60 / 86
五章 ソルディング領
60話 帰還
しおりを挟む
ルドルファン王国との交渉は無事に済んだ。
パレットたちはベラルダの領主の好意で領主館でもう一泊した後、王都へ帰ることになった。
「それでは、お世話になりました」
ベラルダの領主に挨拶をするパレットは、文官服ではなく庶民の普段着姿で、フロストを繋いだ荷馬車の御者台に乗っている。
隣に座るジーンも同じように、簡素な服に短剣を腰に差しただけの恰好である。
ミィはパレットとジーンの間に寝そべって、まったりとくつろいでいた。
「帰りの道中気をつけてな」
二人はベラルダの領主に見送られながら領主館を出ると、国境の街を後にした。
帰り道は特に急ぐことなく、ゆっくりと進んでいく。
立ち寄った街で、屋敷のみんなへのお土産を買うことも忘れない。
旅の期日が予定よりも長くなってしまったので、みんなきっと心配しているに違いない。
そのお詫びも込めて、パレットはお土産を選ぶ。
思えば誰かにお土産を選ぶなんて初めてだ。
そう思うと自身の幼い頃、いつも父からのお土産を楽しみにしていた思い出がよみがえる。
きっとその時の父も、こんな気持ちだったのだろうか。
――お土産選びって、楽しいものね。
待っている人がいるからこそ、お土産を買う意味がある。
パレットはそのことをしみじみと噛み締めていた。
現在、パレットの気分はまさしく休暇だ。
立ち寄る街の中にはパレットたちのことを覚えている人もいて、特にミィは相変わらずの人気ぶりだった。
しかし帰りの道中、奇妙なことがあった。
ジーンが宿をとる際に、部屋を別にするかと尋ねたのだ。
「え、どうして?」
尋ね返すパレットに、ジーンが困ったような顔をした。
「どうして、っていうかなぁ」
その後言葉を濁しているが、パレットにはなにが言いたいのかさっぱりわからない。
身分証は往路と同じく夫婦である上、二部屋とる宿賃ももったいない。
同じ部屋に泊まることにすでに慣れてしまったパレットは、一緒でいいと答えた。
だがジーンの方が悩んでいたようである。
――どうしたのかしら?
最近のジーンは謎だ。
こうしてパレットが新たな疑問に首を傾げながらも、旅は終わりに近付いて行く。
そしていよいよ、遠くに王都が見えて来た。
――この景色を見るのは、何度目かしらね。
王都を見晴るかす時は、いつだってパレットの転機だった。
良くも転ぶし、悪くも転ぶ。
けれどそろそろ、自分の人生は自分の手で転がしたいものだ。
叔父が遠くでなにかをやるのであれば、パレットは無害で済んだ。
しかし今回、放置しておくわけにはいかない。
――もう叔父さんに振り回されるのは、終わりにしなくちゃ。
強い決心を抱いたパレットだったが、ジーンがその様子を横目に見ていたことなど、本人は気付いていなかった。
たどり着いた王都の門で見張りをしていた兵士は、ジーンの知り合いだった。
「ジーン、ずいぶん長く王都を空けたな」
「ああ、ちょっと国境まで行ってきた」
気安く声をかけて来たところを見ると、そこそこ上手く交流できている相手のようだ。
兵士は隣に座るパレットにも視線を向けてくる。
「へえ、お嬢さんと一緒にか。
お帰り、遠かっただろう」
兵士がこちらに声をかけると思っていなかったので、パレットは驚く。
「……どうも」
上手く応対できないパレットを、愛想のない女と思われたのだろうか。
兵士はそれ以上なにも話しかけることなく、パレットたちに通行許可を出した。
「ジーン、今度旅の話を聞かせろよ!」
「ああ、訓練所でな」
ジーンがひらりと手を振りながら、荷馬車は王都へ入った。
――お帰り、か。
パレットは家出して王都に来るまで、誰かに帰りを出迎えられたことなど、一度もない。
それが王都に来てジーンの屋敷で暮らすようになってから、屋敷に戻るたびに「お帰り」と声をかけられる。
パレットにはいつも、それがこそばゆく感じていた。
パレットがそうして自分の思考に浸っていると。
「なあ、パレット」
ジーンが声をかけてきた。
パレットがそちらを向くと、ジーンはフロストの手綱を持って、正面を向いたまま話し出した。
「あんたはあの時言ったな、帰る場所があるのは幸せだと」
ソルディアの街で、反乱集団の若者たちに言った言葉を、ジーンは覚えていたようだ。
「……そうね」
帰るべき家、それは十年前にパレットが失ったものだ。
パレットのそれまでの楽しいふわふわとした気持ちが、とたんに沈んでいく。
それを見て取ったのか、ジーンがパレットの髪をぐしゃぐしゃにかき回す。
「なにをするんですか!」
ムッとして睨みつけるパレットに、ジーンは微笑んだ。
「その帰る場所は、今のあんたにもちゃんとあるさ」
「え?」
ジーンの言葉に、パレットは戸惑う。
