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コネを存分に使い潰すエリート様(偽)
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ボーン・ジェネラルの討伐完了を報告に向かう。
「えっ。もう倒してきたんですか。早いですねぇ。昨日の今日なのに」
受付嬢はあまりにも早い討伐時間に少し驚いた。普通に行けばそれ相応に時間がかかるし数を呼び出すボーン・ジェネラルなので時間もかかるはずだ。
だが僕らの仲間の半分以上は長距離高速移動可能な騎馬クラスだ。後ろに乗せてもらえば障害物がなければ迅速に行ける。
「こちらとしては大助かりですよ。脅威の排除は迅速にやりませんと厄介ですから」
報酬を受け取り仲間と共にコテージに戻ろうとして。
「君達、ちょっと待ちたまえ」
なんだか身なりの良い(仲間から見れば)男が話しかけてきた。こちらをジロジロと確認するその男の視線がどうにも怪しい。
「パーティリーダーは誰だい」
僕が片手をあげるとその男はフンっと、鼻で笑う。
「はははっ。こんなお嬢ちゃんがパーティリーダーとは。いかにも道楽パーティであるな。お嬢ちゃん、君はどこかのお嬢様のようだが使いこなせない実力者を酷使するのはやめたまえ。将来有望な冒険者はしかるべきリーダーが率いるものだよ」
この男は僕を女の子と盛大に勘違いし仲間のことを不必要に酷使していると言い放つ。そもそもあんただれだ?何様だ?この偉そうな物言いは特権階級で育った連中であることを物語っていた。
「用件は何ですか」
「単刀直入に言おう。パーティを解散したまえ。仲間は全員こちらで引き取る」
「僕はその後どうなりますか」
「安心したまえ。キッチリ人材補充をしてやるから」
男が手を上げると各テーブルか数名立ち上がって男の傍に立つ。
「どうかね。君にはこれぐらいで十分だろう。さ、返答したまえ」
男が呼んだ男女数人はどうもならず者か家臣の子供らなのだろう。金か権力に釣られて仕方なく命令を受けているようだ。自分が何もせずとも手柄を献上してくれるパーティと媚びへつらうしかない自分の部下を取り換えろとか馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
そいつの冒険者プレートを確認すると青彩石色だった。こいつもやはりコネを使ったんだと理解した。色彩石ぐらいならばコネを使えばどうとでもなるのだろう。でも、鉄色級に上がるためのハードルは結構高く容易には越えられない。
灰色から地道に実績を積み上げて入ればプレートの中身を見ればすぐにわかり依頼を受けるのはさして問題ではない、だがコネを使いいきなり色彩石色からスタートでは経験が足りずゴブリンですら危険だ。下手に依頼を出すと死んでしまう、そうなればそいつの実家が騒ぎ立てる。つまり依頼なんて受けさせずに飼い殺しにするしかないわけだ。
でも、冒険者としては上を目指したい。危険な目にはあいたくないし酷い現実なんて見たくない。見たいのは武勲詩にあるような輝かしい実績だけ。それで思いついたのが『有名なパーティの引き抜き』なのだろう。ミーアやエメリアがやったこととほとんど変わりがない。牽引してもらうつもりのようだが中身が異なる。
『自分は気持ちよく仲間を指示するだけ』
そう、それ以外ありえない。
ミーアとエメリアは自分の手を血で汚し自分に罪があるなら償いをする決意を示し本物になろうと努力を欠かさない根性を見せてみせたがこいつにはそれが全くない。その違いと自分の手駒を僕に押し付けて2パーティ分の成果を取ろうとする強欲さも気に入らない。
『何を迷っているのかね。これは双方に利がある話なのだよ』
『(……この底なしのクズが!そんなに自分に都合の良いお話が書きたければ日記にでも書けばいいし吟遊詩人に金を払って好きなだけ歌わせろ。そう、こいつらだ。こんな連中がいるから)』
ミーアとエメリアもそれと似たことを信じていた。似てはいるがこっちのほうが遥かに悪い方向へ進んでいる。同族嫌悪という奴だろうな。二人は心を入れ替え真面目になったがこいつはいまだに愚かな夢に溺れている。
