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1巻
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プロローグ
雨降る街、古都『金沢』。
情緒あふれるその地にはひとつ、ひめやかに囁かれる噂がある。
なんでも雨の日にだけ茶屋街に現れる、不思議な茶房があるとか。
そこで雨宿りをして、美味しいお茶と甘いお菓子で一息つけば、必ず『会いたい人』に会えるという。
案内をしてくれるのは二羽のツバメ。迎えるのは可愛らしい双子の店員と白髪の美丈夫。
もしあなたにも心から『会いたい人』がいるなら、傘をさしてその茶房を探してみて。
きっと彼等が会わせてくれる。
――雨が降ったら、いらっしゃい。
*
薄暗い山の中。
ひっくひっくとしゃくり上げて、十もいかぬ歳の幼い少年は、冷たい地面の上で体を丸めていた。
「痛いよ、寒いよ……」
着ている黄色いカッパは泥だらけ。
柔らかな頬や腕には擦り傷が走り、右の足首は捻ったのか赤く腫れている。
ぎゅっと、少年はズボンのポケットから出したお守り袋を握り締めた。大好きな祖母が作ってくれた大切なものだ。
そもそもこんな状況になってしまったのは、その祖母の言いつけを少年が破ったことが原因だった。
『こら、ハル。こんな酷い大雨の日にどこ行くんけ? 今日は山になんて行ったらあかんよ。転んで怪我でもしたら大変や。雨が止むまで家で大人しくしとりまっし』
出掛けようとする少年を、祖母は地元の方言交じりの話し方でそう窘めた。一度は少年も素直に「うん」と頷いたのだが……結局こっそりと家を出てきて、この有様である。
土砂降りの雨のせいで地面がぬかるんでいたため、山道を踏み外して転がり落ちたのだ。
「ごめんなさい、おばあちゃん……」
普段の大人しい少年ならこんな無茶はしない。
だけど彼はどうしても、危険があろうとこの山に来たかったのだ。
……『あの子』が今日こそ、待っている気がして。
「冷たい……」
鬱蒼とした木々の狭間から、無数の雨粒が落ちてくる。叩きつけるような雨は止む気配はなく、容赦なく体温を奪っていくが、少年はもう一歩も動けそうになかった。
瞼が重くて視界が霞む。
意識もだんだんとおぼろげになっていく。
自分はこのまま死んでしまうのだろうか?
もはや頬を伝うものが涙なのか雨なのかもわからないまま、か細い声で「誰か助けて」と祈ったときだ。
ふわり――と、ぬくもりが頭に触れた。
「え……?」
長い指先がゆっくりと、慈しむように少年の髪を梳く。両親や祖母に撫でられているときと同じような、ただただ安心感を与える手つきだ。
「もう大丈夫。私が助けてあげるからね」
そう囁く声はどこまでも優しい。
痛みもしばし忘れて、ゆるゆると少年の体から力が抜けた。
「あなたは……だあれ……?」
「ひみつ。いいからお眠り」
「あ……」
相手の正体を確かめたくとも、急激な眠気と心地よさに襲われて、顔を上げることすらできない。
ポンポンと頭を撫でられ、少年は諦めて微睡みに身を委ねる。
もう不安なことなどなにもない気がした。
意識を完全に失う前、少年が最後に見たものは、吸い込まれそうな青い空だった。
一章 雨降る街の不思議な茶房
しとしとと天から落ちる雫が、窓ガラスに無秩序な線を描いている。
空は灰色の曇天。季節は四月の中頃で、ここ連日の雨により、満開だった桜はすっかり散ってしまった。
だが雨のひとつで一喜一憂してはいられない。ただでさえここ石川県金沢市は、年間の降水日数が日本一となることが多い雨の地域なのだ。
教室の窓際の席で、陽元晴哉は頬杖をつきながら、無感動な瞳でガラスの向こうの雨模様を見つめていた。そんな彼の耳に、クラスメイトの女子たちのお喋りが飛び込んでくる。
「あーあ、これは雨、まったく止む気配ないなあ。放課後に彼氏とデートの予定だったのに」
