46 / 50
アイク ルート(先生ルート)
Ⅴ 偶然ですね……
次の日の放課後……
アレク先生の部屋で、ルジェク王子が集計の結果を見ながら呟いた。
「まさか……こんな結果になるなど……」
生徒からの希望を集めた結果、演劇が一番表を集めた。
しかもルジェク王子や兄やカイル様やダイアン様、クレアさんになんと私にまで出演希望が来た。
特に、ルジェク王子とクレアさんのダンスはみんなが鑑賞できるような場で披露されたわけではないので、『ぜひ演劇の中で踊ってほしい』という要望が多かった。
ルジェク王子はみんなの顔を見ながら言った。
「恐らくこんな機会でもなければ、一生演劇をする機会などだろう。皆、やってみないか?」
ルジェク王子の言葉にみんなが頷いた。
決まったらすぐにダイアンが口を開いた。
「では、私は図書館で脚本を探してきましょう」
私は、どうしてもやりたいことがあったのですぐに声を上げた。
「はい!! 私にみんなの髪型と化粧と衣装を任せて下さい!!」
私は燃えていた。
いや……正確には萌えていた。
だって!!
こんなイケメンと美少女に好みの服を着せて、好きに化粧ができるのだ。
こんなチャンス二度とない!!
幸い私の家はかなりリッチな公爵家!!
ちなみに私の月々のお小遣いは膨大。
でも、使い道がほとんどないので毎月貯めている。
今、使わずにいつ使うというのだ!!
公爵家令嬢に転生してハッピー!!
「では私もフォルトナを手伝おう」
兄も頷き、みんなの了解を得て私は無事にみんなの衣装とヘアメイク係になったのだった。
こうして私たちは演劇をすることが決まったのだった。
◇
そして週末。
「な、なぜそこにコルネリウスがいるのだ!?」
私は予定通りルジェク王子とオペラを見に行くと、入り口に兄が立っていた。
「これは、ルジェク王子殿下。ごきげんよう。ここにいるのです。オペラを楽しむために決まっているではありませんか……」
優雅に笑う兄が怖すぎる。
またしても、ルジェク王子殿下は兄との会話に盛り上がりを見せていた。
退屈だった私は、周囲を見渡すと、アイク先生が落ち着いた雰囲気の花束を持ってやってきた。
アイク先生だ……
私は静かに二人から離れると、アイク先生の元に向かった。
「きげんようアイク先生」
アイク先生は嬉しそうに微笑みながら言った。
「これは、フォルトナ様。こんにちは」
「お一人ですか?」
「は、はい。実は教え子が本日、初舞台を踏むというので見に来ました」
アイク先生がとても嬉しそうに笑うので私まで自然と笑顔になる。
「まぁ、それはおめでとうございます」
「ありがとうございます。これからあいさつに行こうかと……ですが、緊張しています」
私はアイク先生に尋ねた。
「私もご一緒してもよろしいでしょうか?」
「え? あ、嬉しいです。緊張していたので……ですが、フォルトナ様はよろしいのですか?」
私はチラリと二人を見た。
まだまだ話が盛り上がっている。
「離れることを伝えて参りますわ」
そして私は二人の元に行くと、「少し失礼します」と言った。
ルジェク王子殿下も兄もお手洗いだと思ったようで「ゆっくりで構わない」と言った。
「お待たせいたしました~~」
「では行きましょうか」
「はい」
私はアイク先生と楽屋に向かった。
◇
「先生来て下さってありがとうございます!!」
先生と一緒に会いに行くと、とても美しい顔の男性が出て来た。
この世界、イケメン度が高すぎる……
私が眩しいと思っていると、アイク先生が花束を渡して言った。
「楽しみにしていますね」
「はい!!」
……え?
アイク先生が彼と言葉を交わしたのはそれだけだった。
そして男性は私を見て驚いたように声を上げた。
「え? フォルトナ様!? どなたかとお約束ですか?」
「いえ、アイク先生が楽屋に行かれるということでご一緒いたしました」
「あ、本日はロイヤルボックス席にお客様がお見えになると座長がおっしゃっておりましたが、ルジェク王子殿下とフォルトナ様でしたか……お会い出来て光栄です。お楽しみ下さいませ」
「ええ、ありがとうございます。初舞台、楽しみにしています」
「はい!! ありがとうございます」
その後すぐに私たちは楽屋を去った。先生より、私の方が彼と長く話をしたように思う。
先生はほとんど話をしていない。
「先生、よかったのですか?」
「はい」
私はなんとなく不思議に思った。
その後先生は自分の席に行き、私は先生と別れた。
「フォルトナ、行きましょう」
ようやく兄と別れてルジェク王子殿下と席に座ると、私たちはぎょっとした。
私たちの席からよく見える位置に兄がいた。
兄はオペラグラスを持って私と目が合うと、嬉しそうに手を振っていた。
私も兄に手を振り返した。
「コルネリウス、私たちを監視するつもりか!?」
私は、会場の豪華さに圧倒されていた。
そして客席を見ると、アイク先生を見つけた。
男女で来ている人々が多い中、男性一人で座る先生はある意味目立っていた。
しかし、先生はそんなことを気にする素振りもなく、キラキラした瞳で舞台を見つめていた。
私はなぜかそんな先生から目が離せなかったのだった。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
【完結】その令嬢は号泣しただけ~泣き虫令嬢に悪役は無理でした~
春風由実
恋愛
お城の庭園で大泣きしてしまった十二歳の私。
かつての記憶を取り戻し、自分が物語の序盤で早々に退場する悪しき公爵令嬢であることを思い出します。
私は目立たず密やかに穏やかに、そして出来るだけ長く生きたいのです。
それにこんなに泣き虫だから、王太子殿下の婚約者だなんて重たい役目は無理、無理、無理。
だから早々に逃げ出そうと決めていたのに。
どうして目の前にこの方が座っているのでしょうか?
※本編十七話、番外編四話の短いお話です。
※こちらはさっと完結します。(2022.11.8完結)
※カクヨムにも掲載しています。
悪役令嬢の取り巻き令嬢(モブ)だけど実は影で暗躍してたなんて意外でしょ?
無味無臭(不定期更新)
恋愛
無能な悪役令嬢に変わってシナリオ通り進めていたがある日悪役令嬢にハブられたルル。
「いいんですか?その態度」
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。