今現在もコネを使っている連中は数えきれないほど存在する。一部は危険性を認識しそれを放棄したが未だに生き残りがいることは確かだ。その中でもこいつはかなり悪い方だろう
「いえ、もう正式にパーティを組んでいるので」
「君は何を言っているのだね。君の仲間は『上』だ。上の私と組むのが当然だろう」
ま、君も外見だけは上だがね。吐き捨てるような言葉。こいつ、切るか?ここで受付嬢が割って入る。
「申し訳ありませんが建物の中でゴタゴタするのは控えてもらえますか」
「…ちっ、いくぞ」
さすがにギルドの職員を敵に回すと厄介なことになると判断し男は取り巻きと共に引き上げる。
「すみません。彼、頭の悪い連中でして」
僕は別室を使いたいという要望を出す。僕らのランクなら別室ぐらいいつでも使える。全員で奴らのことを職員に聞くことにした。
「彼らパーティを結成してまったく依頼をこなせてないんですよ。それも1年と半分以上も」
「1年半以上って、それじゃ当然降格処分じゃない」
「ええ、コネを使い赤彩石クラスから無理矢理始めました。ピュアブリングのパーティに入ったお仲間と同じです。彼女らは冒険者になってからの期間が短くて目溢ししてましたが彼の場合は期間があまりにも長すぎて」
だからランクを一つ下げた、にもかかわらずやることは変わってない。むしろ悪い方向に進んでいるそうだ。
「彼女達もコネを使いましたが幸運にもまだ様子見をする猶予がありました。ピュアブリングのパーティに入ってからというもの心を入れ替え地道な草の根活動を積み重ねてクラスチェンジも行い『これなら大丈夫』上の方から正式な昇級手続きが取れるようにと」
僕が命じた地道な貢献がここで効果を発揮したのだ。ミーアとエメリアはここでようやく冒険者ギルドからの信頼を得たことを喜んだ。自分達が行ってきたことが間違いではないと。僕の言うことを聞いたのは運命の分岐点だったことを。
自分の罪を自覚し逃げなかった決意の証明がここに叶った。その後にしかるべき実績を上げたのでコネだけで上に行っただけという悪い評判を実力で黙らせた。
先ほどの正式なパーティへの強引な引き抜きや強制的な押し付けは問題だとして冒険者プレートを緑彩石色まで落とすと職員から先に明言される。これでも改心しないなら黒曜石色まで落とすか冒険者プレートの永久剥奪だと。
冒険者は常にその言動を見られ人々は噂をまき散らす。それが誇張ではないこと。
「コネの全てが悪いわけではないですけど中身も分からない連中が幅を利かす状況については冒険者ギルドでも大問題でして」
もうすでに中央本部ではコネで冒険者ランクを無理に与える項目は削除されるそうだ。つまり、コネを使いたければ厳正な審査を通れ、そういうことになる。あとしかるべき推薦人から許可をもらわなければならなくなる。この2点を正式に追加するそうだ。
もうこれからはコネでそこそこのランクにいる相手は真面目に依頼をこなさないと降格待ったなしになるし冒険者プレートの剥奪すらあり得る。
それなら最初から始めたほうが長生きできるだろうが夢見る馬鹿は必ず出てくる。先のような連中は生き残れなくなるだろう。
その後。
「なぜだ!なぜ私が再審査対象なのだ。これはどう考えてもおかしい!」
先の男と仲間らが冒険者ギルドの受付で言い争っていた。
「もうしわけありませんが上からの指示で」
「貴様。私の実家を知らぬのか」
「あなたの両親は功績がありますがそれが子には引き継げないことぐらい分かるでしょう。本人ではないのですから」
親と子は別人。別人を優遇する理由はない、それが世界の常識。
「この決定がおかしいと思うなら両親に泣きついてください」
「クッ。後で後悔させてやる」
連中はこちらを認識せず去っていく。
「いらっしゃいませ。本日のご用件はなんでしょうか」
「これを」
条件を言う。
「高品質の各種水薬と解毒剤の納品ですね。助かります、今現在品薄状態なので」
数が多く等級が高いほどボーナスが付く。早速全員で薬草などが採集できる場所に向かう。ミーアら4人は採集に専念し僕らはそれを薬剤師スキルで高品質水薬や解毒剤に変えていく。自分達が今後生き残るためには上等な各種水薬の安定確保は不可欠だし上等な水薬の需要は右肩上がり、いつ品切れになってもおかしくない。下手に討伐に出るよりもこっちのほうが確実で安心だからだ。
