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成功条件は、もちろん婚約破棄の阻止!
Ⅳ
しおりを挟むお茶会当日、私は会場に入ってすぐに彼女を見つけた。
そして同時に、彼女がこのお茶会に義務で出席していることがわかってしまった。
(端だな・・。)
積極的な令嬢は中央の私の近くに陣取り、一般的な令嬢は中央寄りに立っていた。
だが、彼女は一番離れて立っていた。
私との婚約に乗り切りでないのは明白だった。
胸が痛むのを感じた。
あいさつが終わり、私は彼女と話をするのを楽しみにしていた。
彼女との6分間に何を話そうか、ずっと考えていた。
彼女は4番目だ。
彼女の前の3人の令嬢との時間が恐ろしく長く感じた。
(早く!彼女の番になってくれ!!まだか?合図はまだなのか?)
カルの合図を内心そわそわしながら待っていた。
そして、いよいよ彼女の番になった。
・
・
・
・
彼女はあっさりとあいさつを終えた。
私はそれ以降、誰と何を話したのか全く覚えていなかった。
「はぁ~」
溜息が自然に出てきた。
「・・・・・・彼女ともっと話がしたかった。」
お茶会を終えた後、執務室のソファーに座り込み思わず項垂れた。
「殿下・・。
想像以上に脈がありませんね・・。」
カルが哀れみの視線を投げかけてきた。
「・・・傷口に塩を塗り込むような真似はやめてくれ。
だが・・彼女の凛とした姿。
彼女がこの国の代表として諸外国の方を迎えてくれれば、我が国の印象も良くなるのだろうな。」
「それは間違いないでしょうね。」
私は窓の外を見た。
外には月が見えた。
「彼女を王妃として指名しても良いのだろうか・・?」
すると、カルが困ったように笑った。
「殿下はどうなのですか?
彼女以外を選べるのですか?」
その言葉を聞いて私は思わず立ち上がった。
「無理だ。
彼女と共に歩みたい!!
彼女とならこの国を良くしていける!!
そして、彼女なら最高の王妃になれる!!
よし!!彼女に断られぬように覚悟を決める。
私も精進しよう!!」
カルが目に涙をためて拍手をした。
「おお~~!!
素晴らしい!!
その意気です!!殿下!!
彼女を射止められるように男を磨きましょう!!」
私は素早くソファーから立ち上がった。
「そうだな!!カル!!父上と母上に会いに行くぞ。」
「御意。」
そうして翌日、彼女に婚約破棄も視野に入れた婚約だと少しずれた方向で婚約を受け入れて貰えたのだった。
そうして数日後、彼女は意欲的に王妃教育に取り組んでいるという報告を彼女の教師から受けた。
私は父上と母上と共に大いに喜んだ。
そんな報告を受けた数時間後、私は気分よく執務室にいた。
トントン
「殿下。火急の知らせにございます。
私は現在侯爵家に派遣されております、アリエッタ様付きのニールでございます。」
「入れ。」
入って来たのは、侯爵家に派遣されている者だった。
「どうした?」
私はその者の慌てた様子に思わず自身の手を強く握ってしまった。
「はっ。本日、アリエッタ様の侍女から気になるメモを見つけたと報告を受けました。」
「メモ?実物があるのか?」
「実物ではなく写しにございますが内容は相違ございません。
ライト侯爵様立ち合いの元、控えを作成いたしました。
それがこちらにございます。」
『1 王妃教育を理解しない=真面目に勉強しない
2 王妃様になれるような振る舞いはしない=不特定多数の方と遊び回る
3 公務の妨げになる=口だしをする
4 色気がつかないようにする=現状で良い
5 殿下の次の婚約者を見つける=ご令嬢を知る』
私はそのメモを見て思わずカルに向かって叫んでいた。
「アリエッタに至急、影を数人付けよ。
その他にも衛兵を派遣しろ!!徹底的に護衛するように!
だが、彼女には決して悟られぬようにしろ!!
何かあってからでは事だ!!
ライト侯爵にも話を通しておけ!!」
「は!!」
するとカルは急いで部屋から出て行った。
その後に今回この報告をしてくれたニールの方を向いた。
「この度は報告に感謝する。引き続きアリエッタを頼む。」
「はい。有難いお言葉にございます。それでは失礼致します。」
そう言って、ニールを送り出すと、手元の紙をもう一度じっくりと見た。
目の前が真っ暗になる錯覚に陥った。
(不特定多数の者と遊び回るなど!!!
そんなに思いつめていたなど!!
くっ!!無事でいてくれ!!)
私は祈るように窓の外を見つめた。
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