「天気予報チェックしなよ。一日中傘マーク。残念でした!」
「抜け駆けで彼氏なんて作った、文字通り天罰ですー」
きゃははっとはしゃぐ声は、少々ボリュームが大きい。
休み時間でそこら中が騒々しいので、そこまで悪目立ちしているわけではないが、女子たち三人が固まる席は晴哉の席のすぐ隣だ。嫌でも内容が聞き取れる。
また別の場所では男子たちの馬鹿笑いが響いて、晴哉は長めの前髪を揺らして「はあ」とこっそり溜息をついた。
この地元の公立高校に入学して一週間とちょっと。
晴哉は見事に教室内で孤立していた。
しかしそれは悲しいかな、進学前から想定済みの事態でもあった。
というのも晴哉は、仕事の関係で離れて暮らす父親譲りの鋭い目つきと、顔立ちはそこそこ整っているのに生まれつき乏しい表情のせいで、どうにもこうにも近寄りがたいオーラが出ているようなのだ。
オマケに人付き合いが苦手で口下手のため、『一匹狼の不良』なんてとんでもない勘違いまでされている。内心は狼どころか小心者な小犬なのに、だ。
だから当然、昔から友達などろくにできた試しがない。
唯一そう呼べるのは、小学生のとき、いささか変わった交流をしていた『あの子』だけだ。
離れ離れになって久しいが、あの子は元気にしているだろうか。
「あ! ねえ、雨といえばさ――『あまやどり茶房』って知ってる?」
過去に逃避しかけていた晴哉の思考を、女子の高い声が引き戻す。
「あまやどり茶房?」
「なにそれ?」
問われた残りの女子ふたりは知らなかったようで、それぞれそのおかしな店名に首を傾げている。
晴哉も初耳だ。
「なんでも『ひがし茶屋街』の外れにね、雨の日にだけ行ける変わった茶房があるらしいんだよ。そこで一服していくと、どんな相手だろうと『会いたい人』に会わせてくれるんだって」
「んん? つまりどういうこと?」
「雨天時だけ営業して、晴れの日は休業日ってこと?」
「いや、そういうんじゃなくて。雨の日にだけお店が現れて、晴れの日はどれだけ探しても見つからないのよ」
そこで晴哉は、これは都市伝説とかオカルト系の話かと悟った。そういう類いの話はあまり得意ではない。
晴哉はテレビの似非っぽいホラー番組などでも、普通にビビるタイプである。表情に一切出ないので平気そうに思われてしまうが。
「ただ、雨の日だからって、誰にでも見つけられるわけじゃないらしいよ。店は選ばれた者にしか姿を見せないの」
ますます非現実的な茶房の存在に晴哉が眉を寄せていると、「はいはい! 俺、その茶房のこと知ってるぜ!」と、急に第三者が割って入った。
先ほどまで馬鹿笑いしていた男子勢のひとり、山口昭己だ。
クラスのムードメーカーで、人懐っこい笑顔と八重歯が愛嬌にあふれている。晴哉からすれば、女子の会話になんの気負いもなく入っていけるそのコミュ力が羨ましい。
「俺の中学のダチがさ、雨の日にひがし茶屋街をうろついていたら、その茶房にたまたまたどり着いたらしくて。そこでタダでめちゃくちゃ美味しい和菓子食って、美味しいお茶を飲んできたって! しかも『会いたい人に会える』ってのはマジな話で、別れて連絡の取れなかった元カノに会わせてもらったらしいぜー」
山口の追加情報に、女子たちは「えー! うそ!」「マジで会わせてもらえるの?」「私も行きたい!」とさらなる盛り上がりを見せている。
山口自身は嘘のつけない性格なので、友人からその話を聞いたというのは事実なのだろう。その友人が本当のことを言っているかどうかは、定かではないけれども。
「芸能人とかにも会えるのかなあ。会って一緒にお茶したーい」
「選ばれた人にしか店が現れてくれないなら、あんたみたいなお気楽な動機じゃムリじゃん?」
「なによー! それならあんたは誰に会いたいわけ?」
「俺は女優のユキリンがいいなあ」
そこから彼等は、自分なら誰に会わせて欲しいかについて各々発表し始めた。それを右から左に聞き流しながら、人知れず晴哉は呟く。