ここで地道に採集スキルが効果を発揮する。初歩の初歩だが有ると無いとでは効果は明確に違う。最初から出発する冒険者はほぼ必須で優先的に覚えるがコネを使った連中はそんな効果を眼中無しとばかりに無視するから初歩の依頼ですらこなせない。ただ敵を気持ちよく倒せればいいと考える。
んで、水薬を後先考えずガボガボ飲む。そのせいで資金繰りが厳しくなるのに無理に討伐に向かい今度は仲間を失う。それでもなお次があるからと過信して有り金はたいて物資を補充するが成果は芳しくない。そのループから脱出できず破滅するのだ。
地味に足腰に来るがこれで自分と仲間が助かるだけではなく他のパーティを救うことも可能かもしれない、品物を買う連中に自分らのことなど関心がないかもしれないが間違いなく人助けであり恩人だ。そう思えば気合が入るだろう。
「下手な討伐依頼よりも高ランクの水薬の提供のほうが報酬が良いんだね」「そうですねぇ。依頼項目書かれた条件をよく見れば納得です」
ミーアとエメリアは下位の討伐よりも中位の納品のほうが報酬が高いことを考えながら採集を続ける。
「腕の立つ薬剤師が足りないのでしょう。うまく供給する側に回れば下手に危険を冒さなくてもよいですし」
「そうですねぇ。良い薬剤師と手を組めば背後を心配しなくていいですし楽ですから」
薬草の品質次第ではあるが腕さえあれば結構何とかなるし薬剤師からすれば薬草を安定的に持って帰ってくれる冒険者を信頼もできる。護衛にも使えるからだ。各種水薬や解毒剤を棚箱に積んで《収納》で仕舞う。持って帰ると職員らはその品質の高さと数に驚いていた。追加で職員を呼び出し倉庫に運び込む。
「これが報酬です」
金額を確認する。
「大分色がついてるけど」
「今現在各方面から水薬の注文が大きくてその手間賃だけでもと」
また必要であれば優先的に受けて欲しい、そうお願いされる。僕は密かに小声で囁く「もし大切な人物が負傷したら大変でしょう」納品したのは6等級だが僕は職員にさらに等級の高い水薬を15個ほど革鞄に入れて仲間に見えないように握らせる。
(! 本当にありがとございます。実は緊急な治療が必要な方がおりまして)
袖の下。良くも悪くも便宜を図ってもらうにはこれが手っ取り早い。ただ相手が大至急欲しいものを渡すだけの簡単な仕事だ。もっとも、品物を用意するのは大変だし相手を選ばないとならないけどね。
「えっ。もう倒してきたんですか。早いですねぇ。昨日の今日なのに」
受付嬢はあまりにも早い討伐時間に少し驚いた。普通に行けばそれ相応に時間がかかるし数を呼び出すボーン・ジェネラルなので時間もかかるはずだ。
だが僕らの仲間の半分以上は長距離高速移動可能な騎馬クラスだ。後ろに乗せてもらえば障害物がなければ迅速に行ける。
「こちらとしては大助かりですよ。脅威の排除は迅速にやりませんと厄介ですから」
報酬を受け取り仲間と共にコテージに戻ろうとして。
「君達、ちょっと待ちたまえ」
なんだか身なりの良い(仲間から見れば)男が話しかけてきた。こちらをジロジロと確認するその男の視線がどうにも怪しい。
「パーティリーダーは誰だい」
僕が片手をあげるとその男はフンっと、鼻で笑う。
「はははっ。こんなお嬢ちゃんがパーティリーダーとは。いかにも道楽パーティであるな。お嬢ちゃん、君はどこかのお嬢様のようだが使いこなせない実力者を酷使するのはやめたまえ。将来有望な冒険者はしかるべきリーダーが率いるものだよ」
この男は僕を女の子と盛大に勘違いし仲間のことを不必要に酷使していると言い放つ。そもそもあんただれだ?何様だ?この偉そうな物言いは特権階級で育った連中であることを物語っていた。
「用件は何ですか」
「単刀直入に言おう。パーティを解散したまえ。仲間は全員こちらで引き取る」
「僕はその後どうなりますか」
「安心したまえ。キッチリ人材補充をしてやるから」
男が手を上げると各テーブルか数名立ち上がって男の傍に立つ。
「どうかね。君にはこれぐらいで十分だろう。さ、返答したまえ」
男が呼んだ男女数人はどうもならず者か家臣の子供らなのだろう。金か権力に釣られて仕方なく命令を受けているようだ。自分が何もせずとも手柄を献上してくれるパーティと媚びへつらうしかない自分の部下を取り換えろとか馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
