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第六章:Feel the Fire
ニルリティ/高木 瀾(らん) (3)
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『で、まずは、開発中の散弾だ。ほら、人体に銃弾撃ち込んだら、弾道が体内で変な方向に曲がったとか有るだろ?』
「ああ、聞いた事は有る。昔、大牟田の弱小ヤクザの組長が拳銃自殺しようとしたら、弾道が変な曲り方をして、死ねなかったどころじゃなくて、軽症で済んだなんて事件が有ったな、そう言えば」
夕方になって、学校が終り、帰宅してからビデオ通話で「工房」が作った「新兵器」の実験の様子を見る事になった。
今回の敵は「霊力を込めた弾丸や刃物を貫通させずに相手の体内に止める」必要が有る上に、しかも、その敵の体は一般人よりも脆くなっている。
下手に強力な兵器で体をバラバラにしてしまえば、辺り一帯が心霊スポットと化すという厄介にも程が有るゾンビどもだ。
『この散弾は、そういう『体内で弾道が変る』ような事が起き易くなるように表面処理をしてみたヤツだ。じゃ、テストだ』
その開発中の銃弾は、人間の骨とほぼ同じ強度・剛性の素材と、人間の筋肉と、これまたほぼ同じ強度・剛性・弾性の素材で出来た……早い話が人体を模した標的に向けて発射され……。
『うわっ‼』
「おい、まさか、ここで初めてテストするのか?」
『あ……あ……あ……』
標的の体内で弾道が大きく変ったせいで、散弾は標的から飛び出して四方八方に飛び散った。
もちろん、弾を撃った遠隔操作型のロボットの方にも……。
「他はいい加減なのに、安全規則にだけは厳しいせいで命拾いしたな」
『うるせえよ。次だ。仮名称「細波弾」』
そう言って、今度は、プロテクター付の標的に向けてスラッグ弾らしきモノを発射し……。
「判ってんのか? 今回の敵は、下手にデカいダメージを与えたら、余計にマズい事になるんだぞ」
プロテクターは少し凹んだだけだが……筋肉を模したゼラチン状の素材が、またしても四方八方に飛び散る。
一部の武術・近接戦闘術にある「防具の防御力を無視して中の人間に直接ダメージを与える打撃技」を銃弾で再現しようとしたらしいが、今回の敵には使えそうに無い。
『次だ。通称「バタフライ・バレット」。今は亡き中東の某国が先住民族を民族浄化しようとした時に使ったダムダム弾の一種だ』
そう言って、今度は拳銃弾を何発も発射し……。
「二度も言わせるな。下手にデカいダメージを与えたら、逆にマズい相手なんだぞ。手足に命中ったら、その手足が胴体とお別れなんて論外だ」
『判ってるよ』
「あんた、いつも『同じ理系でも理学部出身者は信用すんな。あいつらは頭の作りが単純なスペック厨どもだ』とか言ってるけど、今のあんたの方がスペック厨にしか思えないぞ」
『次だ。標的の体内に入ると砕け散るように加工した拳銃弾』
「今まで、一番マシだが……まだ、体の外に破片が出てるな」
『ああ……そうだな……』
「しかし、そんな兇悪な弾丸、生きた相手には使いたくないな。私が、この弾丸で撃たれた患者を治療する羽目になった医者だったら、こんな代物を考えた奴を呪うぞ」
『じゃあ、最終兵器だ』
そして、遠隔操作用のロボットは……標的にナイフを突き刺す。
ただし、逆棘が付いてて、刺したら簡単に抜けなくなるタイプの刺突・投擲専用のナイフだ。
「それが一番マシだな。自信作か?」
『……』
「一番、オーソドックスなのが、一番使えそうだな。そのナイフ、鍔の辺りで折れるように出来ないか?」
『おい……。お前、さっき、何て言った。私が、ただでさえ刺さったが最後、簡単に抜けなくなる刃物の、それも柄が無いバージョンで刺された患者を治療する羽目になった医者だったら、んな代物を考えた奴を呪うぞ』
「万が一、無関係な奴に拾われたら、結構、ヤバい武器になる。それを拾ったチンピラが喧嘩にでも使ったら、使われた方には後遺症が残る可能性が高いだろ? 一度、使ったら、二度と使えなくなる方が望ましい」
『なるほど。確かに。じゃあ、これを大量生産か。旋盤の制御データを修正して……五〇本作るのに1日って所かな?』
「あと、何もやってない低威力の散弾を可能な限り用意してくれ。防具なしの普通の人間の腹に撃ったら、内臓まで届かない程度の威力のヤツでいい。もちろん、ナイフも銃弾も『魔法使い』系の人に霊力を込めてもらってくれ」
『了解。それだと、更に1~2日かかるな。あと、新しいバイクは、直接、持ち主に届けるのでいいか?』
「丁度、今、入院中だから……どうするかなあ……? とりあえず、ウチのチームの今の拠点まで持って来てくれ。いや、ちょっと待てよ……」
『どうした?』
「今のテストに使った標的は処分しないでおいてくれ。あと、外に飛び出た弾丸や破片が標的の中でどう曲ったかを調べて、そのデータを送ってもらえないか? あと、さっきのナイフは警察の『レンジャー隊』や機動隊の防具を貫通出来る強度にしておいてくれ」
