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8 予想外の来客
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王子様に会うために、私は急いで私室に戻りマリーに素早く着替えをさせられ、
部屋の前で待っていてくれた兄の手を握って、サロンへと移動した。
サロンは1度見たが、豪華過ぎて落ち着かないので、お茶はいつもテラスで飲んでいた。
テラスはサロンよりも小さく、家具も高級だがシンプルな品で、日当たりもいいので気に入っていた。
サロンに入り、顔を見るとすぐに王子様に頭を下げた。
(よし、今日こそは自分であいさつをするぞ。)
実はここに来る前に兄と練習したのだった。
「殿下、大変お待たせ致しました。
遅くなりまして申し訳ありませんでした。」
顔をあげると、王子様とロベールは明らかに驚いていた。
「いえ、突然来たのはこちらですので、
謝らないで下さい。
突然の訪問申し訳ありません。
もう体調はよろしいのですか?」
「はい。おかげ様で。」
形式的な質問に答えると、王子様の視線が兄と繋がれている手に注がれていることに気付いたが、やぶ蛇にならないようにあえてなにも言わないことに決めた。
すると、王子様がにっこりという効果音がつきそうな美しい笑みを浮かべた。
なぜ笑顔なのに怖く感じるのだろうか。
「ところでベルナデット。
なぜ今日もエリックと手を繋いでいるのですか?」
「こんにちは、殿下。発言を失礼します。」
「こんにちは。エリック、どうぞ。」
「はい。ベルナデットと話合い、暫くは殿下にご迷惑をおかけしないように、殿下の前では私と手を繋ぐことにしました。」
今日も兄に全権を任せてしまうことは心苦しいが、兄に甘えることにした。
(兄よ。ありがとう。
・・駄犬扱いは悲しいけど。)
「そうですか。
しかし、今日は少々迷惑を掛けられてもかまいませんので、手は離して頂いてかまいませんよ。
エリック、ゆっくりして下さい。」
「・・はい。それでは殿下のお言葉に甘えまして。」
威圧感のある笑みを浮かべた王子様の言葉に兄もこれ以上は無理だったのだろう。
兄からゆっくりと手が離された。
(兄よ!迷惑かけてごめんよ。)
兄に心の中で謝罪をしていると、王子様は満足そうにソファーに座った。
仕方なく私は兄がソファーに移動するのについて行き、兄の隣で王子様の前のソファーに座った。
「ベルナデット本当に体調は大丈夫ですか?」
「は、はい。」
ソファーに座った途端に王子様に話掛けられた。
昨日の王子様は明らかに私を避けていたが、今日はその態度から一変し、じっとこちらを見つめてきた。
居心地が悪い視線だった。
探られているという感じだろうか。
例えるなら、
遅めの昼食を買いにコンビニに行った帰りに、昼食を終えた異性の同僚と入り口の前で偶然会い、『あの2人一緒にランチにいったのかしら』と周りから詮索された時の視線と似ている。
そんなことを考えていると、王子様と目が合った。
対応がわからずに、とりあえず微笑んでみると、王子様は少し驚き、少し考えてこちらを見て微笑んだ。
「久しぶりにローズガーデンを案内してはもらえませんか?」
「え?」
王子様の意外過ぎる提案に、私だけではなく、兄も驚いているようだった。
「いいですよね?」
「はい。」
王子様の提案に反射のように返事をした。
これがロイヤルパワーだろうか?