そいつの冒険者プレートを確認すると青彩石色だった。こいつもやはりコネを使ったんだと理解した。色彩石ぐらいならばコネを使えばどうとでもなるのだろう。でも、鉄色級に上がるためのハードルは結構高く容易には越えられない。
灰色から地道に実績を積み上げて入ればプレートの中身を見ればすぐにわかり依頼を受けるのはさして問題ではない、だがコネを使いいきなり色彩石色からスタートでは経験が足りずゴブリンですら危険だ。下手に依頼を出すと死んでしまう、そうなればそいつの実家が騒ぎ立てる。つまり依頼なんて受けさせずに飼い殺しにするしかないわけだ。
でも、冒険者としては上を目指したい。危険な目にはあいたくないし酷い現実なんて見たくない。見たいのは武勲詩にあるような輝かしい実績だけ。それで思いついたのが『有名なパーティの引き抜き』なのだろう。ミーアやエメリアがやったこととほとんど変わりがない。牽引してもらうつもりのようだが中身が異なる。
『自分は気持ちよく仲間を指示するだけ』
そう、それ以外ありえない。
ミーアとエメリアは自分の手を血で汚し自分に罪があるなら償いをする決意を示し本物になろうと努力を欠かさない根性を見せてみせたがこいつにはそれが全くない。その違いと自分の手駒を僕に押し付けて2パーティ分の成果を取ろうとする強欲さも気に入らない。
『何を迷っているのかね。これは双方に利がある話なのだよ』
『(……この底なしのクズが!そんなに自分に都合の良いお話が書きたければ日記にでも書けばいいし吟遊詩人に金を払って好きなだけ歌わせろ。そう、こいつらだ。こんな連中がいるから)』
ミーアとエメリアもそれと似たことを信じていた。似てはいるがこっちのほうが遥かに悪い方向へ進んでいる。同族嫌悪という奴だろうな。二人は心を入れ替え真面目になったがこいつはいまだに愚かな夢に溺れている。
今現在もコネを使っている連中は数えきれないほど存在する。一部は危険性を認識しそれを放棄したが未だに生き残りがいることは確かだ。その中でもこいつはかなり悪い方だろう
「いえ、もう正式にパーティを組んでいるので」
「君は何を言っているのだね。君の仲間は『上』だ。上の私と組むのが当然だろう」
ま、君も外見だけは上だがね。吐き捨てるような言葉。こいつ、切るか?ここで受付嬢が割って入る。
「申し訳ありませんが建物の中でゴタゴタするのは控えてもらえますか」
「…ちっ、いくぞ」
さすがにギルドの職員を敵に回すと厄介なことになると判断し男は取り巻きと共に引き上げる。
「すみません。彼、頭の悪い連中でして」
僕は別室を使いたいという要望を出す。僕らのランクなら別室ぐらいいつでも使える。全員で奴らのことを職員に聞くことにした。
「彼らパーティを結成してまったく依頼をこなせてないんですよ。それも1年と半分以上も」
「1年半以上って、それじゃ当然降格処分じゃない」
「ええ、コネを使い赤彩石クラスから無理矢理始めました。ピュアブリングのパーティに入ったお仲間と同じです。彼女らは冒険者になってからの期間が短くて目溢ししてましたが彼の場合は期間があまりにも長すぎて」
だからランクを一つ下げた、にもかかわらずやることは変わってない。むしろ悪い方向に進んでいるそうだ。
「彼女達もコネを使いましたが幸運にもまだ様子見をする猶予がありました。ピュアブリングのパーティに入ってからというもの心を入れ替え地道な草の根活動を積み重ねてクラスチェンジも行い『これなら大丈夫』上の方から正式な昇級手続きが取れるようにと」
僕が命じた地道な貢献がここで効果を発揮したのだ。ミーアとエメリアはここでようやく冒険者ギルドからの信頼を得たことを喜んだ。自分達が行ってきたことが間違いではないと。僕の言うことを聞いたのは運命の分岐点だったことを。
自分の罪を自覚し逃げなかった決意の証明がここに叶った。その後にしかるべき実績を上げたのでコネだけで上に行っただけという悪い評判を実力で黙らせた。
先ほどの正式なパーティへの強引な引き抜きや強制的な押し付けは問題だとして冒険者プレートを緑彩石色まで落とすと職員から先に明言される。これでも改心しないなら黒曜石色まで落とすか冒険者プレートの永久剥奪だと。
