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2人の想いが重なる時
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―― 匡煌の車へ乗ってから
『どこに行きたい?』と、聞かれ
和巴は『海が見たい』と、答えた。
何故、そう言ったのかは分からなかったが、
きっと ―― 初めて彼の車に乗せられた時に
一緒に見たのが海だったからなんだろう。
埠頭について外に出ると、
匡煌は気持ちを落ち着かせるようタバコを
吸い始めた。
車内に戻った彼が
『全て自分が悪い。俺の責任だ』と、
言う言葉を聞いた時、
こんな言葉を大好きな人に言わせてしまった
自分に嫌気が差した。
……誰も悪くなんかない。
人それぞれ持って生まれた宿命は変えられないけど、
運命は努力次第で変える事も可能だと思う。
その努力を”するか? しないか?”するなら
”どうするか?”で、その後の人生も大きく
変わるもんだと思う。
匡煌は初めて自分を抱いたあと、
『傍にいてくれるだけでいい』
って、言ってくれた。
いつの間にか私はそんな嬉しい言葉を
すっかり忘れてしまって、
『自分さえ後に引けば全ては丸く収まる』
と思い込もうとした。
匡煌が向けてくれた無限の愛を、
自ら手放そうとしてたんだ。
「―― いい機会だから、お互い腹を割って話そう。
俺と会わなかった間、和巴は何を考えてた?」
「……」
「……も、俺と一緒は嫌か?」
和巴は音が鳴りそうなくらい、
ブンブンと首を横に振った。
「ま ―― 匡煌さんの方こそ、こんな女々しいの、
いい加減、愛想が尽きたでしょ」
「め、女々しいって、お前は女だろうが……ま、
そんじょそこらの並みの女よりずっと芯は強いし・
気も強い、泣き虫だけどな」
「泣き虫だけ余計よ……」
和巴の目は、いつもの純情で負けず嫌いで
真っ直ぐな目でなく、
自信のない弱々しい潤んだ目をしている。
「俺はお前がいてくれたから昔よか生きてる事が
うんと楽しくなった。もう1度言うぞ、
和巴は俺の傍にいてくれるだけでいいんだ」
「でも私は……あなたの足枷にしかならない」
「その足枷が何よりの生きる支えになるって事も
ある。俺は親父達にカムアウトした時からもう
腹は決めてある。だから、お前も今ここで
決心しろ。出来ないならこの場でさよならだ」
「……」
和巴は唇を噛みボロボロと大粒の涙を流す。
重苦しい沈黙の中、時間だけが無益に過ぎていく。
「……(や)、だ……」
それは、今にも消え入りそうなくらいか細い声
だったので、匡煌は”??”と和巴の顔へ目を向けた
「……いや、だ……」
今度は、はっきり聞こえた。
「かず ――?」
「嫌だ! 匡煌がどんなに私を邪魔にしたって、
私は絶対匡煌の傍を離れない。それが出来ない
くらいなら死んだ方がマシよ。匡煌のいない生活
なんて、も、考えられないんだから」
「……わぉ ―― すっげぇ、プロポーズだ。
胸にぐさっと突き刺さったよ」
和巴は、勢いで言ってしまって、
今になって恥ずかしくなり、
顔を真赤にしたまま俯いた。
「こんな、情熱的なプロポーズを受けた俺は、
この後どうすべきなのかな?」
(ってか、それを私に聞くの??)
泣かないと決めたのに……涙が溢れて止まらない。
再度、『まさてるさ』と、言い終わる前に、
匡煌が和巴にキスをしてきた。
この数日間押さえ込んでた感情が一気に、
全身に溢れ出す。
匡煌に抱きついて和巴は自分からもキスをする。
もう、どうなっても良かった。
誰に責められようと……批判されようと、
匡煌と一緒に居たい。
この男と……これからの人生を歩いていきたい。
匡煌と和巴は飽きることなく口付けを交わした。
それから、手近なホテルに場を移した2人は、
夜が明けるギリギリまでお互いの体を貪り合った。
逆立ちしたって一滴も絞り出せないってくらい、
思う存分欲情の証を放出して ――。
室に備え付けのユニットバスで身支度を整え
出てきた和巴をベッド脇へ呼ぶ。
「なに?」
と、身を屈めてきた和巴の首へチェーンを通した
あのプラチナリングをかけてやる。
「! 匡煌、これは ――」
「虫よけ」
「え?」
「お前、八方美人なとこはまだ治ってねぇからな、
東京じゃ狼が無限に寄ってきそうで、俺は気が気
じゃない」
「って、知ってたの? 東京支社に配属願い出した
こと」
「大吾に言われた……お前の成長を邪魔すんなって……
それに、自分の立場をもう1度良く考えろとも」
「そう……」
「俺、神宮寺の娘と結婚する。でも、何年か経って、
まだ今の気持ちのままでいられたら、神宮寺との
関係は清算して、もう1回お前にプロポーズするよ」
和巴の目尻に涙が滲む。
「泣くなって」
「ありがと、匡煌……私ね、昨夜は凄く迷ってた。
けど、いて良かった。何も言わずに旅立つのは
逃げるのと同じだって……もう、逃げるのは
懲り懲りだから……」
「愛してる、和巴」
今回のひと騒動で会えなかった数ヶ月でさえ、
こんなにも大きく変わった和巴。
あと数年も会わないでいたら、
どんな変貌を遂げるか?
