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第一章:傷城
ニルリティ/高木 瀾(らん) (3)
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「ロックオンした車のナンバーを撮影。後方支援チームに送信してくれ」
『「日本国内で使用される車両のナンバープレート」という条件で対象の文字認識成功しました』
三輪バイクの制御AIは私の指示に返答した。
「なら、その文字認識結果も後方支援チームに送信」
『了解』
『車のナンバーの記録が有った。「龍虎興業」の2次団体が何度か使ってる車だ』
後方支援チームより連絡。
「特定の2次団体か? それとも複数の2次団体が使い回してるのか?」
『前者。本部は八代。あと熊本県内にいくつか拠点が有る。いわゆる「武闘派」だ』
龍虎興業は……表の顔はイベント興業を行なう会社だが、事実上は熊本県内の「裏社会」を仕切っている暴力団で、「九州三大暴力団」の残り2つ……久留米の「安徳ホールディングス」と北九州の「青龍敬神会」……と同じく、メンバーには妖怪系、特に「河童」が多い。
ただし、安徳ホールディングスや青龍敬神会に多いタイプの「河童」とは系統が違うらしい「水虎」と呼ばれる変身した後≒河童の姿になった時には甲羅に虎の胴体を思わせる縞模様が浮び上る姿になるタイプが多数を占める。
『あと……あの変なカードの正体が判った』
「何だ?」
『検索サイトの「RAMPO」で画像検索したら一発で似たようなのが引っ掛かった』
「はあ?」
『カードに込められてる魔法はともかく……カードそのものは一般的なモノだ』
なるほど……だから、見覚えが……。
でも、有名どころのトレーディング・カードにしては……流行りの絵柄じゃないし、そんなに上手な絵でもない。
なら……何だ?
その時、追っていた車から河童が銃を片手に箱乗りになって上半身を出す。
「自動回避モード」
私は三輪バイクの制御AIに指示を出す。
私の「鎧」と三輪バイクの装甲の素材は、短時間なら銃撃に対して軍用装甲車級の防御力が有るが……それでも受けないに越した事は無い。
「カードの正体の説明は、後で聞く。攻撃してもOKか?」
『予想進路上の同業者に一般車両のフリして尾行するように要請を出してる。適当に芝居して切り上げてくれ』
クソ……。
恐怖という感情を生まれ付き欠いている私は、他人の気持ちを推測するのが苦手で……芝居は「脚本」が有れば何とかなるが、アドリブでやるのは、それほど巧い訳じゃない。
その時……。
「畜生……自動回避モードOFF。この三輪バイクを遠隔操作。私の背後の車両の盾にしろ」
河童が銃撃を始めたのと、ほぼ同時に、サイドミラーに一般車両が写る。
『あ……了解』
「不自惜身命」
私は自分自身の「火事場の馬鹿力」解放の為の自己暗示ワードと「鎧」のリミッター解除ワードを兼ねた一言を唱える。
「背後の車の車種を確認してくれ。自動衝突回避機能有りの車種か?」
私は三輪バイクから前方に飛び出すと同時に後方支援チームに指示。
「ぎゃあああ……」
『古い車種だ。自動衝突回避機能なし。ついでに電動車じゃなくてガソリン車』
「鎧」の腕の隠し刃で、銃を持っている河童の腕を切り落すとほぼ同時に返信。
背後の車は、前方の騷ぎを避けようとして、ハンドルを切り損なったらしく……反対車線に突入しようとしていた。
「クソッ‼」
「鎧」の背面より余剰エネルギーを噴射。
だが、私が反対車線に入る直前に衝突音。
相棒の三輪バイクが衝突しようとした2台の車の間に入り、緩衝材になっていた。
「おい、何て真似してくれた? あの馬鹿が怒り狂うぞ」
三輪バイクを遠隔操作していた後方支援チームに苦情を入れるが……。
『あのな。こうしないと、お前、自分の体で衝突の衝撃を減らすつもりだったろッ‼』
『おい、「あの馬鹿」って、あたしの事か? 何が起きた?』
続いて相棒から無線通話が入る。
「大した事じゃない。ちょっと帰りが遅れるだけだ」
追突した車と、その乗員……更に後続の車の状態を確認しながら、相棒の問いに、そう答えた……。