冒険者は常にその言動を見られ人々は噂をまき散らす。それが誇張ではないこと。
「コネの全てが悪いわけではないですけど中身も分からない連中が幅を利かす状況については冒険者ギルドでも大問題でして」
もうすでに中央本部ではコネで冒険者ランクを無理に与える項目は削除されるそうだ。つまり、コネを使いたければ厳正な審査を通れ、そういうことになる。あとしかるべき推薦人から許可をもらわなければならなくなる。この2点を正式に追加するそうだ。
もうこれからはコネでそこそこのランクにいる相手は真面目に依頼をこなさないと降格待ったなしになるし冒険者プレートの剥奪すらあり得る。
それなら最初から始めたほうが長生きできるだろうが夢見る馬鹿は必ず出てくる。先のような連中は生き残れなくなるだろう。
その後。
「なぜだ!なぜ私が再審査対象なのだ。これはどう考えてもおかしい!」
先の男と仲間らが冒険者ギルドの受付で言い争っていた。
「もうしわけありませんが上からの指示で」
「貴様。私の実家を知らぬのか」
「あなたの両親は功績がありますがそれが子には引き継げないことぐらい分かるでしょう。本人ではないのですから」
親と子は別人。別人を優遇する理由はない、それが世界の常識。
「この決定がおかしいと思うなら両親に泣きついてください」
「クッ。後で後悔させてやる」
連中はこちらを認識せず去っていく。
「いらっしゃいませ。本日のご用件はなんでしょうか」
「これを」
条件を言う。
「高品質の各種水薬と解毒剤の納品ですね。助かります、今現在品薄状態なので」
数が多く等級が高いほどボーナスが付く。早速全員で薬草などが採集できる場所に向かう。ミーアら4人は採集に専念し僕らはそれを薬剤師スキルで高品質水薬や解毒剤に変えていく。自分達が今後生き残るためには上等な各種水薬の安定確保は不可欠だし上等な水薬の需要は右肩上がり、いつ品切れになってもおかしくない。下手に討伐に出るよりもこっちのほうが確実で安心だからだ。
ここで地道に採集スキルが効果を発揮する。初歩の初歩だが有ると無いとでは効果は明確に違う。最初から出発する冒険者はほぼ必須で優先的に覚えるがコネを使った連中はそんな効果を眼中無しとばかりに無視するから初歩の依頼ですらこなせない。ただ敵を気持ちよく倒せればいいと考える。
んで、水薬を後先考えずガボガボ飲む。そのせいで資金繰りが厳しくなるのに無理に討伐に向かい今度は仲間を失う。それでもなお次があるからと過信して有り金はたいて物資を補充するが成果は芳しくない。そのループから脱出できず破滅するのだ。
地味に足腰に来るがこれで自分と仲間が助かるだけではなく他のパーティを救うことも可能かもしれない、品物を買う連中に自分らのことなど関心がないかもしれないが間違いなく人助けであり恩人だ。そう思えば気合が入るだろう。
「下手な討伐依頼よりも高ランクの水薬の提供のほうが報酬が良いんだね」「そうですねぇ。依頼項目書かれた条件をよく見れば納得です」
ミーアとエメリアは下位の討伐よりも中位の納品のほうが報酬が高いことを考えながら採集を続ける。
「腕の立つ薬剤師が足りないのでしょう。うまく供給する側に回れば下手に危険を冒さなくてもよいですし」
「そうですねぇ。良い薬剤師と手を組めば背後を心配しなくていいですし楽ですから」
薬草の品質次第ではあるが腕さえあれば結構何とかなるし薬剤師からすれば薬草を安定的に持って帰ってくれる冒険者を信頼もできる。護衛にも使えるからだ。各種水薬や解毒剤を棚箱に積んで《収納》で仕舞う。持って帰ると職員らはその品質の高さと数に驚いていた。追加で職員を呼び出し倉庫に運び込む。
「これが報酬です」
金額を確認する。
「大分色がついてるけど」
「今現在各方面から水薬の注文が大きくてその手間賃だけでもと」
また必要であれば優先的に受けて欲しい、そうお願いされる。僕は密かに小声で囁く「もし大切な人物が負傷したら大変でしょう」納品したのは6等級だが僕は職員にさらに等級の高い水薬を15個ほど革鞄に入れて仲間に見えないように握らせる。
(! 本当にありがとございます。実は緊急な治療が必要な方がおりまして)
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