今からそれが物凄く楽しみで待ち遠しい。
『どこに行きたい?』と、聞かれ
和巴は『海が見たい』と、答えた。
何故、そう言ったのかは分からなかったが、
きっと ―― 初めて彼の車に乗せられた時に
一緒に見たのが海だったからなんだろう。
埠頭について外に出ると、
匡煌は気持ちを落ち着かせるようタバコを
吸い始めた。
車内に戻った彼が
『全て自分が悪い。俺の責任だ』と、
言う言葉を聞いた時、
こんな言葉を大好きな人に言わせてしまった
自分に嫌気が差した。
……誰も悪くなんかない。
人それぞれ持って生まれた宿命は変えられないけど、
運命は努力次第で変える事も可能だと思う。
その努力を”するか? しないか?”するなら
”どうするか?”で、その後の人生も大きく
変わるもんだと思う。
匡煌は初めて自分を抱いたあと、
『傍にいてくれるだけでいい』
って、言ってくれた。
いつの間にか私はそんな嬉しい言葉を
すっかり忘れてしまって、
『自分さえ後に引けば全ては丸く収まる』
と思い込もうとした。
匡煌が向けてくれた無限の愛を、
自ら手放そうとしてたんだ。
「―― いい機会だから、お互い腹を割って話そう。
俺と会わなかった間、和巴は何を考えてた?」
「……」
「……も、俺と一緒は嫌か?」
和巴は音が鳴りそうなくらい、
ブンブンと首を横に振った。
「ま ―― 匡煌さんの方こそ、こんな女々しいの、
いい加減、愛想が尽きたでしょ」
「め、女々しいって、お前は女だろうが……ま、
そんじょそこらの並みの女よりずっと芯は強いし・
気も強い、泣き虫だけどな」
「泣き虫だけ余計よ……」
和巴の目は、いつもの純情で負けず嫌いで
真っ直ぐな目でなく、
自信のない弱々しい潤んだ目をしている。
「俺はお前がいてくれたから昔よか生きてる事が
うんと楽しくなった。もう1度言うぞ、
和巴は俺の傍にいてくれるだけでいいんだ」
「でも私は……あなたの足枷にしかならない」
「その足枷が何よりの生きる支えになるって事も
ある。俺は親父達にカムアウトした時からもう
腹は決めてある。だから、お前も今ここで
決心しろ。出来ないならこの場でさよならだ」
「……」
和巴は唇を噛みボロボロと大粒の涙を流す。
重苦しい沈黙の中、時間だけが無益に過ぎていく。
「……(や)、だ……」
それは、今にも消え入りそうなくらいか細い声
だったので、匡煌は”??”と和巴の顔へ目を向けた
「……いや、だ……」
今度は、はっきり聞こえた。
「かず ――?」
「嫌だ! 匡煌がどんなに私を邪魔にしたって、
私は絶対匡煌の傍を離れない。それが出来ない
くらいなら死んだ方がマシよ。匡煌のいない生活
なんて、も、考えられないんだから」
「……わぉ ―― すっげぇ、プロポーズだ。
胸にぐさっと突き刺さったよ」
和巴は、勢いで言ってしまって、
今になって恥ずかしくなり、
顔を真赤にしたまま俯いた。
「こんな、情熱的なプロポーズを受けた俺は、
この後どうすべきなのかな?」
(ってか、それを私に聞くの??)
泣かないと決めたのに……涙が溢れて止まらない。
再度、『まさてるさ』と、言い終わる前に、
匡煌が和巴にキスをしてきた。
この数日間押さえ込んでた感情が一気に、
全身に溢れ出す。
匡煌に抱きついて和巴は自分からもキスをする。
もう、どうなっても良かった。
誰に責められようと……批判されようと、
匡煌と一緒に居たい。
この男と……これからの人生を歩いていきたい。
匡煌と和巴は飽きることなく口付けを交わした。
それから、手近なホテルに場を移した2人は、
夜が明けるギリギリまでお互いの体を貪り合った。
逆立ちしたって一滴も絞り出せないってくらい、
思う存分欲情の証を放出して ――。
室に備え付けのユニットバスで身支度を整え
出てきた和巴をベッド脇へ呼ぶ。
「なに?」
と、身を屈めてきた和巴の首へチェーンを通した
あのプラチナリングをかけてやる。
「! 匡煌、これは ――」
「虫よけ」
「え?」
「お前、八方美人なとこはまだ治ってねぇからな、
東京じゃ狼が無限に寄ってきそうで、俺は気が気
じゃない」
「って、知ってたの? 東京支社に配属願い出した
こと」
「大吾に言われた……お前の成長を邪魔すんなって……
それに、自分の立場をもう1度良く考えろとも」
「そう……」
「俺、神宮寺の娘と結婚する。でも、何年か経って、
まだ今の気持ちのままでいられたら、神宮寺との
関係は清算して、もう1回お前にプロポーズするよ」
和巴の目尻に涙が滲む。
「泣くなって」
「ありがと、匡煌……私ね、昨夜は凄く迷ってた。
けど、いて良かった。何も言わずに旅立つのは
逃げるのと同じだって……もう、逃げるのは
懲り懲りだから……」
「愛してる、和巴」
今回のひと騒動で会えなかった数ヶ月でさえ、
こんなにも大きく変わった和巴。
あと数年も会わないでいたら、
どんな変貌を遂げるか?
今からそれが物凄く楽しみで待ち遠しい。
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