コオロギおいしいおいしいおいしいおいしい……

蓮實長治

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コオロギおいしいおいしいおいしいおいしい……

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 その日、「国民にコオロギを何としても食わせる」という政策をゴリ押ししようとした政府は、ついに革命によって倒された。
 長い道程だった。
 反対運動デモには催涙弾が撃ち込まれた。
 それも、催涙弾と云うのは、普通は斜め上に向けて撃つモノなのに、機動隊員達は水平に撃った。
 しかも、催涙弾は火薬の量を倍にした特注品だった。
 当然、デモに参加した人々から多数の死者が出たが、政府発表は「不幸な事故」だった。
 反対していた野党の党首が乗っていた車には、横から大型トラックが激突し……その大型トラックの行方は、その後、不明。
 もちろん、暴走大型トラックに轢き殺された野党党首が異世界転生出来たかも不明だ。
 その野党の新しい党首は「これからはウチの党は御花畑な理想論は捨て現実主義でいく。政府の政策に反対するなら、ちゃんと対案を出す」と言い出した。
 そして、次の国会では、その野党から「コオロギの代りにゴキブリを国民に食わせてはどうか?」という「対案」が出された。
 「国民にコオロギを食わせる」政策に反対する政治家が選挙に立候補したが……選挙管理委員会は丸ごと「コオロギ食」推進派で、「コオロギ食」反対派の候補に入った票の8割が無効票扱いになった。
 だが……「コオロギ食」法が国会の本会議で採択されようとした、その日、国会に我々革命軍が雪崩れ込んだ。
 マスコミでもSNSでも……「コオロギ食」反対派は「暴徒」「テロリスト」「トンデモ」扱いされていたが、実の所、国民の8割以上が、「コオロギ食」反対派になっていたのだ。
 国会の警備員は我々の突入を見て見ぬフリをした。
 我々に武器その他の必要な物資は、良識ある人達から供与されたものだ。
 そして、政府の閣僚と「コオロギ食」に賛同した政党……与野党問わず……国会前に引き摺り出され……。
「き……貴様ら……何と云う事をしてくれた……。このままでは……日本は滅ぼされるぞッ‼」
「滅ぼされる? 何を言ってる? 日本人がコオロギを食わなかったら……日本が何者かに滅ぼされると言うのか?」
 元・首相がわめきちらしている言葉……その単語の1つ1つは理解出来たが……文章全体の意味を理解出来た者は……少なくとも、我々革命軍には居なかった。
「そうだ……。……国民にコオロギかゴキブリを食わせる事を条件に……日本の存続は容認されたのだ」
「おい……誰かに容認されないと、日本は存続出来ない状態だと言うのか? いつからだ?」
「知らん。しかし……あの方々の御機嫌を損ねれば……日本は滅ぶ」
「だから、一体、誰が日本を滅ぼすと言うんだ?」
「番組製作会社だ」
「はぁ?」
「これまでは、日本人が酷い目に遭う程、視聴率が上がっていたが……最近は、日本人への虐待がマンネリ化して……国民も政府による虐待に慣れてしまったので……」
「視聴率?」
「だから……この手の番組の定番の1つである『出演者が虫を食う回は視聴率が上がる』をやるしかなくな……」
「ちょっと待て、日本人は自分達で知らなかっただけで、残酷モノのリアリティー・ショーの出演者だとでも言うのか?」
「だから、さっきから、そう言ってるだろ」
「そんな馬鹿……」
 俺が言いたい事を全て言い終える前に、目の前の景色が……おい……あれは……何……
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