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その男……③
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大声で悪口を言い合い、ゲラゲラ笑った。
あー、プライベートでこんなに楽しく話したの、
ホント久しぶりぃ。
咲耶が新しいワインを開けていると、
羽柴が酔って据わった雄の目で咲耶をじっと見てる。
「なん?」
「お前、ホントに男おらんの?」
羽柴が柄にもなく照れ臭そうに真顔で言えば、
咲耶は特に深読みする事なく「うん、そーだよー」と、
軽く答えた。
「なら、俺とかが立候補しても差し支えねぇよな?」
「え ―― っ、それ、どーゆう……」
羽柴は咲耶のすっきりボブヘアーをよしよし
するように撫でながら、その手を咲耶の頭の後ろへあて。
そのままの流れでキスをした。
唇が離れ、そのあんまり優しい感触が
嬉しかった咲耶は
「もう1回」
図々しくもキスのおかわり要求。
羽柴が咲耶の身体を引き寄せ、
今度は深くて熱いキスをする。
「んン……っ」
きもち、い……。
うわぁ、うそ……おっさんの癖してキス、めちゃくちゃ
上手!
咲耶も羽柴の頭を引き寄せ、キスを深くする。
そして、2人は床に倒れ込んだ。
頭の隅では色んなことが過った。
おいおい、この男とは今日会ったばっかでしょ!
とか
けど、この気持ち良さは捨て難い……。
とか ――
生理、終わって何日目だっけ? とか……
「―― おい、何考えてる?」
「えっ……」
「このままだとおれ、最後までヤッちゃうけど」
「一応、聞いてはくれるんだぁ ―― ココ、
こ~んなに硬くしてるのに」
そうやって会話を交しているうちにも、
2人の顔の距離は徐々に狭まっていく。
「据え膳食わぬは男の恥、って言うよ、オジサン」
紙一重 ――、
互いの熱い吐息もはっきり感じ取れる至近距離で
じっと見つめ合う。
「あんまり三十路過ぎの中年舐めんなよ」
「前置き長過ぎ」
と、自分から羽柴を抱き寄せ口付けた。
***** ***** *****
当然といえば当然だけど、
酒に酔った勢いで寝てしまった男の腕枕で、
目覚めた朝の衝撃と気まずさは半端なかった。
「んン~っ……はよ~、今、何時だぁ?」
「ん、あともう少しで7時、かな」
「あぁ……んじゃ、そろそろ起きなきゃ……」
そう、言いつつも起きられないのは、多分、
昨夜異常なくらいハッスルしてしまったせい?
おかげで、腰の辺りが重苦しいし、何となくアソコが
腫れぼったいような感じがする。
その日は土曜日。
羽柴は休日出勤。
咲耶はバイト探しなので、お互い
マジそろそろ起きなきゃ遅刻するかも、なのです。
「朝ごはん作ってあげるからさっさと起きてよねー」
と、半身起こしベッド脇に足を下ろして、
普通に立ち上がろうとしたんだけど……あ、れっ?
なんか、変。足に力が入れられない。
羽柴はその理由が分かってるような目つきで
咲耶を見てる。
「な、なによー?」
「べつにぃ」
(ムカつく ――)
当人が分かってないのに、分かった風な
顔しないでよっ!
力が入らないのに、無理して立ち上がろうとした
もんだから、咲耶はその場にヘナヘナと
しゃがみ込んでしまった。
「……腰、抜けたか」
「は?」
「無理すんな。飯は俺が作る」
羽柴は一糸まとわぬ姿=すっぽんぽんで
キッチンへ行ってしまった。
「要のばか。パンツくらい履きなさいよ!」
ここいらに、14才というお互いの年齢差や
酒に流されてのセッ*スという気まずさが
表れてるのかも知れないけど、
目覚めてから出勤するまで、羽柴は紳士然とした
態度は崩さず。
(出かける直前まで全裸で通したが)
2人で朝ごはんを食べ、一緒に出勤した頃には
目覚めた時の気まずさは
すっかり消えてなくなっていた。
***** ***** *****
母親として見ればかなりの偏屈人間だが、
地質学者・和泉登紀子の多彩な人脈のおかげで、
多くの人間を見てきた咲耶でも、
あの羽柴ほど非の打ち所のない美しさを持った男を
見たことがなかったし、またその男の一挙手一投足から、
彼の属する社会が支配者階級である事もすぐ見抜いた。
だから ”この部屋はキミの自由に使って構わない”
といわれた時にも、とんでもないと断って。
とりあえず、その日のバイト面接で採用になった
キャバクラ従業員寮へ向かっている途中にある
居酒屋から出てきた質の悪い酔っ払いに絡まれて
困っていたところをたまたま通りかかった羽柴に助けられ、
そんなこんなで
スマホの番号とメルアドも交換し。
この日はキャバのマンション寮の前で別れた。
今考えれば、自販機での出逢いも、
居酒屋前での偶然の再会も ―― み~んなあいつが
綿密に仕組んだモノだって想像つくけど。
あの時の私は ”そんな偶然何度もあるワケないじゃん”
という思いと。
頼れる人が身近にいる安心感に、
しばらく浸っていたかったんだと思う。
それまではメールもLINEもキャバの営業でやる以外は
ほとんど興味なし、だったんだけど。
羽柴からのメールやLINEは必ず目を通したし、
面倒臭くても返信は必ずした。
退屈なだけの毎日が次第に彩りを増し、カラフルになってゆく。
あー、プライベートでこんなに楽しく話したの、
ホント久しぶりぃ。
咲耶が新しいワインを開けていると、
羽柴が酔って据わった雄の目で咲耶をじっと見てる。
「なん?」
「お前、ホントに男おらんの?」
羽柴が柄にもなく照れ臭そうに真顔で言えば、
咲耶は特に深読みする事なく「うん、そーだよー」と、
軽く答えた。
「なら、俺とかが立候補しても差し支えねぇよな?」
「え ―― っ、それ、どーゆう……」
羽柴は咲耶のすっきりボブヘアーをよしよし
するように撫でながら、その手を咲耶の頭の後ろへあて。
そのままの流れでキスをした。
唇が離れ、そのあんまり優しい感触が
嬉しかった咲耶は
「もう1回」
図々しくもキスのおかわり要求。
羽柴が咲耶の身体を引き寄せ、
今度は深くて熱いキスをする。
「んン……っ」
きもち、い……。
うわぁ、うそ……おっさんの癖してキス、めちゃくちゃ
上手!