「会いたい人に会える、『あまやどり茶房』か……」
別にクラスで聞いた噂を信じたわけではない。
わけではないが……なぜか無性に気になってしまい、晴哉は現在、普段の彼からすれば珍しく衝動的に、例の茶房を求めて茶屋街を訪れていた。
「けっこう人いるな……」
こんな雨の平日でも、金沢の人気観光地である『ひがし茶屋街』は人が多い。
昔の面影を残す街並みは、趣ある茶屋建築と紅い出格子で彩られている。居並ぶ店は行列を成しているところもあり、お洒落な和スイーツが食べられる甘味処に、食事処やお土産処と種類も豊富だ。
周囲には華やかな着物を纏った女性も散見される。雨だと情緒ある和傘も目について、どこを切り取っても絵になった。
そんな中、晴哉は学校帰りにそのまま来たため、格好はブレザーの制服姿。情緒など欠片もないビニール傘をさしており、なんだか自分ひとりだけが浮いている気がして落ち着かなかった。
「さ、さっさと探そう」
独り言を言って石畳を歩く。
その茶房の場所については、茶屋街の外れにあるというふわっとした情報のみ。晴哉はとりあえず、茶屋街周辺を根気よく回り、念のため人で賑わう中心部も一軒一軒の店を細かく見ていった。
しかしながら、お目当ての『あまやどり茶房』とやらはいっこうに見つからない。
もちろんどの案内にも店名は載っていないし、ネットを検索しても出てきたのは、面白がって記事にしただけの信憑性に欠けるものばかり。どれも到底当てにはならなかった。
適当な店で店員に尋ねてみるという方法もあったが……それは晴哉にはいささかハードルが高いため、すぐさま却下に。
万策尽きた。
「……帰るか」
すべて徒労に終わったのは悔しいが、断念する他ない。
スマホで時間を確認すれば、三十分以上は探し歩いていたみたいだ。
せめてお茶でもしていこうかとも考えたが、店にひとりで入る勇気すらなく、晴哉はバス停を目指して浅野川大橋の方に向かう。
この『ひがし茶屋街』のすぐ傍を流れる浅野川は、別名『女川』とも言われ、架かる橋はアーチ型で古きよきロマンを感じさせる。対になる『男川』こと犀川と合わせて、金沢の人々に親しまれてきた景観のひとつだ。
「バス、時間が合うのあったか……ん?」
気もそぞろに歩いていたら、ふと違和感に気付く。
「――ここ、どこだ?」
茶屋街を出て、来た道を戻っていたはずなのに。
立ち止まって辺りを確認すれば、こんな景色、晴哉には覚えがなかった。
石畳がまっすぐにどこまでも続いていて、道の左右には古めかしい店が同じくどこまでも連なっている。一見すればまた茶屋街の中にいるようだが、店は軒並み閉まっていておそろしいほど静かだ。
ポツポツと立つレトロな街灯は、まだ夜には早い時間帯のはずなのに、ほのかな赤い光を灯している。糸のような雨は変わらず降り続け、耳につくのはそのか細い音だけ。
様子がおかしいことは明らかだった。
ここは見知らぬ異次元で、己は間違って紛れ込んだのではないかという、ゾッとする想像が晴哉の背を這う。
肩に掛けたスクールバッグの紐をきつく握った。
耐え切れず、晴哉は声を張り上げる。
「あの、どなたかいませんか⁉」
「チュイッ!」
「えっ……」
そのさえずりが聞こえたのは頭上からだ。
傘をずらして天を仰げば、二羽のツバメが晴哉を見下ろすように旋回していた。
黒に近い藍色の羽は光沢があり、くちばしは鋭く、顎にあたる部分は赤い。切れ込みのある尾が空を切って、スイッと飛ぶ姿はどちらも優雅である。
シーズンはもう少し先のはずだが、『ひがし茶屋街』でツバメを目撃すること自体は決して珍しいことではない。小学生が授業の一環でツバメ見学に来ることもあるし、ツバメが飛び交う茶屋街の様子も乙なものだ。
だけどここはきっともう、晴哉の知っている茶屋街ではないだろう。おまけにツバメたちは二羽とも妙に賢そうで、ただの鳥ではない気がする。
「チュイッ!」
「チュイ、チュイッ!」
ついて来い、と言っている?
