パッチワーク・アース

蓮實長治

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第一章:TIME

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 翌朝、俺は一応は職場に出勤する為にアパートを出た。
 福岡県小郡おごおり市に有る陸自の駐屯地だ。
 押入の奥から慌てて出した……冬物の上着を羽織っていても……寒けがする。
 だが、通勤路の途中に有る自販機には暖い飲み物など無い。……自販機も一応は動いていたが。
 途中で見掛けた通行人も……冬用の服の者も居れば、夏用の服の上に長袖だが薄手の上着を羽織って震えながら歩いている者も居る。
 だが……おかしいのは、季節だけではなかった。
 空が明るくなる時間もおかしかった。
 何かの理由で、本当に季節が冬になったのだとしても……日の出の時間が冬にしても遅い。
 ざっと……1時間か……それ以上。
 スマホのアンテナは立っている。
 だが、メッセージ・アプリは使えない。ただ、良く判らないエラーだけが表示される。
 検索サイトもSNSも駄目なのは夜中に目が覚めた時点から変化なし。
 GPSは……出鱈目な場所が表示される。GPSでは、俺は……名前は聞いた事は有るが、どんな感じの場所で、住人は何語をしゃべってるのかも良く知らないような国に居る事になっていた。ついでに……俺の中では「寒くない……むしろ暑い場所」ぐらいのイメージが有る場所だ。
 スマホで誰かに電話して何がどうなってるのか知ってるヤツが居ないか手当たり次第に調べようにも……仕事関係以外の知り合いは、ほぼ居ないし、農業をやってる実家を継いだ姉夫婦とは疎遠なので、そっちに電話するのは気が引ける。
 姉貴は俺を嫌っているし……姉貴の旦那とは……そんなに話した事すら無い。
 お袋は俺が大人になる前に交通事故で死んで、親父は、何年か前に腰を痛めてから……まだ、そんな齢でもないのに、ボケが始まってるらしい。
 ふと、空を見る。
 夜中に目が覚めた時は、オリオン座が見えたのに、今は重そうな雲が……いや……待て……。
 今が冬だとしたら、こんな感じの雲は……。
 冗談じゃない。
 昨日まで夏だった筈なのに、職場のゲートを通る頃には、小雪が降り出していた。
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