オヤジが生まれ変わって?系救世主

無謀突撃娘

文字の大きさ
64 / 69

リーヴリル、西部に行く6

しおりを挟む
西部軍と共に戦い拠点の魔物を一掃することに成功したわたしは物資の補充を行った。とくにポーションなどはいくらあっても困らないと思い過剰すぎるほどに足してある。それが終わるとユラ王妃たちに追いつくために移動しなくてはいけないのだが、

「どこに行けばいいんだろうか?」

目的地を聞いていないので行き先が分からないのだ。先に聞いておくべきだったのだがうっかり忘れていたのだ。

「まいったなぁ」

このままではわたし抜きで交渉が終わってしまう。

「それなら私のお母様に会いに行きませんか?」

シャンクトゥラの提案。そういえばガリューク家は西部でも有数の貴族だと聞いていたね。多分交渉に参加してるだろうから場所を教えてもらえるだろう。

「わかった」

「それでは戦士長、後のことはお願いします」

「了解しました」

【空駆ける馬車】で目的地まで一気に行くことにした。魔物討伐に7日も時間を潰したため急がなくてはいけない。そうしてガリューク家が治める領地に付くと都市の雰囲気が明らかにおかしい。

「これは!」

目にした光景はほとんどの人がもがき苦しむ姿だった

「シャンクトゥラ!近づかないで!」

「でも、人々が苦しんでいるのに何もしないなんてできません!」

彼女の気持ちは理解できるがこの状況で迂闊な行動はさらに危険なのだ。

(これだけ大勢の人が苦しんでいるのは何かの毒か伝染病か?発生源を調べたいがまずは患者に適切な処置を施さなくてはいけない)

【ゴーレム召還】を使って呼び出す。彼女たちは生物ではないので病気感染の心配がない。彼女たちに万能薬を大量に持たせて治療に当たらせる間に町の中を調べる。発生源を突き止めなければすぐさま同じことになるからだ。

(どの世界でも同じ感染源だと思うけど)

大きく分けると空気感染と接触感染とある。とくに生活で使う水回りに注意を払う。井戸の水をくみ出してみるとこの原因が分かった。

(どうやら井戸の水が汚染されていたようだな。この世界では水などに毒や細菌などが混じった場合見つける技術がない・・・でも、これは)

病気の原因は突き止めたがあまりに不自然すぎる。あの拠点の井戸や近くの川は汚染されていなかった、なのにその近くにあるのになぜここだけが汚染されていたのか?他の井戸も汚染されていて考えられるのは誰かが故意に病気を蔓延させたのだろう。だけど、毒物は証拠が残るので処分が大変だが細菌ならばその問題を解決できる。この世界の常識ではまだ細菌に関係する技術や知識はないはずだが。

(とにかく問題を解決して犯人を見つけ出さないと)

井戸の水はすべて殺菌処理を行い犯人を見つけだすことにした。いるのかどうかは分からないが何かしらの確認する人を残しているはずだ。

すると、門から出て行こうとする数人を見つける。

「あなた達は何をしているの?」

「へ、へぇ。この町の状況を他の場所に伝えようとしているところですが」

一見するとただの旅人のようだがわたしが興味があるのは持っている荷物だ。

「急いで伝えないと町の人たちが死んでしまうよ」

離れていこうとするが時間がないので単刀直入に言う。

「確かに酷い状態だよね。体調を悪化させる悪性の菌を井戸の中に放り込んだのだから」

そのとたん表情を一変させて逃げ出そうとする全員を捕縛する。

「この人達は誰ですか?」

「あ、うん。この町の状況を作り出した犯人らしき人」

全員を縄で縛り持っていた荷物を確認すると思い描いていた道具を大切に入れてあった。

「この道具は一体なんですか?ガラス製で何に使うのか分かりませんが」

「それは後で説明する。すまないけど牢屋などを借りるね」

彼らを一纏めで放り込む。とりあえず明日になってから説明することにした。あの万能薬の効果なら1日もあれば大分回復する。その間に取り上げた道具でなぜこのようなことが起こったのかの証拠を作ることにした。材料なども彼らは持っていてこれならすぐにできる。

「町の危機を助けていただきありがとうございます。ルミティ・キャスベル=ガリュークといいます。聞けば娘の命を助けていただいた恩人だとか」

翌日ここの領主の妻でありシャンクトゥラの母親で領主代理をしている女性にあう。ほとんどの人は回復しているが後数日は薬を飲ませないと完治したとは言えない事を説明する。

「そうですか。では、いったいなぜこのようなことになったのでしょうか?西部では毒物の製作や販売は禁止されていてどこでも厳重な検査が行われていますが今回はその毒物が見つかりませんでした。あなたには何か心当たりがあるのでしょう」

周りの人たちもどうしてこうなったのか理解できないらしい。

「今回の事件は毒ではなく細菌で問題が起こったからです」

「細菌?」

一つ一つそれを説明する。

「細菌とは目に見えない生物で特殊な道具がなければ発見することは不可能です。と、いっても百聞は一見にしかずとも言います。まずはこれを見てください」

ガラス製の特殊な皿を出しそれを道具を使って見てもらうことにした。

「なんですかこれは!?」

そこには元気な何かがウヨウヨと動いている物だった。

「驚くのも当然でしょう。まだこれはこの世界の常識では考えられませんがこのような物がそこらじゅうにウヨウヨいます。大地にも水にも人のそばにも」

汚い物を見たような表情の全員。

「これとどういう関係があるのでしょうか」

「汚い例えになりますが動物の糞尿などを纏めて置いてしばらく放置すると匂いが薄まるでしょう。あれは細菌が働いて糞尿を分解しているからです。細菌には善性と悪性があり前者は自然や生物に良い影響を与え後者は逆にあります。牢屋に捕らえているヤツラが悪性の細菌を持ち込んで特殊な道具などで培養して井戸などに放り込んでさらに増殖させてしまったのです。そうして今回の事件がおきました」

「そのような知識や技術は初めて聞きます。私達はそれなりに情報に精通していますがそんなものがあることなど知りません。あなたはどうしてそのことを知っているのですか?」

全員が聞きたいようだが時間がない。

「すみませんがわたしが全部説明しても良いのですが順序立てしないといけませんし他の場所でも同じことが起こる可能性があるので時間がありません。まずは捕らえた人達に話を聞きましょうか」

これの出所を知るためには彼らに聞いた方が早いのだから。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...