ツバメたちはどうやら、晴哉をどこかへ案内したいようだ。
普段なら有り得ない発想でも、いまの晴哉には彼等について行くしか選択肢はなかった。
「ま、待ってくれ!」
見失わないように、晴哉は二羽の尾を追いかけた。
「ここって……」
そしてたどり着いたのは、一軒の店。
ここだけは営業しているようで、引き戸は客を待つようにわずかに開いていた。中からはどこか懐かしいような、いい香りがほんのりと漂ってくる。
いつのまにかツバメたちはいなくなっていたが、屋根の下にはこんもり盛ったツバメの巣があった。
足元には、紺地に梅の花をあしらった細長い陶器の壺。『梅』は金沢のシンボル的な花木で、加賀藩前田家の家紋だ。一本だけ番傘が入れられているところから、どうやらこの壺は傘立てらしい。
そしてその壺に隠れるように佇む、ボロボロの木製の立て看板には、達筆な字でこう書かれていた。
『あまやどり茶房、雨天のため営業中。
美味しいお菓子とお茶セットあります。あなたの会いたい人とご一緒にどうぞ』
「マジであったんだ……」
晴哉の第一声はそんな素直な想いだった。
というか『雨天のため営業中』って。そんな言い回し聞いたこともない。
ひとまず傘を畳んでみたはいいものの、いざ店を前にするとどうすべきか晴哉は戸惑う。
戸の前で突っ立っていたら、急に後ろから「入らないんですか?」と鈴を転がすような声で話しかけられた。
「いまお客さんは誰もいませんよ。どうぞ中へお入りください。歓迎します」
「そうそう! せっかく来たんだからお茶していきなって」
「い、いや、君たちは……?」
振り返ると、そこにいたのは小さな双子の女の子と男の子だった。
齢は小学校三、四年生くらいか。
双子だと判断したのは、ふたりの顔が瓜ふたつだからだ。そっくりな男女の双子はレアだと晴哉も知っているが、そうとしか思えないくらい似ている。どちらもくりくりとした大きな黒目に、ぷっくり膨らむ丸い頬。思わず目を惹く、整った愛らしい顔立ちをしている。
男の子の方は少し生意気そうで、黒髪の短髪に藍色の甚平姿。
女の子の方はおっとりした印象で、黒髪のおかっぱ頭に藍色の着物姿。
並んでちょこんと立つ様は一対のお人形さんみたいだ。
それにしても、気配なんてまるでなかったのに、この子たちはいったいどこから現れたのだろう?
「驚かせてごめんなさい。私たちはこの茶房でお手伝いをしている者です。これから私たちが、このお店についてのご説明を……」
「ウイ! 面倒だから入ってもらえばわかるって!」
「エン、ダメだよ。お客様をちゃんとご案内するのが、私たちのお仕事なんだから」
女の子はウイ、男の子はエンというらしい。
エンは「いいから、いいから」と、窘めるウイを適当にはぐらかして、晴哉の手からビニール傘を奪うと傘立てに放り込んだ。
それから焦る晴哉の背……身長差的に腰の辺りを、ぐいぐいと押してくる。
「えっ、ちょ、ちょっと!」
「一名様ごあんなーい!」
下手に抵抗することもできず、晴哉は押されるがままだ。子供からは見た目で怖がられて避けられる人生を送ってきたため、どう対応すればいいかもわからない。
ウイも諦めたのか、困った顔をしながらも戸を両手で開けてくれる。
「お、お邪魔します……」
おそるおそる足を踏み入れると、中は存外普通の店だった。
こぢんまりとした空間に、ふたりがけのテーブル席が三つ。
出入口のすぐ傍にレジ台があるが、レジ自体は旧式で、実用品というよりは展示品だろうか。レジ横には生花が飾られており、傘立てにも描かれていた梅の花が、花瓶に活けられて上品に咲き誇っている。
また天井からは和紙製のランプシェードがぶら下がっていて、球体状のそれには二羽のツバメのシルエットがデザインされていた。そこから放たれる柔らかな光が、店内をオレンジ色に染めている。
「あるじ様、あるじ様。お客様です」
