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その20 家庭崩壊
しおりを挟む孝介、陽介兄弟の、両親や(孝介の)婚約者が見ている前での悍ましい行為に
婚約者敦子は「変態!」と叫びながら去って行ってしまった。
「おまえらは、兄と弟で、男同士でそんな穢らわしいことをしていたのか?
それはケダモノにも劣るんだぞ!」
父は涙まじりの怒りで震えている。
「お父さん! 今の世の中は多様性の時代なんだ。同性婚だって、近い将来認められるかもしれない。でも、僕はお兄ちゃんと結婚したいわけじゃないんだ。兄弟でのセックス、それに恋愛だってお互いの同意があれば法律で禁じられてるわけじゃない。もうタブーとかは古い考え方だよ...」
ピシッ!
父の平手が陽介の頬を叩いた。
陽介の理屈が堅物の父に通用するわけがない。それは兄の孝介だって同じで弟とのことはずっと秘密にしておきたかったのだ。もう言い訳は出来ない。敦子との婚約も破断になるだろう。
(彼女とは合わす顔もない...)
頬を叩かれた陽介が父を睨んだ。
「僕が知らないとでも思ってんの? お父さん、僕の脚やお尻を見て良からぬ妄想してたでしょ? 下着姿の僕と夜中にトイレの前ででくわした時、冗談でお父さんの股間触れたことあったね?
お父さん勃ってたよね? 僕を抱きたいと思ったの? いいよ、ここでお父さんのアソコ舐めてあげようか?」
「お、お、、おまえは、親に向かって何ていうこと言うんだ! おまえみたいな薄気味の悪い売女は俺の子でもなんでもない。 出て行け!」
父はそう言うと、今度は兄である孝介に軽蔑の目を向けた。
「孝介! おまえにもがっかりさせられた。もう、俺は知らない。その顔を見るのも吐き気がする。陽介と一緒に出て行きなさい。一緒に住んでいくらで好きなことをすればいい」
ずっとショック状態で声も出せずにいた母がやっと口を開いた。
「やっぱり、あなた達、そういう関係だったのね? 自分の息子ながら気持ちの悪い、、お父さんも言うように、ふたりして出て行きなさい」
親が子に絶対言ってはならない言葉。もう終わりだと孝介は思った。
父と母はそのまま寝室に入ってしまった。リビングのテーブルの上には、母と敦子の作った料理が虚しく残されたままだった。
数日後孝介と陽介の兄弟は家を出た。両親は陽介の残り半年分の大学学費の支払いと、ふたりが住む部屋の保証人にはなってくれた。最低限の親の責任だと考えたのだろう。
冬木敦子からは婚約破棄してくれとのメールが届いただけだった。
孝介は弟のせいで親からは勘当され、婚約までした敦子との関係を台無しにされ恨む気持ちもあったが、それもこれも、弟からの誘惑に乗ってしまった自分も悪かったのだと思っている。
「お兄ちゃん、やっと二人っきりになれたね。これで、誰の目も気にしないで自由にやれるね。毎日、毎日、いっぱいサービスするからセックスしよ」
兄弟で住む部屋は6畳2間と、キッチン兼リビングにバス付き。
当分の間、まだ学生の身である弟の生活は兄が面倒見なくてはならない。
その分、弟は毎日のように兄にサービスをした。情欲に耽る日々。
そんな日々は長続きしなかった。
どこからどう漏れたのだろうか?
孝介と陽介の異常な関係は彼らを取り巻く周囲にも知られる事となった。
「変態一家」と誰かが噂した。
息子たちの良からぬ関係は父の会社でも噂になり、実直で保守的な父はいたたまれなくなっのか? 職を辞しそのまま母とも別れ蒸発してしまった。
母はあの日以来、怪しい宗教団体に入るとその活動に夢中になっているようで、それも父と母が別れた一因なのだと孝介は想像した。
完全なる家庭崩壊だ
いつか、父や母との関係を修復したいと考えていた孝介は頭を抱えた。
そして、孝介自身も会社に弟とのことを知られるといられなくなり職を失うことになったのである。
たちまち生活がひっ迫する。
「こうなったのも、元はといえば僕の軽率な行動が原因なんだ...」
「・・・・・」
「お兄ちゃんの仕事が決まるまで僕が生活の面倒を見るよ」
「面倒見るって、おまえ、、」
兄は弟の姿をじっと見た。
益々女として進化している。
どこからどう見ても男とは思えない。セクシーで欲情を喚起させる美女。
弟は体を売ろうとしているのか?
「お兄ちゃん、今日はこれだけ稼いだよ。ちょっと変態っぽいオジサンだったけどお金持ちだった。もう一人の人は大きな身体してるのに、ホテルに入ったら急に大人しくなって、虐めて下さい!だって、、あれは真正のマゾだと思うんだよね」
陽介はそう言うとテーブルの上に万冊を6枚置いた。陽介はマリアと名乗りネットで売春目的の交渉をしたり、時には街へ出て立ちんぼの真似事みたいなことをしているようだ。
職を失い仕事も中々見つからず、生活費もままならない兄は、こうした弟の危険な行いを咎めることが出来ない。
弟は身体さえ売れば簡単にお金を稼げると安易に考えているようだ。
「さあ、お兄ちゃんエッチしよ。明日はゆっくりするから今夜はいっぱい、いっぱいやろうね。脱いでよ...」
家を出されてから約半年。
陽介の美女ぶりは益々磨きがかかり、その見た目だけではなく、性技の上達も驚く程だ。こんな美女に攻められれば、その股間に男性器があろうと男は夢中になるだろう。
否、逆に倒錯的妖しさに大抵の男は経験したことのない精神的快感を覚えるかもしれない。弟の客はリピーターが多いとのことだが、一旦、その禁断の味を知ってしまったら?
そんなある日。
陽介が繁華街からラブホ街を徘徊していると、目の前にフラフラ歩いている
50代と思われる男に声をかけた。
(酔っ払い? はちょろいからね)
「おじさん暇?そこのホテルで遊ばない? 2万でいいよ...」
男は振り返りいやらしい目を向ける。
「おや? あんたみたいな美女がこんな情けない男に声をかけていいのかな?
2千円ならいいよ。へへへ、、」
男の顔には無精髭。
着ているものも粗末で、陽介は “これはダメだ、お金にならない” と思い男から離れようとした。去り際、男の顔をもう一度ちらっと見た。
ハッとする陽介。
そして、急に懐かしさが込み上げる。
「お、お父さん。お父さん?...」
「ん? なんだ、、おねえさん」
家を出てから半年ぶりだった。
職を失い家庭崩壊から失踪? していた父は以前とは別人のようである。
(お父さん、あんなに几帳面でいつも小ぎれいにしていたお父さんが、、こんなに落ちぶれちゃったの?)
陽介はそう思うと涙が溢れてきた。
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