フロストの引く荷馬車が、貴族区の道をゆっくり進んでいく。
そしてその先に、すっかり見慣れた屋敷が見えた。
屋敷の門の前に、複数の人影がある。
「ジーンにぃ、パレットさん、ミィちゃん、おかえりー!!」
屋敷の前で、アニタが叫びながら大きく手を振った。
屋敷の者が全員で出迎えてくれている。
偶然遊びに来ていたのか、貴族の子供たちの姿もある。
「あの屋敷は、あんたの家になれているか?」
そう言ったジーンは、優しい眼差しをしていた。
「私の……」
パレットは言葉を詰まらせる。
ここに戻って来たと、ホッとしている自分がいる。
パレットが十年さすらった間、一度も抱かなかった感情だ。
そう、自分にもちゃんとあったのだ。
――私の家、私の帰るべき場所。
「……もったいないわ」
目に涙を滲ませるパレットに、ミィが甘えるようにすり寄る。
ジーンがパレットの肩を軽く叩いた。
「おう、今帰った! ほら、パレットも」
「……みんな、ただいま!」
***
王都に戻った次の日。
ジーンはアレイヤードへの報告のために王城へ向かった。
長く王城に顔を出さなかったジーンのことを、騎士のほとんどは辞めさせられたと思っていたようだ。
久しぶりに見るジーンの姿に、あからさまにしかめっ面をされた。
彼らの悪態はいつものことなので、ジーンは気にせずにアレイヤードの執務室へと向かった。
「ジーン・トラストです」
ジーンが名乗ると、すぐに入室の合図が来る。
ジーンを待っていたのか、室内にはアレイヤード一人しかいない。
「まずは、無事の帰還を喜ばしく思う。
よく戻った」
「ありがとうございます、ただいま戻りました」
帰還の挨拶が済むと、ジーンは早速旅の間の報告書をアレイヤードの執務机の上に置いた。
「旅の報告書です。
私としては、十分な結果を出したと思っています」
「ソルディング領からも、事件のあらましの報告は来ている。
時間がかかるかと思っていたが、予想外にあっさりとかたがついたな」
アレイヤードはジーンの話に耳を傾けながら、報告書を手に取って読んでいく。
「現場で怪しい男を一人逃しました。
私の不手際です」
ジーンが己の失敗を口にすると、アレイヤードはひらりと片手を振った。
「私がお前に与えた任務は、パレット・ドーヴァンスの監視だ。
今回お前は己の仕事をやりきった。
後の話は、我々が考えるべきことだ」
どうやら咎めたてたりはしないらしい。
ジーンはそのことにホッとすると共に、肝心のことを聞こうと、ぐっと拳を握りしめた。
「私の調査は、パレット・ドーヴァンスの嫌疑を晴らすに足りますか?」
ジーンの言葉に、アレイヤードが報告書から顔を上げた。
パレットの嫌疑を晴らすためだと言われ、ジーンは今回様々なことを試した。
旅の間の行動観察はもちろん、旅に出る前に屋敷の自分の部屋に仕事の書類を放置したりと、地味な工作をしていたのだ。
だがパレットは、ジーンの部屋を家探ししようとはしなかった。
これは家人にも確認している。
「もうこれ以上、身内を疑うような真似をしたくありません」
ジーンの真剣な眼差しを、アレイヤードは正面から受け止める。
「パレット・ドーヴァンスは、お前にとって身内か?」
この質問に、ジーンは目を細めた。
「庶民にとって、同じ屋根の下で暮らし、同じ食卓を囲む者は家族同然です。
貴族の方には、理解し難いことかもしれません」
パレットが家族の一員であれば、屋敷の主であるジーンは、その家族を守らなければならない。
その覚悟を、ジーンは視線に込める。
二人でしばし無言で見合っていると、ふっとアレイヤードが目元を緩めた。
「……そうか、お前には酷なことを強いた。
だがこれで、必ずパレット・ドーヴァンスの嫌疑を晴らすと約束しよう」
「そう願います」
「お前には一週間の休みをやる。
まずは旅の疲れをとることだ」
ジーンは一礼して退室した。
「若造が、女を守る男の顔をした」
アレイヤードの呟きは、既に部屋を出たジーンには届かなかった。
パレットたちはベラルダの領主の好意で領主館でもう一泊した後、王都へ帰ることになった。
「それでは、お世話になりました」
ベラルダの領主に挨拶をするパレットは、文官服ではなく庶民の普段着姿で、フロストを繋いだ荷馬車の御者台に乗っている。
隣に座るジーンも同じように、簡素な服に短剣を腰に差しただけの恰好である。
ミィはパレットとジーンの間に寝そべって、まったりとくつろいでいた。
「帰りの道中気をつけてな」
二人はベラルダの領主に見送られながら領主館を出ると、国境の街を後にした。
帰り道は特に急ぐことなく、ゆっくりと進んでいく。
立ち寄った街で、屋敷のみんなへのお土産を買うことも忘れない。
旅の期日が予定よりも長くなってしまったので、みんなきっと心配しているに違いない。
