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第一章 今も昔も変わらない
夏が始まる
しおりを挟む蝉の鳴き声が響き渡る七月。仕事を辞めた私は地元に帰る為、電車に揺られていた。
道中勢いで仕事を辞めてしまったけれど、引き継ぎちゃんと出来たよね・・・?など考えこんでいたが窓から見える雲一つない空を見るとそんな気持ちなど忘れていた。
久しぶりに見上げた青空は今の私の心の中の様に清々しくて綺麗に感じた。
電車を降りると平日にもかかわらず沢山の観光客で駅がごった返していた。
こんな田舎にも観光客なんて来るんだ・・・。
なんて思いながらスマホを取り出し父に連絡する。
自動販売機にお金を入れてサイダーを買い、乾いた喉へと流し込む。そういえば東京へ行く時こうしてサイダーを飲んだ記憶がある。
あの時の自分と今の自分は全く変わってなくて、何だか少しおかしいなと考えていた。
しばらくして父親が乗っている車が迎えに来た。数年ぶりに顔を合わせるのは気まずいと思っていたが久しぶりに顔を合わせた父は昔と変わらず優しくて、
「久しぶりやな・・・痩せたんやないと?」
そう言う父に
「痩せたかも・・・やけん早く美味しいもの食べたい気分」
と話すと父は笑いながら、
たくさん食えよと言ってくれた。
懐かしくて私の全てが詰まった場所。
私の夏が始まるそんな予感がした。
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