7年目の本気

NADIA 川上

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和巴と匡煌 そのⅡ

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 これからデートだという2人を見送って、
 部屋へ戻った私はベランダへ出た。

 都会の街は周りのビルや家々から漏れる電気で
 結構深夜まで明るい。
 それに加えこのシェアハウスの建物は高台に
 建っているので、かなり遠くまで見渡す事が出来た。

 見える訳はないのに ――
 思わずマンションの方向へ目を向けた。

 2度と会わないって決めたのは自分。

 だから今は、まだ同じこの町に一緒にいられるって
 事だけで良しとしよう。

 これから私は、
 もっと強くならなきゃダメなんだ。

 もし、何年か後、
 彼と偶然何処かで再会しても、笑顔で話しが出来る
 ように……。

 私は強くなる。

 ―― コン コン


「はーい?」


 開いたドアから顔を見せたのは、
 向かいに住む華人系アメリカンのジェフ。


「ハ~イ・マイハニー、おじゃまですかぁ?」

「ううん、そんな事ないよー、どうぞ入って」


 と、言うと「では、おじゃまします~」と
 ジェフを筆頭にこのハウスの住人さん達が
 ゾロゾロと入って来た。
 皆、手に酒と肴、それにスナック菓子を
 持っている。
 どうやらこれから、夜通しの飲み会になりそうだ。  


*****  *****  *****


 和巴は俺を待っていてくれる、
 そう信じていた。

 スピード全開でマンションへ急行し、
 パーキングへ車を停める。

 エレベーターを降り、
 部屋のドアにカードキーを認識させようとするが、
 元々この作業は苦手で手間取り、
 認識したピーッという電子音と同時に
 ドアを蹴破る勢いで開け、室内へ。


「かずっ!」


 名前を叫びながら各室を探し回る。

 あいつの私室にとあてがった一室 ――

 至る所に積み重なっていた経済書の類は
 綺麗さっぱり消えてなくなり。
 クローゼットの俺が買った服とアクセ等は
 そのまま残されていた。

 そして、とどめは、
 
 テーブルの上に
 メモと一緒に置かれていたプラチナのリング。


  ”匡煌さん、嘘ついてごめんなさい。
   あなたは自分の道を奥様と歩いて下さい”


 何が奥様だよ……
 俺のパートナーは和巴、お前だけなのにっ。


 俺はリングを握りしめ、その場にへたり込んだ。


「かず? 俺を1人置いて行っちまったのか? 
 本当にもう帰って来ないのか?
 ……お願いだから、嘘だと言ってくれ……」
 

 本当のお袋が死んだ時以来、初めて泣いた。

 世間体なんて下らないもん、
 とうの昔に捨てていた、
 各務とも縁を切る覚悟でいたのに……っ。


「戻って来い、和巴……愛してる」

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