我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番

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後日談 エリック編 お兄様、全年齢ですよ?!元兄の愛に溺れそうです!!

5  未来の予定

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 トントントン

 ノックの音がして、正気に戻る。
 
「ベルは、ここにいてくれ。私が出る」

 エリックが濡れた唇で微笑むと、扉に向かった。
 どうやら、ロランが探しに来てくれたらしい。

 エリックはロランとの話を終えると、私の元に戻って来て困った顔をした。

「ベルは、その……もう少し休んで来てほしい」

「え?」

 エリックは私の耳元に顔を寄せると小声で呟いた。

「そんな目が潤んで可愛いベルを誰にも見せたくない」

「?!」

 私はその言葉で顔が熱くなるのを感じた。

「侍女を呼ぶ。落ち着いてから執務室に戻ってきてほしい」

「……はい」

 エリックが名残惜しそうに顔を離したと思ったら、髪にキスをした。
 そして、優しく微笑むと扉から出て行った。


  ~~~~~~~あああああ!!!


 恥ずかしい!

 恥ずかしい!!

 恥ずかし~~~~い!!!


 
 私どうしたの?

 何があった?

 先程までエリックと合わせていた唇に指先を持っていくと、また先程のキスを思い出す。

 恥ずかしくて転げまわりたいのに、まだ足りないとも思ってしまう。
 私はこんなに欲深い人間だったのか。

 「あ~~どうしよう!!
  毎日好きになっていく!!!」

 そう思って今度は別の不安が襲ってきた。

 この気持ちはどこまで大きくなるのだろう?
 今日がこんなに好きなら、明日はどうなっているのだろう?

 1ヵ月後は?

 1年後は?

 10年後は??
 その時私は何をしてるの?

 私は立ち上がって深呼吸をした。

 10年後、エリックのそばにいるなら、女王として胸を張っていたい。

 私は窓を開けて何度か新鮮な空気を胸に取り込んだ。

「よし!!」
 
 そうして私は執務室に戻ったのだった。


+++

 執務室に戻るとすでにエリックは何事もなかったかのように仕事をしていた。

「おかえり、ベル」

 エリックが優しく微笑んでくれた。
 私は、エリックの机に近づくとエリックに顔を寄せた。

「エリック。この机に積んである書類が全て終わったら、デートしてくれますか?」

 エリックが驚いたように顔を上げた。
 そして、楽しそうに笑った。

「ああ、その時は1日休みを取って出掛けよう」

「本当ですか? 視察でもなく社会科見学でもなく? デートしてくれますか?」

「視察? 社会科見学? よくわからないが、ベルの望む休日を過ごそう。ああ、今日の続きをするのもいいな」

 顔に熱が集まるが、嬉しくてたまらなかった。
 
――……これが終わったらデート!!

 視察ではなく、訓練でも、社会科見学でもないデート!!
 エリックとは城下に出掛けたり、山に登ったりそれなりに出かけたことはあるが、どれもデートという雰囲気ではなかったのだ。
 
 だから一度でいい。
 エリックとイチャラブデートがしたい!!

「頑張ります!!」

 私はエリックとデートをするために書類に向かう覚悟を決めたのだった。




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