邸では、いつもの調子で、定例記者会見が行なわれていた。

「おい、総理の調子は……うわっ?」
「あ……危ないっ!! 逃げて下さいっ!!」
 首相の自宅静養が発表された翌日、首相の私邸を訪ねた副首相の頭に観葉植物の植木鉢が激突した。
「誰か、救急車……」
 副首相が脳震盪で倒れた為、副首相の秘書は救急車を呼んだが……更に、その後、二次災害に有った救急隊員の為に、更に救急車を呼ぶ羽目になってしまった。

「冗談抜きで、かなり『おつかれ』みてぇだな……」
 何人もの救急隊員の尊い犠牲の結果、病院に搬送され意識を取り戻した副首相は、そう言った。
 幸か不幸か、首相の私邸で起きているのせいで、副首相が受けた怪我は軽微なものだった。
「いえ、『かなり』じゃありません。党専属の『拝み屋』さんの見立てでは……首相に取り憑いた霊は2体だけです」
「はっ?」
「首相の父方の御祖父様と母方の御祖父様の霊が首相に取り憑いて、喧嘩をしているようです」
 その国の現首相は、いわゆる世襲政治家であり、父方・母方の両方の祖父も政治家だった。
 ただし、片方は、かつてこの国を支配した軍事独裁政権の協力者で……もう片方は反対派だったのだ。
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