幸か不幸か……生命に重大な支障が有ったり後遺症が残るような怪我人は……私が腕を切り落した河童だけのようだった。
『「日本国内で使用される車両のナンバープレート」という条件で対象の文字認識成功しました』
三輪バイクの制御AIは私の指示に返答した。
「なら、その文字認識結果も後方支援チームに送信」
『了解』
『車のナンバーの記録が有った。「龍虎興業」の2次団体が何度か使ってる車だ』
後方支援チームより連絡。
「特定の2次団体か? それとも複数の2次団体が使い回してるのか?」
『前者。本部は八代。あと熊本県内にいくつか拠点が有る。いわゆる「武闘派」だ』
龍虎興業は……表の顔はイベント興業を行なう会社だが、事実上は熊本県内の「裏社会」を仕切っている暴力団で、「九州三大暴力団」の残り2つ……久留米の「安徳ホールディングス」と北九州の「青龍敬神会」……と同じく、メンバーには妖怪系、特に「河童」が多い。
ただし、安徳ホールディングスや青龍敬神会に多いタイプの「河童」とは系統が違うらしい「水虎」と呼ばれる変身した後≒河童の姿になった時には甲羅に虎の胴体を思わせる縞模様が浮び上る姿になるタイプが多数を占める。
『あと……あの変なカードの正体が判った』
「何だ?」
『検索サイトの「RAMPO」で画像検索したら一発で似たようなのが引っ掛かった』
「はあ?」
『カードに込められてる魔法はともかく……カードそのものは一般的なモノだ』
なるほど……だから、見覚えが……。
でも、有名どころのトレーディング・カードにしては……流行りの絵柄じゃないし、そんなに上手な絵でもない。
なら……何だ?
その時、追っていた車から河童が銃を片手に箱乗りになって上半身を出す。
「自動回避モード」
私は三輪バイクの制御AIに指示を出す。
私の「鎧」と三輪バイクの装甲の素材は、短時間なら銃撃に対して軍用装甲車級の防御力が有るが……それでも受けないに越した事は無い。
「カードの正体の説明は、後で聞く。攻撃してもOKか?」
『予想進路上の同業者に一般車両のフリして尾行するように要請を出してる。適当に芝居して切り上げてくれ』
クソ……。
恐怖という感情を生まれ付き欠いている私は、他人の気持ちを推測するのが苦手で……芝居は「脚本」が有れば何とかなるが、アドリブでやるのは、それほど巧い訳じゃない。
その時……。
「畜生……自動回避モードOFF。この三輪バイクを遠隔操作。私の背後の車両の盾にしろ」
河童が銃撃を始めたのと、ほぼ同時に、サイドミラーに一般車両が写る。
『あ……了解』
「不自惜身命」
私は自分自身の「火事場の馬鹿力」解放の為の自己暗示ワードと「鎧」のリミッター解除ワードを兼ねた一言を唱える。
「背後の車の車種を確認してくれ。自動衝突回避機能有りの車種か?」
私は三輪バイクから前方に飛び出すと同時に後方支援チームに指示。
「ぎゃあああ……」
『古い車種だ。自動衝突回避機能なし。ついでに電動車じゃなくてガソリン車』
「鎧」の腕の隠し刃で、銃を持っている河童の腕を切り落すとほぼ同時に返信。
背後の車は、前方の騷ぎを避けようとして、ハンドルを切り損なったらしく……反対車線に突入しようとしていた。
「クソッ‼」
「鎧」の背面より余剰エネルギーを噴射。
だが、私が反対車線に入る直前に衝突音。
相棒の三輪バイクが衝突しようとした2台の車の間に入り、緩衝材になっていた。
「おい、何て真似してくれた? あの馬鹿が怒り狂うぞ」
三輪バイクを遠隔操作していた後方支援チームに苦情を入れるが……。
『あのな。こうしないと、お前、自分の体で衝突の衝撃を減らすつもりだったろッ‼』
『おい、「あの馬鹿」って、あたしの事か? 何が起きた?』
続いて相棒から無線通話が入る。
「大した事じゃない。ちょっと帰りが遅れるだけだ」
追突した車と、その乗員……更に後続の車の状態を確認しながら、相棒の問いに、そう答えた……。
幸か不幸か……生命に重大な支障が有ったり後遺症が残るような怪我人は……私が腕を切り落した河童だけのようだった。
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