夢の老人一掃装置

蓮實長治

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夢の老人一掃装置

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「冗談じゃねえぞ……ようやく一台止められたはいいが……」
 「社会に不要な老人を一掃しよう」……ある経済学者がそう提唱してから三〇年近く。
 ようやく開発が完了した「自動老人一掃装置」が町に解き放たれた途端……何故か老人のみならず、若い世代も襲撃し始めた。
『すいません、記憶媒体ストレージが無事なら、渡したマニュアル通りの手順で……動作記録ログを転送して下さい』
 製造元から鎮圧部隊の現場指揮官に無線通信が入る。
「まったく……。あんたら、本当にテストしたのか?」
『は……はい……ウチの従業員を使ってテストした際には……誤識別は許容範囲内でした』
「ちょっと待て。子供も殺されてるけど、子供を老人と誤識別しないかテストしたのか?」
『え……えっと……』
「とりあえず、送信中だ。何分かかかりそうだから……俺の質問に答えてくれ」
『ウチの二〇代の従業員を老人と誤識別しなかったので……子供は大丈夫だろうと思って……その……』
「おい、二〇代の奴を老人と誤識別しなかったのに、子供を老人と誤識別したのか? それに、二〇代の奴も、結構殺してるぞ」
『ちょっと待って……下さい……。あっ……』
「何が『あっ』だ?」
『テストに使ったウチの従業員に偏りが……有った……かも……』
「はぁ?」
『テストに使った人間の所属部署が設計・開発・品証ばかりでした』
「どう云う事だ?」
『全員、学歴が最低でも大学卒です』
「ちょっと待て……二〇代で大学卒って……」
『はい、我が国でも上位一〇%に入る裕福な家で生まれ育っています』
「良く判らんが……何か……ボヤっと……う~む、巧く言葉に出来ないが……喉まで出掛かってるような……」
『ログ届きました……解析スタート……そんな……』
「おい、どうした?」
『自動老人一掃装置は、健康状態を見て年齢を推定しているのですが……』
「それが……いや、待て、何か判ってきたような……」
『はい、我が国では五〇年近く不況が続いたせいで……三〇代以下なのに健康状態が老人並の人達が山程居たようです。それどころか……不況前か、まだ、不況がマシだった頃に子供時代を過した老人の方が、今の平均的な子供よりも健康状態が良いみたいで……』
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