逆らえない何かを感じる。
歩き出した王子様の少し後ろについていこうとすると、兄も一緒に行ってくれるのか、ソファーから立ち上がった。
すると、王子様は、兄に笑顔を向けた。
なんだろう。この空気。怖い。
「エリックはここで、ローベルとゆっくりしていていいですよ。」
「殿下。お気遣い有難いですが、万一のためにお供いたしますよ。」
「アトルワ公爵家の庭園で危険はありませんよ。
ベルナデットと2人で大丈夫です。」
「では、そのように。」
兄の視線で兄が辛そうなのがわかった。
心配してくれているのだろう。
ここは兄のためにも腹をくくるしかない。
不敬罪は正直かなり怖いが、やるしかない。
(一応、いきなり斬りかかられないように少し離れよう。)
部屋の前で待っていてくれた兄の手を握って、サロンへと移動した。
サロンは1度見たが、豪華過ぎて落ち着かないので、お茶はいつもテラスで飲んでいた。
テラスはサロンよりも小さく、家具も高級だがシンプルな品で、日当たりもいいので気に入っていた。
サロンに入り、顔を見るとすぐに王子様に頭を下げた。
(よし、今日こそは自分であいさつをするぞ。)
実はここに来る前に兄と練習したのだった。
「殿下、大変お待たせ致しました。
遅くなりまして申し訳ありませんでした。」
顔をあげると、王子様とロベールは明らかに驚いていた。
「いえ、突然来たのはこちらですので、
謝らないで下さい。
突然の訪問申し訳ありません。
もう体調はよろしいのですか?」
「はい。おかげ様で。」
形式的な質問に答えると、王子様の視線が兄と繋がれている手に注がれていることに気付いたが、やぶ蛇にならないようにあえてなにも言わないことに決めた。
すると、王子様がにっこりという効果音がつきそうな美しい笑みを浮かべた。
なぜ笑顔なのに怖く感じるのだろうか。
「ところでベルナデット。
なぜ今日もエリックと手を繋いでいるのですか?」
「こんにちは、殿下。発言を失礼します。」
「こんにちは。エリック、どうぞ。」
「はい。ベルナデットと話合い、暫くは殿下にご迷惑をおかけしないように、殿下の前では私と手を繋ぐことにしました。」
今日も兄に全権を任せてしまうことは心苦しいが、兄に甘えることにした。
(兄よ。ありがとう。
・・駄犬扱いは悲しいけど。)
「そうですか。
しかし、今日は少々迷惑を掛けられてもかまいませんので、手は離して頂いてかまいませんよ。
エリック、ゆっくりして下さい。」
「・・はい。それでは殿下のお言葉に甘えまして。」
威圧感のある笑みを浮かべた王子様の言葉に兄もこれ以上は無理だったのだろう。
兄からゆっくりと手が離された。
(兄よ!迷惑かけてごめんよ。)
兄に心の中で謝罪をしていると、王子様は満足そうにソファーに座った。
仕方なく私は兄がソファーに移動するのについて行き、兄の隣で王子様の前のソファーに座った。
「ベルナデット本当に体調は大丈夫ですか?」
「は、はい。」
ソファーに座った途端に王子様に話掛けられた。
昨日の王子様は明らかに私を避けていたが、今日はその態度から一変し、じっとこちらを見つめてきた。
居心地が悪い視線だった。
探られているという感じだろうか。
例えるなら、
遅めの昼食を買いにコンビニに行った帰りに、昼食を終えた異性の同僚と入り口の前で偶然会い、『あの2人一緒にランチにいったのかしら』と周りから詮索された時の視線と似ている。
そんなことを考えていると、王子様と目が合った。
対応がわからずに、とりあえず微笑んでみると、王子様は少し驚き、少し考えてこちらを見て微笑んだ。
「久しぶりにローズガーデンを案内してはもらえませんか?」
「え?」
王子様の意外過ぎる提案に、私だけではなく、兄も驚いているようだった。
「いいですよね?」
「はい。」
王子様の提案に反射のように返事をした。
これがロイヤルパワーだろうか?
逆らえない何かを感じる。
歩き出した王子様の少し後ろについていこうとすると、兄も一緒に行ってくれるのか、ソファーから立ち上がった。
すると、王子様は、兄に笑顔を向けた。
なんだろう。この空気。怖い。
「エリックはここで、ローベルとゆっくりしていていいですよ。」
「殿下。お気遣い有難いですが、万一のためにお供いたしますよ。」
「アトルワ公爵家の庭園で危険はありませんよ。
ベルナデットと2人で大丈夫です。」
「では、そのように。」
兄の視線で兄が辛そうなのがわかった。
心配してくれているのだろう。
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(一応、いきなり斬りかかられないように少し離れよう。)
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