ウイが控え目に呼びかけると、奥の市松模様の暖簾が持ち上がる。
雨降る街、古都『金沢』。
情緒あふれるその地にはひとつ、ひめやかに囁かれる噂がある。
なんでも雨の日にだけ茶屋街に現れる、不思議な茶房があるとか。
そこで雨宿りをして、美味しいお茶と甘いお菓子で一息つけば、必ず『会いたい人』に会えるという。
案内をしてくれるのは二羽のツバメ。迎えるのは可愛らしい双子の店員と白髪の美丈夫。
もしあなたにも心から『会いたい人』がいるなら、傘をさしてその茶房を探してみて。
きっと彼等が会わせてくれる。
――雨が降ったら、いらっしゃい。
*
薄暗い山の中。
ひっくひっくとしゃくり上げて、十もいかぬ歳の幼い少年は、冷たい地面の上で体を丸めていた。
「痛いよ、寒いよ……」
着ている黄色いカッパは泥だらけ。
柔らかな頬や腕には擦り傷が走り、右の足首は捻ったのか赤く腫れている。
ぎゅっと、少年はズボンのポケットから出したお守り袋を握り締めた。大好きな祖母が作ってくれた大切なものだ。
そもそもこんな状況になってしまったのは、その祖母の言いつけを少年が破ったことが原因だった。
『こら、ハル。こんな酷い大雨の日にどこ行くんけ? 今日は山になんて行ったらあかんよ。転んで怪我でもしたら大変や。雨が止むまで家で大人しくしとりまっし』
出掛けようとする少年を、祖母は地元の方言交じりの話し方でそう窘めた。一度は少年も素直に「うん」と頷いたのだが……結局こっそりと家を出てきて、この有様である。
土砂降りの雨のせいで地面がぬかるんでいたため、山道を踏み外して転がり落ちたのだ。
「ごめんなさい、おばあちゃん……」
普段の大人しい少年ならこんな無茶はしない。
だけど彼はどうしても、危険があろうとこの山に来たかったのだ。
……『あの子』が今日こそ、待っている気がして。
「冷たい……」
鬱蒼とした木々の狭間から、無数の雨粒が落ちてくる。叩きつけるような雨は止む気配はなく、容赦なく体温を奪っていくが、少年はもう一歩も動けそうになかった。
瞼が重くて視界が霞む。
意識もだんだんとおぼろげになっていく。
自分はこのまま死んでしまうのだろうか?
もはや頬を伝うものが涙なのか雨なのかもわからないまま、か細い声で「誰か助けて」と祈ったときだ。
ふわり――と、ぬくもりが頭に触れた。
「え……?」
長い指先がゆっくりと、慈しむように少年の髪を梳く。両親や祖母に撫でられているときと同じような、ただただ安心感を与える手つきだ。
「もう大丈夫。私が助けてあげるからね」
そう囁く声はどこまでも優しい。
痛みもしばし忘れて、ゆるゆると少年の体から力が抜けた。
「あなたは……だあれ……?」
「ひみつ。いいからお眠り」
「あ……」
相手の正体を確かめたくとも、急激な眠気と心地よさに襲われて、顔を上げることすらできない。
ポンポンと頭を撫でられ、少年は諦めて微睡みに身を委ねる。
もう不安なことなどなにもない気がした。
意識を完全に失う前、少年が最後に見たものは、吸い込まれそうな青い空だった。
一章 雨降る街の不思議な茶房
しとしとと天から落ちる雫が、窓ガラスに無秩序な線を描いている。
空は灰色の曇天。季節は四月の中頃で、ここ連日の雨により、満開だった桜はすっかり散ってしまった。
だが雨のひとつで一喜一憂してはいられない。ただでさえここ石川県金沢市は、年間の降水日数が日本一となることが多い雨の地域なのだ。
教室の窓際の席で、陽元晴哉は頬杖をつきながら、無感動な瞳でガラスの向こうの雨模様を見つめていた。そんな彼の耳に、クラスメイトの女子たちのお喋りが飛び込んでくる。
「あーあ、これは雨、まったく止む気配ないなあ。放課後に彼氏とデートの予定だったのに」
「天気予報チェックしなよ。一日中傘マーク。残念でした!」
「抜け駆けで彼氏なんて作った、文字通り天罰ですー」
