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アイク ルート(先生ルート)
Ⅶ 原点回帰ってこういうこと??
舞台当日は、私は朝から忙しかった。
まず、自分のメイクとセットを済ませて、みんなのメイクをして髪をセットした。
1番:ルジェク王子殿下~~!!
メイクを終えて、髪を整えた。私は、自分で選んだ紺色の騎士服を着たルジェク王子殿下を見て息を吐いた。
「ルジェク王子殿下、騎士服素敵です!! あ~~本当にいい……」
「そんなにいいか? ……普段から着てみるか?」
ルジェク王子殿下が照れながら言った。
うん、推しの照れ顔最高!! 私、幸せ!!
2番:兄コルネリウス氏!!
ちょっと可愛い雰囲気のメイクと、あえての無造作ヘア。
ナニコレ、普段のキッチリとした時とのギャップあり過ぎで最高なのだが!?
兄の魔法使いを見て思わず抱きついてしまった。
「魔法使い可愛い~~~クール男子の可愛いは……最強……」
「え、え、フォルトナ!? 抱きつき……?? もう、私はこの格好で過ごそう」
兄は戸惑いながらもどこか真剣に言った。
うん、私、いい仕事した!! 絶対に兄ファン増える!!
3番:騎士団子息カイル様!!
カイル様の王子様を見て呆然とした。
盛上がった胸板を強調する王子服。しかも筋肉隆々なタイトなパンツスタイル……造形美かな?
「ああ……がっしりとした王子様……頼れる雰囲気倍増……凄くいい!!」
「え~なんだか照れますが嬉しいです」
カイル様も着慣れないのか戸惑いながらも照れた顔が可愛い。
筋肉王子、私は新たなジャンルを開拓してしまったかもしれない……
4番:宰相子息ダイアン様~~!!
私はダイアン様の半ズボンを見て目を細めた。
「ダイアン様、よく似合っていますわ。ダイアン様、足がキレイですね!!」
「中々言われたことのない褒め言葉ですが、光栄です。ですが、普段と違う姿ながら存分に役になれそうです。クレアさん覚悟して下さい」
ダイアン様は意外とノリノリだった。
決して普段は童顔というわけではないのに、たれ目メイクでみんなの弟キャラに!!
明日からダイアン様、お姉様に可愛がられるかもしれない……
5番:クレアさ~~ん!!
クレアさんは高貴な王女様のようになった。
「これは……妃殿下……麗しいお姿で……」
私が思わずそう口にするとクレアさんが慌てて言った。
「フォルトナ様、そんなおやめください。でも……鏡に映った自分は自分ではないみたいで……いつも以上に気合が入るというか……気が引き締まります」
私はその言葉を聞いて嬉しくなった。
そう、メイクや髪型を整えると、背筋が伸びる気がする。
クレアさんもいつも以上に堂々として輝いて見える。
その顔が見たかったのだ……
「ふふふ、嬉しそうなお顔ですね」
クレアさんに見とれていると、アイク先生に声をかけられた。
私はアイク先生を振り向て言った。
「ええ、嬉しいです。さぁ、今度は先生の番ですね」
「お願いします」
ラスト:アイク先生!!
私はすでに衣装を着たアイク先生のメイクと髪をセットするために鏡の前に立った。
アイク先生の衣装はあまり普段と変わらない。
「先生、失礼します」
眼鏡を取って、前髪を上げた時だった。
え!? 誰?
想像を絶するイケメンを見つけたのだが!?
目の上に少し目立つ傷があるが、こんなのメイクで簡単に隠せるレベルだ。
「フォルトナ様? やはりこんな姿は……」
呆然としていると声をかけられた。
「あ、申し訳ございません。こんな姿? とにかくすぐに取り掛かりますね」
私は舞台に生えるように先生の良さを引き立てる化粧して、髪を上げてとにかくこの美しい顔がみんなに見えるようにセットした。
「いかがですか?」
「……凄い……傷が全くわからない……」
アイク先生は食い入るように自分の顔を見ていた。
「準備はできましたか?」
カイル様に声をかけられて私は急いで、アイク先生を見た。
「では行きましょうか、旦那様」
アイク先生は私を見て嬉しそうに微笑みながら言った。
「そうですね」
そして舞台では……
「あの殿方はどなた?」
「学園にいらしたかしら?」
「素敵……」
アイク先生は多くの女子生徒の視線を釘付けにしたが……
化粧を取ってメガネを付けて髪を戻すと、誰にも気づかれないので、特にその後の彼の生活に支障はなさそうだった。
劇が終わって私がほっとしているとアイク先生に呼ばれた。
「フォルトナ様、少々よろしいでしょうか? お話したいとおっしゃる方がいらっしゃるのですが……」
「はい」
私がアイク先生に呼ばれて向かうと、先日あいさつをした先生の元教え子だという男性ともうひとり壮年の男性が立っていた。
「初めまして、私は座長をしていますロバートと申します。今日の舞台の衣装もさることながら、化粧と髪が素晴らしかった。個人の良さを引き立てて、舞台の上で輝く、その素晴らしさを表現できるあなたの技術力の高さに、私は釘付けになりました。フォルトナ様、私たちは国お抱えの劇団です。ほとんど王都から出ることはありません。安全面も問題ありません。よろしければ我々の劇団の化粧や髪を引き受けて頂けませんか?」
「え……?」
私は思わず固まってしまった。
そして座長さんはアイク先生を見ながら言った。
「アイクも戻って来てくれませんか? 先ほど舞台を見ましたが、傷は全く分かりませんでした」
「そう……ですね……ですが、これはフォルトナ様のおかげです」
え? アイク先生ってもしかして……元役者さん??
私が混乱していると、先生の教え子だという男性が私の手を取った。
「あなたの化粧で舞台に立ちたいと思いました。本当に素晴らしい。ぜひお引き受け頂けませんか?」
心が揺れる。
だって、とても楽しかったのだ。
悩んでいると、アイク先生が優しく頬笑みながら言った。
「まだ学園生活はありますので、ゆっくり考えて決めたらいいのではないですか?」
座長も声を上げた。
「もちろん、卒業してからのお話です!!」
「では検討させて下さい」
私は思わず未来の選択肢の出現に戸惑うしかなかったのだった。
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