異世界転生失敗

蓮實長治

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異世界転生失敗

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 俺達の種族は、またしても、ついうっかり、自分達が住んでいる世界を滅ぼしてしまった。
 俺達の種族の歴史で、たしか3度目だったと思う。
 と言っても、俺達の種族の本体は霊体なんで、肉体が死に絶えても滅びる訳じゃねぇが、だが、一度、物理的な肉体を持ってしまうと、霊体だけの状態は味気ないモノにしか思えなくなる。
「じゃあ、また、あれをやるか」
 俺達の種族の最長老がそう言った。
「なら、良い種族が居ますぜ……」
「どんな連中だ?」
「こいつら」
 俺達は、一族の1人が前々から目を付けていた、「地球」と云う世界の「人間」って種族の体を乗っ取る事にした。

「あれっ?」
 俺達は、何故か、予定とは違う昆虫の肉体に入っていた。
「どう云う事だ?」
 しかし、どうやら、ここは、人間達が住んでる建物の……要は調理場らしい。
 ふと、上を見上げると、金属の円筒を持った人間が俺達を見下みおろしていた。
「どこの、ぽっと出の連中か知らねぇが、この体は、俺達が乗っ取る為に、長年かけて増やしてきたんだ。それを横取りしようたぁ、ふてえ了見だな」
 俺達の頭上のは、俺達に向けて、金属の円筒から毒ガスを噴射し……。
 どうやら、俺達の種族は、お先真っ暗なようだ。
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