7年目の本気

NADIA 川上

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第2章 東京編

首都・東京

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 上京する当日の京都は雲ひとつない晴天。

 ネットで東京の天気も調べたらあちらもおおむね
 晴れらしい。
  
 京都本社人事の支倉さんが、東京での住まいも
 探しておいてくれた。
 
 支社からJRとバスを乗り継いだ下町・元浅草にある
 2LDKマンション。
 
 東京へは中学・高校での修学旅行で来て以来だから、
 土地勘はほとんどないに等しい。
 
 京都もそれなりに拓けた所だったけど、首都・東京は
 やっぱり違う。
 
 街並みも、ビルも民家も ――
 走ってる車なんかも、それに何といっても!
 
 道を行き来している人々が皆垢抜けている。
 
 けれど、何となく皆んなセカセカしていて、
 慌ただしいというか……余裕がないってゆうか。
 
 まずは、このスピードに慣れるのがひと苦労だなぁ、
 としみじみ思った。
 


 で、今日から暮らすマンションのある最寄り駅・
 東武浅草駅にはルームメイトになる支倉さんの
 姪御さんが来る事になっている……が、

 10分経過 ――
 30分経過 ――

 そろそろ1時間が経とうとしても、
 それらしい顔は見当たらない。

 ”そのうち来るさ”と、呑気にかまえていた私も
 さすがに少し落ち着かなくなってきて。
 とりあえず何か飲み物でもと、
 ベンチから立ち上がった時バタバタっと
 騒々しい靴音が聞こえてきた。

 振り返り見れば、金髪・碧眼の可愛い女の子が
 あたふた走って来る。

 その女の子は一旦立ち止まり自分の周辺を見回して
 深々とため息をつき、
 続いてそのまま視線を私が座っている待合スペース
 まで泳がせてきて……私に目を止めた。

 そして、ニコッと微笑んだ。
 それは正に天使の微笑み。


「―― えっと……カズハ、ね?」


 見るからにアメリカンっぽい人に、
 日本語で話しかけられた事にびっくりしつつ、
 カクカク頷いた。


「遅れてごめん。ダーリンがなかなか離して
 くれなくってさ」

「は?」

「ってのは、ジョーク。ホントは2度寝しました。
 ゴメンナサイ」

「あ、はい」

「荷物はマンションに届いてるよ。じゃ、行こうか」


 って、スタスタ歩き出した。

 彼女は足のスタンスが大幅で歩くスピードも
 私より速く。
 並んで歩こうとする私は小走りだ。

 それにしてもこの人、めっちゃ背が高いなぁ。
 多分、静流さんと同じ位じゃないかな。

 日本語は流暢だけど、この金髪と綺麗な碧眼 ――
 やっぱり日本人には見えない……。

 それに、この人と私が並んでいると。
 保護者(親)と子供って見えなくもない。

 それくらい、見た目が違うのだ。

 あ、そう言えばこの人、何才なんだろう? 


 そんな事を考えつつ、彼女に急かされるよう、
 駅からターミナルビルの外へ出る。
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