そのお詫びも込めて、パレットはお土産を選ぶ。
思えば誰かにお土産を選ぶなんて初めてだ。
そう思うと自身の幼い頃、いつも父からのお土産を楽しみにしていた思い出がよみがえる。
きっとその時の父も、こんな気持ちだったのだろうか。
――お土産選びって、楽しいものね。
待っている人がいるからこそ、お土産を買う意味がある。
パレットはそのことをしみじみと噛み締めていた。
現在、パレットの気分はまさしく休暇だ。
立ち寄る街の中にはパレットたちのことを覚えている人もいて、特にミィは相変わらずの人気ぶりだった。
しかし帰りの道中、奇妙なことがあった。
ジーンが宿をとる際に、部屋を別にするかと尋ねたのだ。
「え、どうして?」
尋ね返すパレットに、ジーンが困ったような顔をした。
「どうして、っていうかなぁ」
その後言葉を濁しているが、パレットにはなにが言いたいのかさっぱりわからない。
身分証は往路と同じく夫婦である上、二部屋とる宿賃ももったいない。
同じ部屋に泊まることにすでに慣れてしまったパレットは、一緒でいいと答えた。
だがジーンの方が悩んでいたようである。
――どうしたのかしら?
最近のジーンは謎だ。
こうしてパレットが新たな疑問に首を傾げながらも、旅は終わりに近付いて行く。
そしていよいよ、遠くに王都が見えて来た。
――この景色を見るのは、何度目かしらね。
王都を見晴るかす時は、いつだってパレットの転機だった。
良くも転ぶし、悪くも転ぶ。
けれどそろそろ、自分の人生は自分の手で転がしたいものだ。
叔父が遠くでなにかをやるのであれば、パレットは無害で済んだ。
しかし今回、放置しておくわけにはいかない。
――もう叔父さんに振り回されるのは、終わりにしなくちゃ。
強い決心を抱いたパレットだったが、ジーンがその様子を横目に見ていたことなど、本人は気付いていなかった。
たどり着いた王都の門で見張りをしていた兵士は、ジーンの知り合いだった。
「ジーン、ずいぶん長く王都を空けたな」
「ああ、ちょっと国境まで行ってきた」
気安く声をかけて来たところを見ると、そこそこ上手く交流できている相手のようだ。
兵士は隣に座るパレットにも視線を向けてくる。
「へえ、お嬢さんと一緒にか。
お帰り、遠かっただろう」
兵士がこちらに声をかけると思っていなかったので、パレットは驚く。
「……どうも」
上手く応対できないパレットを、愛想のない女と思われたのだろうか。
兵士はそれ以上なにも話しかけることなく、パレットたちに通行許可を出した。
「ジーン、今度旅の話を聞かせろよ!」
「ああ、訓練所でな」
ジーンがひらりと手を振りながら、荷馬車は王都へ入った。
――お帰り、か。
パレットは家出して王都に来るまで、誰かに帰りを出迎えられたことなど、一度もない。
それが王都に来てジーンの屋敷で暮らすようになってから、屋敷に戻るたびに「お帰り」と声をかけられる。
パレットにはいつも、それがこそばゆく感じていた。
パレットがそうして自分の思考に浸っていると。
「なあ、パレット」
ジーンが声をかけてきた。
パレットがそちらを向くと、ジーンはフロストの手綱を持って、正面を向いたまま話し出した。
「あんたはあの時言ったな、帰る場所があるのは幸せだと」
ソルディアの街で、反乱集団の若者たちに言った言葉を、ジーンは覚えていたようだ。
「……そうね」
帰るべき家、それは十年前にパレットが失ったものだ。
パレットのそれまでの楽しいふわふわとした気持ちが、とたんに沈んでいく。
それを見て取ったのか、ジーンがパレットの髪をぐしゃぐしゃにかき回す。
「なにをするんですか!」
ムッとして睨みつけるパレットに、ジーンは微笑んだ。
「その帰る場所は、今のあんたにもちゃんとあるさ」
「え?」
ジーンの言葉に、パレットは戸惑う。
フロストの引く荷馬車が、貴族区の道をゆっくり進んでいく。
そしてその先に、すっかり見慣れた屋敷が見えた。
屋敷の門の前に、複数の人影がある。
「ジーンにぃ、パレットさん、ミィちゃん、おかえりー!!」
屋敷の前で、アニタが叫びながら大きく手を振った。
屋敷の者が全員で出迎えてくれている。
偶然遊びに来ていたのか、貴族の子供たちの姿もある。
「あの屋敷は、あんたの家になれているか?」
そう言ったジーンは、優しい眼差しをしていた。
「私の……」
パレットは言葉を詰まらせる。
ここに戻って来たと、ホッとしている自分がいる。
パレットが十年さすらった間、一度も抱かなかった感情だ。
そう、自分にもちゃんとあったのだ。
――私の家、私の帰るべき場所。
「……もったいないわ」
目に涙を滲ませるパレットに、ミィが甘えるようにすり寄る。
ジーンがパレットの肩を軽く叩いた。
