胸騒ぎの恋人

NADIA 川上

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第1章 邂逅編

今日から2人きり

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「ふぁ~」


 あずさが朝目覚めてパジャマのままアクビをしながら
 母屋の茶の間に行くとテーブルの上に白い封筒が一通。

 そして両親からの1枚のメモが残されていた。


「なにこれ」


=======================

 勇人くん&あずさへ


 突然ですがママとパパは約3ヶ月の予定で
 新婚旅行行ってきまーす。
 その間お留守番よろしくね。喧嘩しちゃだめだよ。
 おみやげたくさん買ってくるからね~。


 パパとママより

=======================


 (何が ”パパとママだよ”
  年甲斐もなく浮かれちゃって……
  けど、こんなに突然じゃ心の準備もできやしない。
  どうしよ……)


「そっかぁ今日から勇人2人っきり……
 ってなにぃぃ?!
 3ヶ月だってぇ??」


 メモを掴み穴が開くほどよく見る。
 何度見直しても3ヶ月の文字は変わらない。

 3ヶ月もあの勇人と……2人きりでお留守番?

 ……参ったな

 あずさはハァーと溜息をついた。



 あずさは目玉焼きとサラダを手早く作る。
 味噌汁の仄かな匂いが室内にたちこめた頃に、
 ちょうど良く壁時計が”7時”を知らせる。
 
 しかし勇人は一向に起きて来ない。


「ホント、なにやってんだよ。遅刻するじゃん」


 仕方なく離れの勇人の部屋へ行き、
 ドアをノックした。


「……」


 返事は……ない。
 再びあずさはため息をついてドアを叩いた。


「おい。勇人、起きろ」

「……」


 (くっそー。もう部屋に入ってやる)
 

 部屋を覗くとあちこちにバイク雑誌が転がり、
 壁にはなんちゃらっていうグラビアアイドルの
 エロエロチックな水着ポスター。
 それらに混じって昔のテレビアニメのポスター
 なんかも数枚貼ってある。
 
 男らしい部屋っちゃあ部屋だけど……
  
 あずさはとにかくベッドにシャツとパンツ姿で
 転がっている勇人を揺り動かした。


「遅刻しちゃうよ。ねえっ、起きてよ。
 勇人っ」


 うー…んと言って寝返りをうつ勇人の耳元で
 「起きろっ」と大声で叫ぶ。


「うっせぇなババァ」

「うわっ」


 手で思い切りはねのけられ、
 あずさは床に尻もちをついた。
 勇人の瞼が開き、目をこすりこすり
 床に座り込んでいるあずさに目を向けた。


「あ……お前か。わりい。いつもの癖で」

「あいたたた。いきなり何するんだよ」

「ババァかと思ってよ」


 起きあがった勇人の格好を改めて見て
 あずさは顔を赤らめた。
 

 (パジャマくらい着ろよなっ。でも……イヤ、
  イヤイヤ ―― 何見惚れてんだよ。勇人は
  男で、義理とは言え兄貴だぞ……)

 勇人が愛用してるアンダーウェアはどれもこれも
 超がつくセクシー系のモノで。
 今着けてるのは、……するとよりアソコの形が
 くっきりわかる薄手のボクサーブリーフだ。
  

「と……とにかく……朝食出来てるから早く来い
 あと、その……何か履いて出こいよっ」


 そう言ってあずさは母屋へ戻っていった。


 (僕も筋トレ、始めてみようかな……)



 溜息をつきながらモシャモシャと
 サラダを食べているとスウェットを履いた勇人が
 茶の間に現れた。


「あれっ? 親は?」

「そこにメモあるでしょ。
 今日から3ヶ月かけて新婚旅行」

「げっ、3ヶ月もかよっ?!」

「……らしい」


 勇人がちゃぶ台に着くとそこには
 湯気の立ちあがる味噌汁に目玉焼きと
 カリカリベーコン、ごぼうのサラダが
 乗っていた。


「うまそー。これ全部あずさが作ったのか?」

「そうだけど」

「ふぅーん……いただきます」


 そう言いながら勇人も目玉焼きとご飯を頬張る
 
「んんめぇー……やっぱ日本人なら朝は白米だよなぁ」

 
 あずさの顔をじろじろ見る。


「……な、なに?」

「もしかしてお前って意外と……」

「……へ?」


 勇人は立ちあがり、
 あずさの顎をつかんで顔を上に向けた。


「かわいい?」

「……はい?」


 (なに?? かわいいって?)


「もっと前髪あげて顔出せば?」


 間近に近づく勇人の顔。
 ぼーっとしているあずさの顔を見てニッと笑うと
 ふと顔がさらに近づいた。


「な、なんだよっ」


 ハッと我に返りあずさは椅子から飛びのいた。


「おーおー初々しい反応で。もしかしてまだ童貞?」

「う、うるさい。僕、もう行くからね」



 (キ、キス、されるのかと、思った……
  まだ、ドキドキ止まらない……)

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