我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番

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【クリストフ】(王妃ルート)

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私はクリスの婚約者だ。
ずっと婚約者として支えてくれたのに今更裏切ることは出来ない。

「お父様、父上。私、クリストフ殿下と結婚します。」

すると、実父が泣き出した。

「ベル~~。嫌だ~~。
嫁に行くなんて嫌だ~~。」

すると、父が、困ったように実父を宥めた。

「仕方ないだろ?私たちにできることは、ベルナデットの選択を応援して、祝福することだけだよ。」









それから、卒業公演当日。





私たちの卒業公演は大成功に終わった。

そして卒業公演の後。
私はクリスに馬車で公爵邸に送って貰っていた。

「ふふふ。大成功だったね。」
「はい。みんなも素敵でした。」
「そうだね。いい時間を過ごせたな。」
「ええ。」

クリスと今日の卒業公演の感想を言い合っていると、クリスが急に黙り込んだ。

「どうしたのですか?」

私が尋ねると、クリスが緊張した顔で、こちらを見てきた。

「ねぇ。アトルワ公爵にはもう許可は取ってあるんだけどさ、少し付き合ってくれないかな?」
「え?許可ですか?」
「うん。どうかな?」
「許可を取って頂いているのならいいですよ。」
「じゃあさ、ついてきてくれる?」
「はい。」

クリスは御者に行先を伝えた。
すると、馬車はアトルワ公爵邸ではなく違う場所に向かった。
着いたのは王宮だった。

王宮には王妃教育でよく来ている。
昔は王宮ではよく迷っていたが、今ではもう迷わずにどこでも行けるようになった。

王妃教育が遅くなった時は、王宮の私の部屋に泊まって、次の日直接学院に行くこともあった。
そんな大変だった日々も今では懐かしい。



クリスは王宮の端の見張り棟の上に連れてきてくれた。
ここは、今では見張り棟としては使われていないそうだ。

私は棟を見上げた。

(ここには初めて来るわ・・。)

長い階段をクリスに手を引かれて歩いた。

「ベル。気をつけてね。」
「ありがとうございます。」

クリスはランタンを持って、私の手を引きながら歩いてくれた。
まるで魔法使いの秘密の塔のようでわくわくした。

見張り棟の上に着くと、私は思わず歓声を上げた。

「わ~~。」

そこからはまるで城下の灯りが宝石のように輝いていた。

「綺麗。」
「ふふふ。だろ?」
「うん。本当に素敵・・。」

私が呟くと、クリスが嬉しそうに目を細めた。
棟の上は少し風があって、風がクリスの髪を揺らしていた。

「あの光の一つ一つに私たちが守るべき民が暮らしているんだ。」

クリスの言葉に私は、はっとした。

(そうか・・。だからクリスは私をここに連れてきてくれたんだ。)

「そうですね・・。」

私がこの光景に見とれていると、クリスが私の腰を引き寄せた。

(え?)

そして、ランタンの灯りを消した。

「ベル・・。上見て。」
「・・・?」

クリスに言われて空を見上げると、頭上には満天の星空が見えた。

「わ~~。」

地上の灯りと、空の灯りに照らされて、輝く景色に私はただただ圧倒された。

「綺麗。」
「本当に綺麗だね・・。」

他に言葉が浮かばなかったが、その光に私は魅入ってしまった。

「ねぇ、ベル?」
「はい。」

私はクリスの方を向いた。

すると、クリスに真剣な眼差しで見つめられた。
私はその瞳に吸い込まれそうになった。

「ベルナデット。私と結婚してもらえませんか?」

(!!!プロポーズ!!!)

以前も馬車の中で言われたが、今回はそれとは全く雰囲気が違っていた。
クリスの顔はいつものような余裕は全然無くて、不安そうで泣きそうな顔だった。
それなのに、瞳からは熱を感じた。
私はそんなクリスのことが愛しくて、自然に笑っていた。

「はい。よろしくお願い致します。」
「ベル。ありがとう!!大切にする!!」

そう言ってクリスに抱きしめられた。

「よかった~~。あ~死ぬほど緊張した。」

クリスの心臓の音を聞くと確かに早くなっていた。
でも私の心臓の音も早くなっていたのでお相子だ。

「ふふふ。」

クリスが小さく笑った。

「必死だった。この場所は私の切り札なんだ。
この場所の力を借りれば、上手くいく気がしたんだ。」
「ふふふ。そうなのですか?
確かにとても素敵な場所だわ。」

私はクリスの腕の中から顔を上げて、クリスを見た。

「ではクリス様。もう少しこの素敵な景色を見てもいいですか?」

するとクリスは困った顔をして、私をぎゅっと抱きしめた。

「そんな可愛い顔でお願いされたら叶えてあげたいけど・・。
まだダメ。もう少し腕の中にいてよ。
やっと捕まえたんだからさ。」
「ふふふ。じゃあ、あと少しだけ。」


その日、私は街の灯りと、星空の下で、クリスのプロポーズを受け入れた。
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