「おう、今帰った! ほら、パレットも」
「……みんな、ただいま!」
***
王都に戻った次の日。
ジーンはアレイヤードへの報告のために王城へ向かった。
長く王城に顔を出さなかったジーンのことを、騎士のほとんどは辞めさせられたと思っていたようだ。
久しぶりに見るジーンの姿に、あからさまにしかめっ面をされた。
彼らの悪態はいつものことなので、ジーンは気にせずにアレイヤードの執務室へと向かった。
「ジーン・トラストです」
ジーンが名乗ると、すぐに入室の合図が来る。
ジーンを待っていたのか、室内にはアレイヤード一人しかいない。
「まずは、無事の帰還を喜ばしく思う。
よく戻った」
「ありがとうございます、ただいま戻りました」
帰還の挨拶が済むと、ジーンは早速旅の間の報告書をアレイヤードの執務机の上に置いた。
「旅の報告書です。
私としては、十分な結果を出したと思っています」
「ソルディング領からも、事件のあらましの報告は来ている。
時間がかかるかと思っていたが、予想外にあっさりとかたがついたな」
アレイヤードはジーンの話に耳を傾けながら、報告書を手に取って読んでいく。
「現場で怪しい男を一人逃しました。
私の不手際です」
ジーンが己の失敗を口にすると、アレイヤードはひらりと片手を振った。
「私がお前に与えた任務は、パレット・ドーヴァンスの監視だ。
今回お前は己の仕事をやりきった。
後の話は、我々が考えるべきことだ」
どうやら咎めたてたりはしないらしい。
ジーンはそのことにホッとすると共に、肝心のことを聞こうと、ぐっと拳を握りしめた。
「私の調査は、パレット・ドーヴァンスの嫌疑を晴らすに足りますか?」
ジーンの言葉に、アレイヤードが報告書から顔を上げた。
パレットの嫌疑を晴らすためだと言われ、ジーンは今回様々なことを試した。
旅の間の行動観察はもちろん、旅に出る前に屋敷の自分の部屋に仕事の書類を放置したりと、地味な工作をしていたのだ。
だがパレットは、ジーンの部屋を家探ししようとはしなかった。
これは家人にも確認している。
「もうこれ以上、身内を疑うような真似をしたくありません」
ジーンの真剣な眼差しを、アレイヤードは正面から受け止める。
「パレット・ドーヴァンスは、お前にとって身内か?」
この質問に、ジーンは目を細めた。
「庶民にとって、同じ屋根の下で暮らし、同じ食卓を囲む者は家族同然です。
貴族の方には、理解し難いことかもしれません」
パレットが家族の一員であれば、屋敷の主であるジーンは、その家族を守らなければならない。
その覚悟を、ジーンは視線に込める。
二人でしばし無言で見合っていると、ふっとアレイヤードが目元を緩めた。
「……そうか、お前には酷なことを強いた。
だがこれで、必ずパレット・ドーヴァンスの嫌疑を晴らすと約束しよう」
「そう願います」
「お前には一週間の休みをやる。
まずは旅の疲れをとることだ」
ジーンは一礼して退室した。
「若造が、女を守る男の顔をした」
アレイヤードの呟きは、既に部屋を出たジーンには届かなかった。
0
あなたにおすすめの小説
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さくら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
氷の公爵は、捨てられた私を離さない
空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。
すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。
彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。
アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。
「君の力が、私には必要だ」
冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。
彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。
レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。
一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。
「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。
これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる