荒神録 ─ Demonic Divinity Saga ─ 公安戦隊K-SAT/残酷な神が支配する

蓮實長治

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プロローグ

さみしいときは

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『というのは、政治は子供の遊び場ではないからだ。政治において服従と支持は同じものなのだ』
『これが君が絞首されねばならぬ理由、しかもその唯一の理由である』
ハンナ・アレント『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』より

「順調に
 この病院とされる場所に居る理学療法士を称する女は、私にそう告げた。
 今や、ここに収容された時に比べて、筋力は下手したら半分ぐらいまで落ちている。
 100m走だと……まだ同じ位の年齢の同業者の平均よりも上だが、それでも、ここ1年ぐらいの自己ベストより1秒近く落ちている。
 ベンチプレスは、ここにブチ込まれる前の自己ベスト記録の半分以下までしか持ち上げられなくなった。
 だが……ここにブチ込まれる時に自称「医師」から受けた「私達のような者達は洗脳や精神操作系の異能力に脆弱性が有る」「貴方達は既に洗脳されていた。その洗脳を解くのは簡単だが『洗脳され易い』という貴方達の特性を『治療』するのは簡単ではない」「貴方達が『現実主義』だと思い込んでいたモノは、単なる今自分が置かれている状況への順応に過ぎない」という話は本当らしく……一緒にここにブチ込まれていた仲間達は既に諦めの境地のようだ……。
 私達がブチ込まれている「病院」は……私達をブチのめした連中とは別組織らしく、「病院」の関係者も、奴らが何者か知らないようだ。
 ただ、私達の「治療費」が即金で渡されたらしい。
 何の冗談だ?
 この手の情報の収集・分析に関しては、日本有数の筈の私達の組織が……こんな無茶苦茶な「病院」の存在を見落していたなどと……。
 本当にここは……日本国内なのか?
 窓の外から見える光景は本物なのか?
 そして……いつしか、自分のアイデンティティを揺がす疑問さえ脳裏に浮かぶようになっていた。
 
 そもそも、私達の「正義」など、最初から悪ですらない単なる愚劣で安易な思想とさえ呼べぬ代物だったのでは無いのか?
 判っている限りでの全ての発端は、去年の12月に起きた事件。
 それは……九州のある暴力団が運営していた「麻薬農場」が潰された事が始まりだった。
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