咲耶も羽柴の頭を引き寄せ、キスを深くする。
そして、2人は床に倒れ込んだ。
頭の隅では色んなことが過った。
おいおい、この男とは今日会ったばっかでしょ!
とか
けど、この気持ち良さは捨て難い……。
とか ――
生理、終わって何日目だっけ? とか……
「―― おい、何考えてる?」
「えっ……」
「このままだとおれ、最後までヤッちゃうけど」
「一応、聞いてはくれるんだぁ ―― ココ、
こ~んなに硬くしてるのに」
そうやって会話を交しているうちにも、
2人の顔の距離は徐々に狭まっていく。
「据え膳食わぬは男の恥、って言うよ、オジサン」
紙一重 ――、
互いの熱い吐息もはっきり感じ取れる至近距離で
じっと見つめ合う。
「あんまり三十路過ぎの中年舐めんなよ」
「前置き長過ぎ」
と、自分から羽柴を抱き寄せ口付けた。
***** ***** *****
当然といえば当然だけど、
酒に酔った勢いで寝てしまった男の腕枕で、
目覚めた朝の衝撃と気まずさは半端なかった。
「んン~っ……はよ~、今、何時だぁ?」
「ん、あともう少しで7時、かな」
「あぁ……んじゃ、そろそろ起きなきゃ……」
そう、言いつつも起きられないのは、多分、
昨夜異常なくらいハッスルしてしまったせい?
おかげで、腰の辺りが重苦しいし、何となくアソコが
腫れぼったいような感じがする。
その日は土曜日。
羽柴は休日出勤。
咲耶はバイト探しなので、お互い
マジそろそろ起きなきゃ遅刻するかも、なのです。
「朝ごはん作ってあげるからさっさと起きてよねー」
と、半身起こしベッド脇に足を下ろして、
普通に立ち上がろうとしたんだけど……あ、れっ?
なんか、変。足に力が入れられない。
羽柴はその理由が分かってるような目つきで
咲耶を見てる。
「な、なによー?」
「べつにぃ」
(ムカつく ――)
当人が分かってないのに、分かった風な
顔しないでよっ!
力が入らないのに、無理して立ち上がろうとした
もんだから、咲耶はその場にヘナヘナと
しゃがみ込んでしまった。
「……腰、抜けたか」
「は?」
「無理すんな。飯は俺が作る」
羽柴は一糸まとわぬ姿=すっぽんぽんで
キッチンへ行ってしまった。
「要のばか。パンツくらい履きなさいよ!」
ここいらに、14才というお互いの年齢差や
酒に流されてのセッ*スという気まずさが
表れてるのかも知れないけど、
目覚めてから出勤するまで、羽柴は紳士然とした
態度は崩さず。
(出かける直前まで全裸で通したが)
2人で朝ごはんを食べ、一緒に出勤した頃には
目覚めた時の気まずさは
すっかり消えてなくなっていた。
***** ***** *****
母親として見ればかなりの偏屈人間だが、
地質学者・和泉登紀子の多彩な人脈のおかげで、
多くの人間を見てきた咲耶でも、
あの羽柴ほど非の打ち所のない美しさを持った男を
見たことがなかったし、またその男の一挙手一投足から、
彼の属する社会が支配者階級である事もすぐ見抜いた。
だから ”この部屋はキミの自由に使って構わない”
といわれた時にも、とんでもないと断って。
とりあえず、その日のバイト面接で採用になった
キャバクラ従業員寮へ向かっている途中にある
居酒屋から出てきた質の悪い酔っ払いに絡まれて
困っていたところをたまたま通りかかった羽柴に助けられ、
そんなこんなで
スマホの番号とメルアドも交換し。
この日はキャバのマンション寮の前で別れた。
今考えれば、自販機での出逢いも、
居酒屋前での偶然の再会も ―― み~んなあいつが
綿密に仕組んだモノだって想像つくけど。
あの時の私は ”そんな偶然何度もあるワケないじゃん”
という思いと。
頼れる人が身近にいる安心感に、
しばらく浸っていたかったんだと思う。
それまではメールもLINEもキャバの営業でやる以外は
ほとんど興味なし、だったんだけど。
羽柴からのメールやLINEは必ず目を通したし、
面倒臭くても返信は必ずした。
退屈なだけの毎日が次第に彩りを増し、カラフルになってゆく。
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