きゃははっとはしゃぐ声は、少々ボリュームが大きい。
休み時間でそこら中が騒々しいので、そこまで悪目立ちしているわけではないが、女子たち三人が固まる席は晴哉の席のすぐ隣だ。嫌でも内容が聞き取れる。
また別の場所では男子たちの馬鹿笑いが響いて、晴哉は長めの前髪を揺らして「はあ」とこっそり溜息をついた。
この地元の公立高校に入学して一週間とちょっと。
晴哉は見事に教室内で孤立していた。
しかしそれは悲しいかな、進学前から想定済みの事態でもあった。
というのも晴哉は、仕事の関係で離れて暮らす父親譲りの鋭い目つきと、顔立ちはそこそこ整っているのに生まれつき乏しい表情のせいで、どうにもこうにも近寄りがたいオーラが出ているようなのだ。
オマケに人付き合いが苦手で口下手のため、『一匹狼の不良』なんてとんでもない勘違いまでされている。内心は狼どころか小心者な小犬なのに、だ。
だから当然、昔から友達などろくにできた試しがない。
唯一そう呼べるのは、小学生のとき、いささか変わった交流をしていた『あの子』だけだ。
離れ離れになって久しいが、あの子は元気にしているだろうか。
「あ! ねえ、雨といえばさ――『あまやどり茶房』って知ってる?」
過去に逃避しかけていた晴哉の思考を、女子の高い声が引き戻す。
「あまやどり茶房?」
「なにそれ?」
問われた残りの女子ふたりは知らなかったようで、それぞれそのおかしな店名に首を傾げている。
晴哉も初耳だ。
「なんでも『ひがし茶屋街』の外れにね、雨の日にだけ行ける変わった茶房があるらしいんだよ。そこで一服していくと、どんな相手だろうと『会いたい人』に会わせてくれるんだって」
「んん? つまりどういうこと?」
「雨天時だけ営業して、晴れの日は休業日ってこと?」
「いや、そういうんじゃなくて。雨の日にだけお店が現れて、晴れの日はどれだけ探しても見つからないのよ」
そこで晴哉は、これは都市伝説とかオカルト系の話かと悟った。そういう類いの話はあまり得意ではない。
晴哉はテレビの似非っぽいホラー番組などでも、普通にビビるタイプである。表情に一切出ないので平気そうに思われてしまうが。
「ただ、雨の日だからって、誰にでも見つけられるわけじゃないらしいよ。店は選ばれた者にしか姿を見せないの」
ますます非現実的な茶房の存在に晴哉が眉を寄せていると、「はいはい! 俺、その茶房のこと知ってるぜ!」と、急に第三者が割って入った。
先ほどまで馬鹿笑いしていた男子勢のひとり、山口昭己だ。
クラスのムードメーカーで、人懐っこい笑顔と八重歯が愛嬌にあふれている。晴哉からすれば、女子の会話になんの気負いもなく入っていけるそのコミュ力が羨ましい。
「俺の中学のダチがさ、雨の日にひがし茶屋街をうろついていたら、その茶房にたまたまたどり着いたらしくて。そこでタダでめちゃくちゃ美味しい和菓子食って、美味しいお茶を飲んできたって! しかも『会いたい人に会える』ってのはマジな話で、別れて連絡の取れなかった元カノに会わせてもらったらしいぜー」
山口の追加情報に、女子たちは「えー! うそ!」「マジで会わせてもらえるの?」「私も行きたい!」とさらなる盛り上がりを見せている。
山口自身は嘘のつけない性格なので、友人からその話を聞いたというのは事実なのだろう。その友人が本当のことを言っているかどうかは、定かではないけれども。
「芸能人とかにも会えるのかなあ。会って一緒にお茶したーい」
「選ばれた人にしか店が現れてくれないなら、あんたみたいなお気楽な動機じゃムリじゃん?」
「なによー! それならあんたは誰に会いたいわけ?」
「俺は女優のユキリンがいいなあ」
そこから彼等は、自分なら誰に会わせて欲しいかについて各々発表し始めた。それを右から左に聞き流しながら、人知れず晴哉は呟く。
「会いたい人に会える、『あまやどり茶房』か……」
