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真紅の改造人間……その名は……?

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 四十代のころ、仕事中に倒れて緊急入院した事が有った。
 その際に医者からダイエットするように言い渡されたが……定年退職してから十年ほど、のんべんだらりと過ごしてる内に、とうとう、ダイエットを始める前の体重を超えてしまった。
 やれやれ……。
 最寄り駅から2㎞足らずの自宅まで歩いて帰るのさえキツい。
 この時間、バスはとうに無い。
 かつての同僚と久し振りに飲んで、アルコールが抜けてないので、余計、キツく感じるのかも……。
 ん?
 冗談抜きで、まだ酔ってるのか?
 季節外れにも程が有る曲が聞こえてきた。
 何なんだ? と思っていると、俺のすぐそばに大型トラックが停車した。
 どうやら……この季節外れの曲は、このトラックが流していたらしい。
 トラックの側面には求人広告……って、おい、何の求人だって?
 そう思っていると、トラックの中から次々と人が出てきて……。

 俺は、寝てるのか?
 意識を取り戻し、手足を動かそうとしたが……動かない。
「私の十一人の弟子の評価を平均すると……百点満点で87.3。無改造の状態でこれは、数年に一度の掘り出し物だったよ」
 へっ?
 誰の声だ?
「君の首から下は改造が終っている。後は脳改造をやれば、君は完璧な……になるだろう」
 いっ……いや……何になるって?
 改造?
 俺を何に改造する気だ?
 首だけは動いた。
 声の主は……中東系っぽい顔立ちの長髪に髭の三十前後の男。
 その男の顔は……いや、まさか……。
 だが、少なくとも、男の顔は、ぶっそうな台詞とは裏腹な慈愛に満ちたものだった。

「では、新人さんが入ったんで、仕事を教えてやってくれ」
 改造が終った俺が連れて来られた場所には……今の俺と似た姿の老人達が山程居た。
 全員が白髪に長い髭の男。
 でっぷりと太った体格。
「はい、
 俺の先輩にあたる達は、一斉に、そう答えた。
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