『ん? 何を思い付いたんだ?』
「私が奴だったら、次にどんな手を打つかと……更にその手への対抗策だ」
「ああ、聞いた事は有る。昔、大牟田の弱小ヤクザの組長が拳銃自殺しようとしたら、弾道が変な曲り方をして、死ねなかったどころじゃなくて、軽症で済んだなんて事件が有ったな、そう言えば」
夕方になって、学校が終り、帰宅してからビデオ通話で「工房」が作った「新兵器」の実験の様子を見る事になった。
今回の敵は「霊力を込めた弾丸や刃物を貫通させずに相手の体内に止める」必要が有る上に、しかも、その敵の体は一般人よりも脆くなっている。
下手に強力な兵器で体をバラバラにしてしまえば、辺り一帯が心霊スポットと化すという厄介にも程が有るゾンビどもだ。
『この散弾は、そういう『体内で弾道が変る』ような事が起き易くなるように表面処理をしてみたヤツだ。じゃ、テストだ』
その開発中の銃弾は、人間の骨とほぼ同じ強度・剛性の素材と、人間の筋肉と、これまたほぼ同じ強度・剛性・弾性の素材で出来た……早い話が人体を模した標的に向けて発射され……。
『うわっ‼』
「おい、まさか、ここで初めてテストするのか?」
『あ……あ……あ……』
標的の体内で弾道が大きく変ったせいで、散弾は標的から飛び出して四方八方に飛び散った。
もちろん、弾を撃った遠隔操作型のロボットの方にも……。
「他はいい加減なのに、安全規則にだけは厳しいせいで命拾いしたな」
『うるせえよ。次だ。仮名称「細波弾」』
そう言って、今度は、プロテクター付の標的に向けてスラッグ弾らしきモノを発射し……。
「判ってんのか? 今回の敵は、下手にデカいダメージを与えたら、余計にマズい事になるんだぞ」
プロテクターは少し凹んだだけだが……筋肉を模したゼラチン状の素材が、またしても四方八方に飛び散る。
一部の武術・近接戦闘術にある「防具の防御力を無視して中の人間に直接ダメージを与える打撃技」を銃弾で再現しようとしたらしいが、今回の敵には使えそうに無い。
『次だ。通称「バタフライ・バレット」。今は亡き中東の某国が先住民族を民族浄化しようとした時に使ったダムダム弾の一種だ』
そう言って、今度は拳銃弾を何発も発射し……。
「二度も言わせるな。下手にデカいダメージを与えたら、逆にマズい相手なんだぞ。手足に命中ったら、その手足が胴体とお別れなんて論外だ」
『判ってるよ』
「あんた、いつも『同じ理系でも理学部出身者は信用すんな。あいつらは頭の作りが単純なスペック厨どもだ』とか言ってるけど、今のあんたの方がスペック厨にしか思えないぞ」
『次だ。標的の体内に入ると砕け散るように加工した拳銃弾』
「今まで、一番マシだが……まだ、体の外に破片が出てるな」
『ああ……そうだな……』
「しかし、そんな兇悪な弾丸、生きた相手には使いたくないな。私が、この弾丸で撃たれた患者を治療する羽目になった医者だったら、こんな代物を考えた奴を呪うぞ」
『じゃあ、最終兵器だ』
そして、遠隔操作用のロボットは……標的にナイフを突き刺す。
ただし、逆棘が付いてて、刺したら簡単に抜けなくなるタイプの刺突・投擲専用のナイフだ。
「それが一番マシだな。自信作か?」
『……』
「一番、オーソドックスなのが、一番使えそうだな。そのナイフ、鍔の辺りで折れるように出来ないか?」
『おい……。お前、さっき、何て言った。私が、ただでさえ刺さったが最後、簡単に抜けなくなる刃物の、それも柄が無いバージョンで刺された患者を治療する羽目になった医者だったら、んな代物を考えた奴を呪うぞ』
「万が一、無関係な奴に拾われたら、結構、ヤバい武器になる。それを拾ったチンピラが喧嘩にでも使ったら、使われた方には後遺症が残る可能性が高いだろ? 一度、使ったら、二度と使えなくなる方が望ましい」
『なるほど。確かに。じゃあ、これを大量生産か。旋盤の制御データを修正して……五〇本作るのに1日って所かな?』
「あと、何もやってない低威力の散弾を可能な限り用意してくれ。防具なしの普通の人間の腹に撃ったら、内臓まで届かない程度の威力のヤツでいい。もちろん、ナイフも銃弾も『魔法使い』系の人に霊力を込めてもらってくれ」
『了解。それだと、更に1~2日かかるな。あと、新しいバイクは、直接、持ち主に届けるのでいいか?』
「丁度、今、入院中だから……どうするかなあ……? とりあえず、ウチのチームの今の拠点まで持って来てくれ。いや、ちょっと待てよ……」
『どうした?』
「今のテストに使った標的は処分しないでおいてくれ。あと、外に飛び出た弾丸や破片が標的の中でどう曲ったかを調べて、そのデータを送ってもらえないか? あと、さっきのナイフは警察の『レンジャー隊』や機動隊の防具を貫通出来る強度にしておいてくれ」
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