別にクラスで聞いた噂を信じたわけではない。
わけではないが……なぜか無性に気になってしまい、晴哉は現在、普段の彼からすれば珍しく衝動的に、例の茶房を求めて茶屋街を訪れていた。
「けっこう人いるな……」
こんな雨の平日でも、金沢の人気観光地である『ひがし茶屋街』は人が多い。
昔の面影を残す街並みは、趣ある茶屋建築と紅い出格子で彩られている。居並ぶ店は行列を成しているところもあり、お洒落な和スイーツが食べられる甘味処に、食事処やお土産処と種類も豊富だ。
周囲には華やかな着物を纏った女性も散見される。雨だと情緒ある和傘も目について、どこを切り取っても絵になった。
そんな中、晴哉は学校帰りにそのまま来たため、格好はブレザーの制服姿。情緒など欠片もないビニール傘をさしており、なんだか自分ひとりだけが浮いている気がして落ち着かなかった。
「さ、さっさと探そう」
独り言を言って石畳を歩く。
その茶房の場所については、茶屋街の外れにあるというふわっとした情報のみ。晴哉はとりあえず、茶屋街周辺を根気よく回り、念のため人で賑わう中心部も一軒一軒の店を細かく見ていった。
しかしながら、お目当ての『あまやどり茶房』とやらはいっこうに見つからない。
もちろんどの案内にも店名は載っていないし、ネットを検索しても出てきたのは、面白がって記事にしただけの信憑性に欠けるものばかり。どれも到底当てにはならなかった。
適当な店で店員に尋ねてみるという方法もあったが……それは晴哉にはいささかハードルが高いため、すぐさま却下に。
万策尽きた。
「……帰るか」
すべて徒労に終わったのは悔しいが、断念する他ない。
スマホで時間を確認すれば、三十分以上は探し歩いていたみたいだ。
せめてお茶でもしていこうかとも考えたが、店にひとりで入る勇気すらなく、晴哉はバス停を目指して浅野川大橋の方に向かう。
この『ひがし茶屋街』のすぐ傍を流れる浅野川は、別名『女川』とも言われ、架かる橋はアーチ型で古きよきロマンを感じさせる。対になる『男川』こと犀川と合わせて、金沢の人々に親しまれてきた景観のひとつだ。
「バス、時間が合うのあったか……ん?」
気もそぞろに歩いていたら、ふと違和感に気付く。
「――ここ、どこだ?」
茶屋街を出て、来た道を戻っていたはずなのに。
立ち止まって辺りを確認すれば、こんな景色、晴哉には覚えがなかった。
石畳がまっすぐにどこまでも続いていて、道の左右には古めかしい店が同じくどこまでも連なっている。一見すればまた茶屋街の中にいるようだが、店は軒並み閉まっていておそろしいほど静かだ。
ポツポツと立つレトロな街灯は、まだ夜には早い時間帯のはずなのに、ほのかな赤い光を灯している。糸のような雨は変わらず降り続け、耳につくのはそのか細い音だけ。
様子がおかしいことは明らかだった。
ここは見知らぬ異次元で、己は間違って紛れ込んだのではないかという、ゾッとする想像が晴哉の背を這う。
肩に掛けたスクールバッグの紐をきつく握った。
耐え切れず、晴哉は声を張り上げる。
「あの、どなたかいませんか⁉」
「チュイッ!」
「えっ……」
そのさえずりが聞こえたのは頭上からだ。
傘をずらして天を仰げば、二羽のツバメが晴哉を見下ろすように旋回していた。
黒に近い藍色の羽は光沢があり、くちばしは鋭く、顎にあたる部分は赤い。切れ込みのある尾が空を切って、スイッと飛ぶ姿はどちらも優雅である。
シーズンはもう少し先のはずだが、『ひがし茶屋街』でツバメを目撃すること自体は決して珍しいことではない。小学生が授業の一環でツバメ見学に来ることもあるし、ツバメが飛び交う茶屋街の様子も乙なものだ。
だけどここはきっともう、晴哉の知っている茶屋街ではないだろう。おまけにツバメたちは二羽とも妙に賢そうで、ただの鳥ではない気がする。
「チュイッ!」
「チュイ、チュイッ!」
ついて来い、と言っている?
ツバメたちはどうやら、晴哉をどこかへ案内したいようだ。
普段なら有り得ない発想でも、いまの晴哉には彼等について行くしか選択肢はなかった。
「ま、待ってくれ!」
見失わないように、晴哉は二羽の尾を追いかけた。
「ここって……」
そしてたどり着いたのは、一軒の店。
ここだけは営業しているようで、引き戸は客を待つようにわずかに開いていた。中からはどこか懐かしいような、いい香りがほんのりと漂ってくる。
いつのまにかツバメたちはいなくなっていたが、屋根の下にはこんもり盛ったツバメの巣があった。
足元には、紺地に梅の花をあしらった細長い陶器の壺。『梅』は金沢のシンボル的な花木で、加賀藩前田家の家紋だ。一本だけ番傘が入れられているところから、どうやらこの壺は傘立てらしい。
そしてその壺に隠れるように佇む、ボロボロの木製の立て看板には、達筆な字でこう書かれていた。
『あまやどり茶房、雨天のため営業中。
美味しいお菓子とお茶セットあります。あなたの会いたい人とご一緒にどうぞ』
「マジであったんだ……」
晴哉の第一声はそんな素直な想いだった。
というか『雨天のため営業中』って。そんな言い回し聞いたこともない。
ひとまず傘を畳んでみたはいいものの、いざ店を前にするとどうすべきか晴哉は戸惑う。
戸の前で突っ立っていたら、急に後ろから「入らないんですか?」と鈴を転がすような声で話しかけられた。
「いまお客さんは誰もいませんよ。どうぞ中へお入りください。歓迎します」
「そうそう! せっかく来たんだからお茶していきなって」
「い、いや、君たちは……?」
振り返ると、そこにいたのは小さな双子の女の子と男の子だった。
齢は小学校三、四年生くらいか。
双子だと判断したのは、ふたりの顔が瓜ふたつだからだ。そっくりな男女の双子はレアだと晴哉も知っているが、そうとしか思えないくらい似ている。どちらもくりくりとした大きな黒目に、ぷっくり膨らむ丸い頬。思わず目を惹く、整った愛らしい顔立ちをしている。
男の子の方は少し生意気そうで、黒髪の短髪に藍色の甚平姿。
女の子の方はおっとりした印象で、黒髪のおかっぱ頭に藍色の着物姿。
並んでちょこんと立つ様は一対のお人形さんみたいだ。
それにしても、気配なんてまるでなかったのに、この子たちはいったいどこから現れたのだろう?
「驚かせてごめんなさい。私たちはこの茶房でお手伝いをしている者です。これから私たちが、このお店についてのご説明を……」
「ウイ! 面倒だから入ってもらえばわかるって!」
「エン、ダメだよ。お客様をちゃんとご案内するのが、私たちのお仕事なんだから」
女の子はウイ、男の子はエンというらしい。
エンは「いいから、いいから」と、窘めるウイを適当にはぐらかして、晴哉の手からビニール傘を奪うと傘立てに放り込んだ。
それから焦る晴哉の背……身長差的に腰の辺りを、ぐいぐいと押してくる。
「えっ、ちょ、ちょっと!」
「一名様ごあんなーい!」
下手に抵抗することもできず、晴哉は押されるがままだ。子供からは見た目で怖がられて避けられる人生を送ってきたため、どう対応すればいいかもわからない。
ウイも諦めたのか、困った顔をしながらも戸を両手で開けてくれる。
「お、お邪魔します……」
おそるおそる足を踏み入れると、中は存外普通の店だった。
こぢんまりとした空間に、ふたりがけのテーブル席が三つ。
出入口のすぐ傍にレジ台があるが、レジ自体は旧式で、実用品というよりは展示品だろうか。レジ横には生花が飾られており、傘立てにも描かれていた梅の花が、花瓶に活けられて上品に咲き誇っている。
また天井からは和紙製のランプシェードがぶら下がっていて、球体状のそれには二羽のツバメのシルエットがデザインされていた。そこから放たれる柔らかな光が、店内をオレンジ色に染めている。
「あるじ様、あるじ様。お客様です」
ウイが控え目に呼びかけると、奥の市松模様の暖簾が持ち上がる。
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